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過ぎる十七の春 の商品レビュー

3.8

30件のお客様レビュー

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2023/11/10
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

春になり毎年恒例の伯母と従兄弟の家に遊びに来た直樹と妹の典子。伯母の家は花々が咲き誇る桃源郷のような場所で伯母の美紀子も従兄弟の隆も優しい。だが、今年は何かがおかしかった。 夢幻のような綺麗な里山に住む伯母と従兄弟。いつでも物静かで穏やかで優しい。そこから始まり、それが徐々に崩れていく、何かが伯母を従兄弟をおかしくしていく、だがそれが何かは分からない。徐々に日常を脅かす恐ろしい変化を感じるのに正体が分からない恐怖。その描写を小野不由美先生は実に上手く書く。そして人間の強さと弱さを、幽霊の強さと弱さを丁寧に書く。毎回小野先生の書く作品を読むと感じるが1番怖いのは人間だなと感じる。 個人的にはこの呪い直樹と隆以外に抵抗しようとした人はいなかったのか?200年の間抵抗の形跡がなく家系図しか残っていないのは違和感があった。そして三代、家を守護している描写こそあるがそれだけだ。重要なポジションだけにもう少し三代の事は掘り下げてほしかった。

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2023/10/10

見えないもの,理解できないもの,がヒタヒタと近づき,その存在を現す,不条理を伴う日本古来の恐怖を冷徹に淡々と描く筆致は,確かに小野不由美の著作だ,と瞬時に理解される.し,新作は執筆なさらないのですか….

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2023/08/27

2023.08.27 小野不由美さんのホラーは全部読んでいたと思っていたが、今までなぜかこれだけ読み逃していた。ので文庫が出たタイミングで購入。 恐ろしくはなかったが、さすがはホラーの名手。そしてミステリにも破綻がなく隙がない。

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2023/08/14

2023.8.13読了。 ホワイトハート時代に既に読んでいるものの、現在手元に無かったこともあり購入。 久々に読んでみて、まず最初に描かれる春の花里の描写に驚いた。 最近の小野不由美作品にはみられない、華美な文言のオンパレード。言葉がこれでもかと飾られて溢れるように豪華に盛り...

2023.8.13読了。 ホワイトハート時代に既に読んでいるものの、現在手元に無かったこともあり購入。 久々に読んでみて、まず最初に描かれる春の花里の描写に驚いた。 最近の小野不由美作品にはみられない、華美な文言のオンパレード。言葉がこれでもかと飾られて溢れるように豪華に盛り付けられている。文字の羅列でしかない文章が春の柔らかな空気と咲き誇る花々の色彩を想起させる。 それが仙郷や桃源郷のようだと比喩される百花繚乱な里のイメージに妙に似合っていて小野不由美の文章としては異質なのにこれはこれでアリかとも思える。 とはいえ、ちからの入り方に作者の若さを感じるのも確か。近年の営繕かるかや奇譚のような削ぎ落とされて磨かれて洗練された文章との違いは、30年前の作品だと思えば得心がいく。 しかしながら話の展開や章ごとに挟まれるモノローグ(章を重ねるごとに言葉が増えて形が顕になっていく構成が秀逸。)の使い方、ホラー要素からは30年前の作品だとはとても思えない。 不穏な微かな違和感が徐々に日常を蝕んでいく怖さや登場人物達が呪いを辿り対峙する恐ろしさ、そして呪う側の激しい怨みと深い悲しみが心に残る。 ただ惜しむらくは呪いの引き際がやけにアッサリしていたところか。二百年間何代にもわたって呪っておいて、物分かりが良過ぎるような。 話が通じないからこそ怪異は怖いのだと思う。 小野不由美のホラーは後味が切ない。 読後の余韻は清々しくなく、ほんのり哀しい。 そこが魅力だといつも思う。 親になった今、母親の情も理解できるから余計に胸に迫るものがあった。

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2023/08/11

注意点 ・怖いです。ちゃんと怖いです。ホラー小説が苦手な人は要注意です(回れ右してもOK!) ・1/3まで読めたら怖くても最後まで読むべきです。結末まで面白いので、ホラー小説が苦手な人も満足感を得られるでしょう。 ・小野不由美さんの「十二国記シリーズ」を既に読んでいる場合はホラー...

