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真珠とダイヤモンド(下) の商品レビュー

4.1

114件のお客様レビュー

  1. 5つ

    27

  2. 4つ

    66

  3. 3つ

    16

  4. 2つ

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2024/02/10

1986年春、ある証券会社の福岡支店に入社した3人の新入社員を主人公にした小説。プロローグとエピローグを除いた小説の舞台は、1986年から1990年代初めの福岡と東京である。 この時期は、バブル景気の時代と呼ばれる。日本のバブル景気は、1986年12月から1991年2月までの51...

1986年春、ある証券会社の福岡支店に入社した3人の新入社員を主人公にした小説。プロローグとエピローグを除いた小説の舞台は、1986年から1990年代初めの福岡と東京である。 この時期は、バブル景気の時代と呼ばれる。日本のバブル景気は、1986年12月から1991年2月までの51カ月間の、資産価格の上昇と好景気、およびそれに付随して起こった社会現象とされている。最近、日本の株価が上がりつつあるとニュースで取り上げられることが多いが、日経平均株価の最高値は、いまだにこのバブル景気時代のもので、具体的には1989年12月29日の38,957円である。これが、バブルのピークの1つである。バブルの崩壊は1992年の2月頃と言われているので、それからおおよそ30年間以上、日本経済は当時の株価を上回ることが出来ない低迷を続けているという言い方もできる。 バブル景気は、私が大学を卒業して数年後にやってきた。私自身は、メーカーに勤めていたので、不動産業や金融業ほどの勢いではないが、それでも、世の中の景気の良さは感じていた。今から振り返ると、やや異常な時代でもあった。バブル当時の世の中で信じられていたのは、「土地と株価はずっと値上がりが続く」といったことであった。私は首都圏に住んでいたが、首都圏の土地の値上がりは激しく、また、マンション価格も高騰を続けており、普通のサラリーマンでは、通勤時間の長くかかるところにしか自家を取得出来なくなっていた。しかし、マンションは、買った時よりも値上がりするのが当然という雰囲気もあったし、また、株もずっと値上がりするものだと思われていた。そういった根拠のない考え方が、更に土地と株価の値上がりを呼んでいた。それがバブル景気だ。 バブル前夜に証券会社に入社した主人公たちは、株価の高騰、バブル景気の膨らみとともに、のし上がっていき、そしてバブルの崩壊とともに破滅を味わう。この小説は、時代を利用し、しかし、最後には時代に翻弄され裏切られた若者の物語である。 証券会社というバブルの渦の中心を舞台にしており、その当時の世相が、よく描かれている。私も、当時の様子を思い出しながら小説を読んだ。ただ、小説の前半は、やや「バブルあるある」的な物語が続き、そんなに面白く読んだわけではない。小説の後半も、「バブル崩壊あるある」的な物語ではあったが、急に小説の緊迫感が増し、面白く読めた。

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2024/02/01

それぞれの形で東京に出てきた3人がバブル崩壊というエピローグとプロローグに描かれたコロナ禍にどう繋がっていくのかと思って読み進めたが…

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2024/03/28

あ、これヤバいぞって 子供だってわかるのに、 欲に目が眩むと人って どこまでも愚かになる んですよね。 どこで道を誤ったのか。 後から振り返るとよく わかるその分岐点も、 そのときは気付かない。 あるいは薄ら気付いて いてもリスクを軽ーく 甘ーく見積もるんです。 まる...

あ、これヤバいぞって 子供だってわかるのに、 欲に目が眩むと人って どこまでも愚かになる んですよね。 どこで道を誤ったのか。 後から振り返るとよく わかるその分岐点も、 そのときは気付かない。 あるいは薄ら気付いて いてもリスクを軽ーく 甘ーく見積もるんです。 まるで綿アメのように ・・・ 波に乗ってるときほど 冷静さを失わないこと ですね。 とても身につまされる 作品でした。

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2024/01/26

福岡の証券会社で新入社員として巡り合った大卒の望月昭平、短大卒の小島佳那、高卒の伊東水矢子がバブル期に株の世界でもがいていく物語。 プロローグで語られるのは35年後に公園の片隅で出会う佳那と水矢子。 物語が進むうちにどうしてそんな35年後の姿になるのか想像がつかず、それだけを知り...

福岡の証券会社で新入社員として巡り合った大卒の望月昭平、短大卒の小島佳那、高卒の伊東水矢子がバブル期に株の世界でもがいていく物語。 プロローグで語られるのは35年後に公園の片隅で出会う佳那と水矢子。 物語が進むうちにどうしてそんな35年後の姿になるのか想像がつかず、それだけを知りたい気持ちで読み進めた。 あのバブルが弾けた時期には、大なり小なりこの物語の様な悲劇があちこちで起きていたのでしょう!

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2024/01/17

 読み終え、あぁ面白かった!と満足する。 しかしよく考えてみれば、プロローグから結末は予想でき、時代背景を知っていればあるある話である。  なのになぜ面白いのか。 やはり作者の筆力なのだろう。 おまけに私にとって、桐野さんの文体がすいすい入ってくるからだろう。  今回も怪しい奴ら...

