真珠とダイヤモンド(下) の商品レビュー
全ての現況は望月……。でも水矢子も水矢子で短絡的というか、「頭がいい」という言葉に驕っていたというか……。
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ホームレスになった水矢子の前に現れた佳那。このシーンの種明かしとなるエピローグがなんとも言えず哀しい。 「俺たちやられたんですよ。大人たちに」 日本中がバブルに沸いたあの時代、マネーゲームに奔走し天国と地獄を見た者たち。 望月と佳那はいざ知らず、地道に生きていた水矢子すら行き着...
ホームレスになった水矢子の前に現れた佳那。このシーンの種明かしとなるエピローグがなんとも言えず哀しい。 「俺たちやられたんですよ。大人たちに」 日本中がバブルに沸いたあの時代、マネーゲームに奔走し天国と地獄を見た者たち。 望月と佳那はいざ知らず、地道に生きていた水矢子すら行き着いた先があれでは救いがないな。 同じバブルの時代に東京で働いていた自分がどうだったのか振り返りながらの読書。 バブルの恩恵に与らなかったとは言わないけれど、泡銭を手にしなかったからこその平凡な今があるのかなとふと思ったりも。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
まさかこんな結末になるとは。 私は少し楽観的過ぎた。望月夫妻は持ち前の運が幸いして、何とか逃げ延びるんだろうと思っていた。 人の金で得をし,豪遊したツケが回ってきたのだから当然だという見方もあるかもしれないが,佳那と昭平はまだ若い。若さ故にその筋の人と関わったらどうなるか考えが及ばなかったのだろう。彼らに,もっと親身になって相談できる誰かがいればこんな結末にはならなかったろうに。 望月夫妻は東京に引っ越してから,どちらも箍が外れたように金を使いまくっていた。二人とも金に対してどこかぞんざいであった気がする。 金をうまく使っているつもりでも,実は金に振り回されていたのだろうと思う。金が自由に使える状況になった途端,昭平と佳那の心も離れ始めたことを考えると,まだ貧乏でもがむしゃらに生きていた時の方が良かったようにすら思えてくる。 水矢子だけは,一貫して,派手な冒険をせず堅実に生きていたが,彼女に待ち受ける結末も寂しいものであった。 3人の若者たちを待ち受けていた未来には、希望も何もなかった。 何とも言えない読後感。
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こんな時代だったんだ…と終始ドキドキしながらあっという間に読み終えた。 お金のためにどんなこともやる人達、男性優位が当たり前の会社や学歴社会… 今の時代はタブーとなっているようなことが赤裸々に描かれていて、興味深かった。 そして相変わらず桐野さんの目に浮かぶような人物描写は素晴ら...
こんな時代だったんだ…と終始ドキドキしながらあっという間に読み終えた。 お金のためにどんなこともやる人達、男性優位が当たり前の会社や学歴社会… 今の時代はタブーとなっているようなことが赤裸々に描かれていて、興味深かった。 そして相変わらず桐野さんの目に浮かぶような人物描写は素晴らしい。輝かないダイヤモンドという言葉も絶妙。 ぜひ映像でも見てみたい作品。
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1986年証券会社福岡支店に入社した者たち。伊東水矢子は母子家庭で大学に行く金を貯めに入社。小島香那はフロントレディになって稼ぐために。他人の気持ちが汲み取れない望月は太客を掴んで出世するため。バブル到来に浮かれて・・・ 失礼な言い方だけど、意外と読みやすく、意外と面白い。 ...
1986年証券会社福岡支店に入社した者たち。伊東水矢子は母子家庭で大学に行く金を貯めに入社。小島香那はフロントレディになって稼ぐために。他人の気持ちが汲み取れない望月は太客を掴んで出世するため。バブル到来に浮かれて・・・ 失礼な言い方だけど、意外と読みやすく、意外と面白い。 バブル期の証券会社のやり口についてはある程度は知っているつもりではいたけれど、NTT株の裏にはそんなインチキがあったとは。 参考文献が何一つ挙げられていないのが残念。
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下巻もおもしろかったです。 上巻の躍動感から一転、下巻は転落していく主人公2人のその後の人生が描かれています。 主人公が女性だからこそ、おもしろい作品だと思いました。 今と違って、女性が男性と同等の仕事をするのはまだまだ難しい時代。 結婚を機に退職した佳那と、派遣の水矢子。2人...
下巻もおもしろかったです。 上巻の躍動感から一転、下巻は転落していく主人公2人のその後の人生が描かれています。 主人公が女性だからこそ、おもしろい作品だと思いました。 今と違って、女性が男性と同等の仕事をするのはまだまだ難しい時代。 結婚を機に退職した佳那と、派遣の水矢子。2人とも基本はいい人で、仕事ができる人なんだと思う。 どんな形であっても、生き抜いて欲しかったと思わずにはいられないせつないラストでした。
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Amazonの紹介より 桐野夏生が描く「バブル」 欲、たぎる地で迎える圧巻のクライマックス 時代はバブル全盛に。東京本社に栄転が決まった望月と結婚した佳那(かな)は、ヤクザの山鼻の愛人・美蘭(みらん)のてほどきで瞬く間に贅沢な暮らしに染まっていく。一方の水矢子(みやこ)は...
