野火の夜 の商品レビュー
血塗れの5千円札とジャーナリストの死を追う木部美智子シリーズ。敗戦直後の満州の様子がリアルでずっしりと重く過去の史実から抜け出せない。知らずに生きてる薄情さ。そこからの現在の事件への繋がりにハッとする。今の価値観では分からないけど当時の価値観ならと思わされる
Posted by
詳細は覚えていないが、読み応えのある小説だった。ジャーナリストの木部美智子が丹念に事実を追っていく展開に目が離せない。愛媛県由良半島を地図で調べ、動画で見てこんな場所があることに驚いた。荒涼とした風景の描写が上手い。たぶん取材でここに行ったのだろう。文庫化されていないため、図書館...
詳細は覚えていないが、読み応えのある小説だった。ジャーナリストの木部美智子が丹念に事実を追っていく展開に目が離せない。愛媛県由良半島を地図で調べ、動画で見てこんな場所があることに驚いた。荒涼とした風景の描写が上手い。たぶん取材でここに行ったのだろう。文庫化されていないため、図書館で借りて読んだ。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ライター木部美智子シリーズ。 あらすじ 1996年夏、1人の男が札束の入った紙袋を抱えフェリーに乗っている。 そして現在。血まみれの5000円札のニュースが世間を賑わせていた。弁護士桐野のもとにはその札束の持ち主という森本が現れる。しかし森本は数日後に転落死する。フロンティアには事件が明るみになる前に森本の名前を教える匿名の電話があった。気になった木部は四国の南西部にある港町に向かう。そこはかつて真珠の養殖産業で栄えていた。ところが突然アコヤ貝が死んでしまうことが続く。一説にはフグの養殖が近場であり、それにホルマリン液が使われていたからだと言われていた。さらに地元では殺人放火事件が起きていた。地元の名主中野与一の息子、それからアコヤ貝の調査に来ていた海洋学者が殺されたのだった。殺人犯はすぐに分かった。神崎元春という男が首を吊ったのだった。元春の父と与一は太平洋戦争終戦時、2人とも満州にいて命からがら日本に戻ってきたという、絆で結ばれていたのだった。 感想 話が複雑だったな。でも中身が詰まっていて読み進めてしまう。結局、森本の事件は本筋とは関係ない。何だったら今回の殺人事件の真犯人すら本筋から言えば枝葉のようなものだった。やはり印象に残ったのは満州での出来事。人が簡単に命を落としてしまう状況下で、義理?約束?によって広い大陸の中をひたすら与一を探す安治。そのつながりによって殺人の罪をかぶって死んでしまった安治の息子元春。それから血の繋がらない継子なのに元治の息子の面倒を見る芳江も不思議な存在であった。いや、芳江は元春を軽く見て、自殺へ加担してしまったんだったな。何しろこの本に書かれている人たちは、自分ではどうしようもできない環境で密度濃く生きている感じがした。
Posted by
『腐葉土』に似た印象で、途中、登場人物の、現代では経験できない史実が盛り込まれて、事件の中枢に繋がっていく、だけれど、今の価値観を持ってる人間が読んでもわからない、その経験をしたからこそ、その選択をした…というところが個人的にはすごく面白いと思ったんだが、評価がみんな辛口ね。笑 ...
『腐葉土』に似た印象で、途中、登場人物の、現代では経験できない史実が盛り込まれて、事件の中枢に繋がっていく、だけれど、今の価値観を持ってる人間が読んでもわからない、その経験をしたからこそ、その選択をした…というところが個人的にはすごく面白いと思ったんだが、評価がみんな辛口ね。笑 すごい好きなんだけどなあ。 直木賞あたり取って欲しい作家さん。
Posted by
木部美智子シリーズ。戦後の復興の片隅で満州から引き揚げてきた日本人への差別を知る。後半は苦しく感じる展開。少し言い回しがくどく感じたけれど、面白かった。
Posted by
血塗れの五千円札と、あるジャーナリストの死とは。 タイトルのインパクトが絶大だが、内容がそこまで濃くない、というのが正直なところだ。 敗戦直後の満州の様子などは興味深く読めたが、話を壮大にし過ぎたのでは、という印象を受けた。後半の伏線回収はなかなかだった。
Posted by
ちょっと壮大すぎて途中疲れた。 時代も100年くらいに跨り、登場人物も多く、戦中の満州の話から原発まで。 いったい今がいつの時代で何の話なのか、途中、頭がショート。 最後はきれいに伏線回収して終わり良かったが、読了後の達成感はかなり大きかった。
Posted by
血で汚れた古い5000円札が自販機などから出てきた事案を、フリーランスライター木部美智子が追求していく物語だが、25年前の火災事件、さらには戦前の満州での出来事が絡んで複雑なストーリーが展開する.戦後一時的に真珠養殖で繁栄したものの、薬物被害で台無しなり、同時期に伊方原発に関連す...
血で汚れた古い5000円札が自販機などから出てきた事案を、フリーランスライター木部美智子が追求していく物語だが、25年前の火災事件、さらには戦前の満州での出来事が絡んで複雑なストーリーが展開する.戦後一時的に真珠養殖で繁栄したものの、薬物被害で台無しなり、同時期に伊方原発に関連する闇資金が村にばらまかれ、その矢先に起きた火事.美智子が様々な情報を収集して、複雑な難問を徐々に解き明かす過程が楽しめた.最後に、美智子が東都新聞の亜川、キー局の濱口、桐野弁護士らを集めて、彼女の考察を披露する場面が素晴らしかった.三世代に渡る物語が、今見えているように描かれている感じがして、非常に面白かった.
Posted by
かなり、重厚で複雑なミステリーだった。 終戦の壮絶な満州での日記は、心に重く感じた。 偶然にお盆の期間中に読み終わった。 今年の終戦記念日は78年目。 戦争の恐ろしさ、人の恐ろしさを痛感した。 フリーの記者、木部美智子の推理、またまた冴えわたり!
Posted by
疲れた。壮大な大河ドラマのようで読み応えはあったが…。観念的で難解な文字ばかりが先走る。さらに話のスジと関係ない描写や突然振りかざされる大上段の社会正義に思考が散漫に。「真実を突き止めて公にする記者がヒーローだった時代。ペンによる正義がかっこいいと思われた時代。真実を伝えるという...
疲れた。壮大な大河ドラマのようで読み応えはあったが…。観念的で難解な文字ばかりが先走る。さらに話のスジと関係ない描写や突然振りかざされる大上段の社会正義に思考が散漫に。「真実を突き止めて公にする記者がヒーローだった時代。ペンによる正義がかっこいいと思われた時代。真実を伝えるという自負があった時代」そんな時代もあったかなぁ。満州のパートは大岡昇平さんの野火も意識したんだろうな。
Posted by
- 1
- 2