注意点 ・怖いです。ちゃんと怖いです。ホラー小説が苦手な人は要注意です(回れ右してもOK!) ・1/3まで読めたら怖くても最後まで読むべきです。結末まで面白いので、ホラー小説が苦手な人も満足感を得られるでしょう。 ・小野不由美さんの「十二国記シリーズ」を既に読んでいる場合はホラー小説が苦手でも大丈夫です。「魔性の子」に耐えられたなら何とかなります。

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2023/07/27

従兄弟どうしであり、ともに十七歳の誕生日を間近に控えた直樹と隆。桃源郷のような隆の家で春休みを過ごすうち、突如として隆に異変が起こる。夜ごと訪れるあやしいもの、そして過去の因縁がさらなる悲劇を呼び起こす圧倒的迫力のホラーです。 再読だけれど、何度読んでもぞっとします。あれが現れる...

従兄弟どうしであり、ともに十七歳の誕生日を間近に控えた直樹と隆。桃源郷のような隆の家で春休みを過ごすうち、突如として隆に異変が起こる。夜ごと訪れるあやしいもの、そして過去の因縁がさらなる悲劇を呼び起こす圧倒的迫力のホラーです。 再読だけれど、何度読んでもぞっとします。あれが現れるシーンの描写、家族への心情が変貌してしまう過程、全部怖い。三代の存在だけが救いでした。 ただ、怖くはあるけれど切なくもあります。だからといってあの呪いは桁外れですが。ほろりとさせられる点もありました。

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2023/07/07

序盤で挫いてしばらく積読状態でしたが、 ある程度、読み進めると先が気になって仕方なくなり一気に読めました。 安定の面白さでした。 このように昔の良作を改めて出版していただくのは目に触れやすくてありがたいです。

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2023/06/19
  • ネタバレ

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2016年刊の新装版。 雰囲気たっぷり。饒舌な掛け合いのない、あさのあつこさんみたいな文章だった。

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2023/05/26

十二国記の小野不由美先生の短編。 現代日本を舞台に『17歳』という年齢に差し掛かる二人の男子が、不思議な出来事に巻き込まれ……。 怪我や死の描写もあり、やや重い内容ですが、小野先生の世界にぐいぐい惹き込まれてあっという間に読んでしまいました。 怖いだけじゃない様々な感情と、主...

十二国記の小野不由美先生の短編。 現代日本を舞台に『17歳』という年齢に差し掛かる二人の男子が、不思議な出来事に巻き込まれ……。 怪我や死の描写もあり、やや重い内容ですが、小野先生の世界にぐいぐい惹き込まれてあっという間に読んでしまいました。 怖いだけじゃない様々な感情と、主人公以外の登場人物の視点など、読み返す度にいろいろと発見できそう。 怖さは、魔性の子よりは柔らか…かな。 夜に読むのはオススメしないかも。

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2023/05/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

どれくらいのホラーかなと思ったらがっつりホラー。残穢のような怖さ。 古さは感じたけど読みごたえはあった。が、そんなに感動しなかった。母の愛というのがそんなに心響かなかった。 何度もリフレインする、過去のやりとり。我が子を奪われた恨みが呪いとなって続くが、それを解くのも母の愛というのは綺麗過ぎて。 直樹が洗脳で母親を憎んだり周りを疎むようになったところは面白かった。逆に隆の言うことを真面目に受け取れないところはイライラした。幼い。 ミステリーのように出来事に対処していくところは面白かったな。取り替えの可能性も考えてたけど、そうだった。誕生日、いつも違ったし学年も違ったのかな。まあ半月だしな。

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