 読み終え、あぁ面白かった!と満足する。 しかしよく考えてみれば、プロローグから結末は予想でき、時代背景を知っていればあるある話である。  なのになぜ面白いのか。 やはり作者の筆力なのだろう。 おまけに私にとって、桐野さんの文体がすいすい入ってくるからだろう。  今回も怪しい奴らの、どうしようもなさに人間らしさを感じた。

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2024/01/17
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※このレビューにはネタバレを含みます

上下巻、一気に読んだ。 む、胸糞、、、! バブルのおかしさを知れたのは良かった。 バブル時代に生きてなくて良かった。 これからも堅実に生きよう。

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2024/01/09

傑作。600ページあるがすぐに読めた。恐らく意図的に読みやすくしていると思う。 破滅へ進むストーリーに意外性は無いが、むしろそれがどのような展開を持って終わるのかが、好奇心となり読み進められる。 バブルを経験していない崩壊後の世代からするとバブルに取り憑かれて破産した人たちは哀れ...

傑作。600ページあるがすぐに読めた。恐らく意図的に読みやすくしていると思う。 破滅へ進むストーリーに意外性は無いが、むしろそれがどのような展開を持って終わるのかが、好奇心となり読み進められる。 バブルを経験していない崩壊後の世代からするとバブルに取り憑かれて破産した人たちは哀れに見える。ただこの小説を読むと自分が当時の野心をもった若者であったなら狂乱のバブルに挑もうという気概は無かったのだろうかと自問する。そして歯車的に取り返しのつかない流れに飲まれることも。 また当時は当たり前であった男女の格差が随所に現れる。現代だと嫌悪感を催すが今もたいして変わり映えしないことこそに嫌悪感が増す。

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2024/01/05
  • ネタバレ

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下巻は一転、東京に出て来た3人の話なのだが、う〜ん、期待していた展開とは違ったかな。 佳那って、もっと突き進んでいく性格に思えたのに、東京での贅沢三昧を溺れるように楽しむ毎日。 望月も、危なげなく仕事を回して急降下。 2人の心の繋がりは、やっとラストに差し掛かったところで描かれるけど、そんなものなのかな。 水矢子には幸せになって欲しかったけど、それさえも許されないのはバブルという設定だからなのか。 せめてもの救いは最期に佳那が来てくれたこと。切ない……

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2024/01/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

下巻の表紙は伊東水矢子、後に伊東みやこと改名。 バブルでアゲアゲの風潮に流されず、証券会社の事務員として小金をためて、念願の大学受験を機に上京します。が、行きたかった大学には落ちてしまい、偏差値の低い女子大に、不本意ながら通う日々。カツカツの生活の中で、知り合った占い師の下で助手兼家政婦として働くことになったみやこですが、果たして。 虚飾の果てって、サブタイトルみたいについてますが、登場人物たちは虚飾なんて自覚、無かったと思うんですよね。どうしたいのか、自分でもわかってなかっただけ。望月の方は富裕層のプライベートバンカーになって、海外に住みたいという夢はあるのですが、理由というか動機がいまいち曖昧。だからなのか、限度をわきまえずに、突っ走って、かなりヤバいことまで手を染めてしまう。佳那は佳那で、仕事をしたい気持ちも持ちつつも、浪費に明け暮れる日々。多忙を極める望月と、いっしょに過ごす時間もなかなか持てないままに。 佳那は望月の掌中の珠、だけど薄汚れた真珠。 みやこは固い信念をもって自活していましたが、輝けないダイヤモンド。 望月は山鼻から託された運用に失敗し、海外に飛び損ねて殺されてしまうのです。 運悪く戻ってきた佳那と共に。マンションから飛び降りて。 みやこは、うまく立ち回って小金を残せたのですが、母の借金を肩代わりしてから、ジリ貧になり、最後はホームレスにまで落ちぶれてしまいます。 極寒の中、死に瀕したみやこの元に現れる佳那。死んで、もういないはずの佳那。 面白く楽しめたんですが、いまひとつ物足りない思いが残ります。 装丁の雰囲気の影響もあるのでしょうが、なんか昔のフジtvの昼ドラみたいな印象。 みやこも佳那も、にこと同年代の設定なので。妙な親近感覚えます。 あり得たかもしれない、別の人生。本を読む醍醐味ですな。

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2023/12/20

「金さえあれば、何でも出来る」 バブルが崩壊すると同時に、破滅に向かった若者達。 福岡の証券会社から、東京本社に栄転した、望月と佳奈。 福岡時代から、少しぐらいの悪事は、何ほどのものでもないと、がむしゃらに進んだ望月。 贅沢な暮らしに染まっていく佳奈。 一方、受験に失敗した水...

「金さえあれば、何でも出来る」 バブルが崩壊すると同時に、破滅に向かった若者達。 福岡の証券会社から、東京本社に栄転した、望月と佳奈。 福岡時代から、少しぐらいの悪事は、何ほどのものでもないと、がむしゃらに進んだ望月。 贅沢な暮らしに染まっていく佳奈。 一方、受験に失敗した水矢子は、占い師の南郷の元で暮らすことになる。 栄華を望んだ、望月と佳奈夫婦のバブル崩壊後の流転を見て、堅実に生きた、水矢子は、安全な場所に居られるのかと思いきや、母親の借金返済のために、落ちぶれる。 生き残るのは、ヤクザだけ? 不本意な終わり方。 それが、バブル時代なんだろうか。

Posted byブクログ