Amazonの紹介より 桐野夏生が描く「バブル」 欲、たぎる地で迎える圧巻のクライマックス 時代はバブル全盛に。東京本社に栄転が決まった望月と結婚した佳那(かな)は、ヤクザの山鼻の愛人・美蘭(みらん)のてほどきで瞬く間に贅沢な暮らしに染まっていく。一方の水矢子(みやこ)は不首尾に終わった受験の余波で、思いがけない流転の生活がスタートする。そして、バブルに陰りが見え始めた頃、若者たちの運命が狂い出す……。 期間としては約2年間が描かれるのですが、内容が濃すぎでした。長い年月を過ごしていたんじゃないかと思うくらい起伏の激しい出来事ばかりでした。 下巻では、バブル期の絶頂期から転落していき、そして・・といった展開になっています。えげつない転落人生に背筋が凍りました。 桐野さんの描く追い詰められていく登場人物の描写が、秀逸でした。精神的に追い込まれる心理描写が際立っていて引き込まれました。 欲に塗れる人達の光と影を見ていると、いかに株がハイリスクなのか痛感しました。 絶頂期では、あんなにはしゃいでいた人達が、バブルが弾けると、憎悪の塊となって怒りへと発展していく描写にお金の恐怖を感じました。 特に怪しげだった人達が、本領を発揮するかのように攻撃する描写は、読んでいてもホラーと思えるくらい鬼気迫っていて怖かったです。 甘い蜜を吸いすぎた分、その反動はとてつくもなかったです。 やっぱり地道な道を選んだ方が良いのかなぁとしみじみ思ってしまう自分がいました。 そして、上巻のプロローグでの場面の続きが、下巻の最後で描かれるのですが、最初に思っていた印象とは違った印象だったので驚きでした。 まさかあの人が・・・。さらにラストの展開は後味悪いですが、なんとなく解き放たれたような感覚もありました。 「お金」によって狂わされた登場人物達。スリルを味わうか細々とした人生を味わうか。 吸いも甘いも、人間の色んな人生を垣間見た作品でした。
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バブルを象徴するかのような恐ろしくて残酷で、それとどこか夢のような終わり方だったと思います。 全体的に本当に読みやすく、内容も頭にスラスラ入ってきて、とても面白かったです。 二人の女性を軸に描かれていて、お互いが性格も人生の歩み方も全く違うけれど、時代や人に翻弄されながらも精一杯...
バブルを象徴するかのような恐ろしくて残酷で、それとどこか夢のような終わり方だったと思います。 全体的に本当に読みやすく、内容も頭にスラスラ入ってきて、とても面白かったです。 二人の女性を軸に描かれていて、お互いが性格も人生の歩み方も全く違うけれど、時代や人に翻弄されながらも精一杯生きてるという思いがよく伝わってきて、物語に惹き込まれました。
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下巻は、舞台は東京。 3人のうち、二人は結婚して、男は本社勤務となり、浦安に新居を構える。 もう一人の同期も、念願通り、志望校ではないものの、東京の大学に入学できた。 夢がかなって東京に出てきたものの、ますます手段を選ばず仕事にのめりこむ望月に取り残された妻、佳那と、大学に入った...
下巻は、舞台は東京。 3人のうち、二人は結婚して、男は本社勤務となり、浦安に新居を構える。 もう一人の同期も、念願通り、志望校ではないものの、東京の大学に入学できた。 夢がかなって東京に出てきたものの、ますます手段を選ばず仕事にのめりこむ望月に取り残された妻、佳那と、大学に入ったものの、志望ではない学校に魅力を感じられず、目標を失った水矢子。 時はまさにバブル真っただ中。 投資したお金は、5倍10倍になり、誰もが株に手を出したり、金銭感覚がマヒしていく様子、折しもNTT株の上場という出来事なども折り込まれ、あ~あの頃・・・とよりリアリティに記憶が遡っていく。 しかしやがてバブルははじけて・・・ 手にしたあぶく銭は手につかず、しっぺ返しは殊の外、厳しく。 面白く、ほぼ一気に読みました。 桐野さんは本当に、嫌な、いやらしい人間を描くのがうまい。 誰一人共感できる人物はいないのに、ぐんぐん引き込まれていく。 あの時代は、本当にこんな感じだったんだろうな、どこにでもある話なんだろうな、と思わせるが、結末がちょっと簡単すぎたなぁ。もうひとひねり欲しかったなぁ。
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真珠とダイヤモンド 最終章で意味が分かる。 謎ではなく、女性二人の生き方だった。 この二言で、文学になった。 さすが
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