ヴィクトリアン・ホテル の商品レビュー
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読書ならではの面白い体験だった。正直、この手のミステリー小説は多々あるのだが、”騙そう”という作家の意図が見えると興醒めしてしまう。本作ではそれがなく、とても心地よくクライマックスへと向かうことができる。 複数の登場人物の物語が交錯するが、キャラクターの特徴がわかりやすく混乱することはない。一方で、彼らの会話、行動には若干の違和感を覚える。それが、実は1980年〜2020年と彼らが生きる時代が違っていたのだというところで回収されてスッキリする。 「ヴィクトリアン・ホテルが100年の歴史に幕を閉じる最後の日」という物語の設定も、複数時代を跨ぐストーリーだからこそ活きている。 本作の主軸となる「優しさ」について。 女優・佐倉優美。 「誰かへの優しさが誰かを傷つけることがある」 小説家・高見光彦。 「誰も傷つけない表現とは」 お弁当屋さんの林夫婦。 「親切心のお弁当無料配布が批判を浴びる」 〜であるべきという「呪い」。 何かを表現すれば誰かが傷つく。という”三鷹コウ”の言葉は、多様性社会の複雑さを表す。 そしてそれは、時代を跨いでも変わらない課題なのだ。
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心温まる感じのお話です。 6〜7割までは全く感じ得ない違和感に気付いた瞬間が私としてはクライマックスでした~。 文体はとても読みやすいのでおすすめです。
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「人生には時として自分の価値観を変えてくれる相手に巡り合うことがある。そんなときは格好つけずに捕まえろ」という言葉がかっこいい。まさかの何十年の間に合った出来事が盛り込まれているとは思いもしなかった。
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伝統ある超高級ホテル「ヴィクトリアン·ホテル」は、明日その歴史にいったん幕を下ろす。ホテルを訪れた宿泊客それぞれの運命はー。視点がコロコロ変わるのですが、混乱することもなくスルスルと読めていけます。そして見事に騙されました!
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202302/下村敦史だし帯の惹句にもあるので、"そういう"目線で読んでしまい驚きはあまりなかったんだけど、それでも面白かった!これに限らず、そういう部分でエンタメとしての面白さを入れつつ、出会いだったり優しさ・善意だったり人間を描く、見事な作家の一人だと思う。
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字だから可能だった構成ですね。 ドラマとかだったら服装や年齢で いったりきたりが予測できちゃいそう 思いやりでさえ人を傷つける 優しさは呪いではない 皆さまに幸あったようで何よりです^_^ 裏表示に『ラスト30ページに特大の衝撃と深い感動が待ち受ける』とあるのは、感動の押し売りか笑 だって読んでみなきゃ分かんないし、 それを先に見ちゃったら頭に残るし 誘導してる風なのは あんまり好きではないなーと。
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閉館するヴィクトリアンホテルで過ごす人たちの話。 恩田陸さんのドミノのように、登場人物が交錯する。 女優、スリ、作家、宣伝マン、老夫婦、の視点でかかれている。 ラスト30ページで、ん??っとなり、だまされた。
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?!??!!!??!!!!という感じ。すごかった。初めて紙に書いて整理してしまった。 あのパターンねと思ったけど、だとするとここはどうなの?え?ここも?こんなに?みたいな。何度読み返したことか。 善意のつもりでやったことでも批判はくる。批判する側も悪意があるわけではない。「こう...
?!??!!!??!!!!という感じ。すごかった。初めて紙に書いて整理してしまった。 あのパターンねと思ったけど、だとするとここはどうなの?え?ここも?こんなに?みたいな。何度読み返したことか。 善意のつもりでやったことでも批判はくる。批判する側も悪意があるわけではない。「こうしたらこういう批判がきた」というのが色々書かれていて、自分ではそんな発想にはならないけど、なるほどそう考える人もいるのか…と目から鱗。 ある批判を受け入れて方向性を変えてもまたそこで批判。全てを受け入れていたら何もできない。 この本の評価も様々だなぁ。
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ラストに近づくにつれ騙されていたことに気付いていく。 様々な人物が入れ替わり立ち替わり登場し、飽きさせない。
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改築の為、100年の歴史に幕を下ろす『ヴィクトリアン・ホテル』。 数人の視点で描かれますが、本の帯にある、『衝撃と深い感動』にどう着地するのかな、と淡々と読んでいました。 がこれがいけなかった。 ホテルミステリー、とも書いてある通り、本書にはある仕掛がありました。この手の手法...
改築の為、100年の歴史に幕を下ろす『ヴィクトリアン・ホテル』。 数人の視点で描かれますが、本の帯にある、『衝撃と深い感動』にどう着地するのかな、と淡々と読んでいました。 がこれがいけなかった。 ホテルミステリー、とも書いてある通り、本書にはある仕掛がありました。この手の手法、気付く事もありますが、今回は前情報無しの為、全く気付きませんでした。 2周目読むとしたらメモ取りながら読みます(笑) トータルは面白さというよりも、文章の巧みさにやられてしまった1冊でした。
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