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アンクル・トムの小屋(下) の商品レビュー

4.8

5件のお客様レビュー

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2023/09/02
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つい最近光文社文庫で新訳ができたということで、昔からタイトルだけは知っていたものの読めてよかった。世界史の資料集で『奴隷制度を告発した』とか紹介されていたような気がしたのでもっと堅苦しいものかと思っていたが、当時の実情を知るのみでなく読み物としてもとても面白かった(最後のハリス一家の大団円はできすぎ感も否めないが)。登場人物それぞれのキャラがたっており、奴隷制度への受け取り方もさまざまに描かれているのも興味深い。また、黒人奴隷の側も必ずしも善人ではないのもよかった。 現実にはジョージ坊ちゃまのいないアンクル・トム、逃亡に失敗するハリス家が多かったのだろうと胸が痛む。 これを受けて昨今に残る差別問題・アファーマティブアクション等をどう考えるかも重要なんだろうなと思う。また、あとがきにもあったがリベリアのその後の国際的立ち位置も気になる。

Posted byブクログ

2023/08/30
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南部のシェルビー家いたトムは、ある日借金返済を含め、売られることになる。いつか買い戻すと言うことを信じて、ニューオーリンズの奴隷市場へ向かうことに。トムは南部ニューオーリンズに向かう船の中で主人サンクレア氏と一人娘エヴァに引き取られる。サンクレア氏の下で、とても幸せに過ごすがある日一人娘のエヴァは心臓の病で亡くなり、続けてトムを解放しようとしていた主人のサンクレア氏もカフェにいたところ喧嘩に巻き込まれて突然亡くなる。 残された奴隷たちは、主人のサンクレア氏の妻マリーと過ごすが奴隷市場に売られることに。トムとアドルフと他6人はスケッグズ氏によってリグリー家に引き取られていくことに。トムは具合の悪いムラートの女を庇うところを主人のリグリーに見られて いた。リグリーはトムに女に鞭を打つように命令されるが、頑なに拒む。主人の命令に従わないトムに対して鞭打ちを続ける。さらに奴隷の逃亡の手助けをしたとしてリグリーはトムを鞭で死ぬまで鞭を打つ。奴隷を買い戻しにきたジョージ•シェルビーが来た時に最後息を引き取る。 字は読めないトムが、聖書の教えと共に、たとえ主人が変わっても信じて生きていた。不安定な奴隷という立場ではあるが、奴隷制下の情況を知る名作だと思います。奴隷解放も叶わず売られてしまった先で、奴隷を買い戻しにやってきたジョージとの再会も含め、結末は悲劇ではあるがエヴァの導いてくれたものがあったのかもしれない。

Posted byブクログ

2023/07/30

抄訳とは違った印象。法を超える善への勇気、家族、特に母の子を想う愛情、上下巻1,000ページを超える圧巻の長編だった。ただ奴隷制は悪だというだけでなくそこに至る歴史、体制下での社会、秩序、転覆したときの影響、支援のあり方とさまざまな難しい面がある。今日の国と国の接し方についても白...

抄訳とは違った印象。法を超える善への勇気、家族、特に母の子を想う愛情、上下巻1,000ページを超える圧巻の長編だった。ただ奴隷制は悪だというだけでなくそこに至る歴史、体制下での社会、秩序、転覆したときの影響、支援のあり方とさまざまな難しい面がある。今日の国と国の接し方についても白黒の二面だけではない。2023.7.30

Posted byブクログ

2023/07/18
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解説までしっかりと面白かった。おもしろいなあと思って読んでいたけれど、そこまで人気だったなんて知らなかった。 知らないことが多いな。そして、それだけの人が読んでいた、ということもものすごく意味のあることだと思う。 奴隷制度が普通だと思う価値観ってどんな雰囲気なんだろう。時代の価値観って人間の道徳心よりも上回るものなんだ。 今の私が正しいと思っていることも、実際は正しくないのかもしれない。と思って読み進めていました。やっぱりおかしいってたくさんの人が思ってたんだって思ってよかった。 昔の人間も今の人間と地続きになっているって感じれてよかった。 トムがリグリーの暴力に耐えているシーンが、黒人が白人に対して無抵抗である事を肯定している!許せない! というような意見があったらしい。めちゃくちゃ驚いた。一番強い戦い方で反撃の方法だなあと感心して読んでいたので本当に驚いた。

Posted byブクログ

2023/07/16
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上巻から引き続きサンクレア邸でのエピソードかま始まる下巻。奴隷制度はキリスト教の教えを基盤にしていかに間違ったことであるかを滔々と読者に問うだけではなく、とても様々なエピソードを盛り込んだとても読みごたえのある興味深い作品と感じた。奴隷商人のような根っからの悪人は勿論、サンクレア氏の妻マリーのような読み手の感情を逆なでする存在は小説にとっていかに必要を感じる。 それにしても奴隷制度のいかに残酷なことか。読んでいる間、自分ならどう行動するかを常に考えていた気がする。既にこの本が生まれた時期に生存していた人はおらず、世代は何度も代わって入るものの制度が落とした禍根は未だ根を張っているだろう。この作品の持つ力が将来の差別偏見を無くするための力としてまだ存在するべきと感じた。

Posted byブクログ