バールの正しい使い方 の商品レビュー
他の方も書かれているように、私も表紙とタイトルのインパクトに引かれて読んでみました。 タイトルからは想像もつかない内容でしたが、最後に『バール』というキーワードの意味が明かされたとき、なるほどそういう意味があったのかこのタイトルは、と感心させられました。 確かにミステリーとしては...
他の方も書かれているように、私も表紙とタイトルのインパクトに引かれて読んでみました。 タイトルからは想像もつかない内容でしたが、最後に『バール』というキーワードの意味が明かされたとき、なるほどそういう意味があったのかこのタイトルは、と感心させられました。 確かにミステリーとしてはさほどひねりがあるわけでもないのですが、全体的に漂う切なさと最後のまとめ方はなかなかなものだと思いました。
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完全にタイトルのインパクトで買いました。 モロ鈍器なタイトルから猟奇殺人系かなーと踏んでいましたが、そんな安直な考えとは真逆で、中身は想像の斜め上をいく作品でした…。 一言では表現が難しい作品。 ベースになっているのは、父親の仕事の都合で転校を繰り返している主人公『要目礼恩』を...
完全にタイトルのインパクトで買いました。 モロ鈍器なタイトルから猟奇殺人系かなーと踏んでいましたが、そんな安直な考えとは真逆で、中身は想像の斜め上をいく作品でした…。 一言では表現が難しい作品。 ベースになっているのは、父親の仕事の都合で転校を繰り返している主人公『要目礼恩』を中心として進む、淡くほろ苦い青春譚としての短編集なのかなと思うけど、時に叙述トリックを用いてほんのりミステリの香りを纏ったり、ラストは病の中まるで鏡写しのような『明田希望』というヒロインと出会い、脆く切ないハートフルドラマを展開したりと、まるで掴みどころがない。 それ故に読者側は退屈させられることなく、右に左に心地よく揺さぶられるのかなと。 この作品、帯にも大絶賛の嵐だったから、中身分からないけど謎の期待だけを胸に読み始めましたが、心地よい読了感に包まれました。 ・ ・ ・ ・ ・ 転校を繰り返す小学生の礼恩が、行く先々で出会うクラスメイトは噓つきばかりだった。 なぜ彼らは噓をつくのか。 友達に嫌われてもかまわないと少女がつく噓。 海辺の町で一緒にタイムマシンを作った友達の噓。 五人のクラスメイトが集まってついた噓。 お母さんのことが大好きな少年がつかれた噓。 主人公になりたくない女の子がついた噓。 さらにはどの学校でもバールについての噂が出回っているのはなぜなのか。 やがて礼恩は、バールを手にとり――。
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面白かったけど期待したほどではなかった。 バールはあんまり関係なくで、題名が面白くて持っていかれた感じ。
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仕事帰りに立ち寄った書店で、新刊棚で見つけた一冊。 表紙のバールがとても目を引き、裏面に「恐るべきどんでん返しに悶絶する人続出!」と書かれていたら買うしかない。笑 小学校4年~6年にかけての連作短編。 父の都合で転校をくり返す礼恩(れおん)。 転校先では目立たず、浮かないように...
仕事帰りに立ち寄った書店で、新刊棚で見つけた一冊。 表紙のバールがとても目を引き、裏面に「恐るべきどんでん返しに悶絶する人続出!」と書かれていたら買うしかない。笑 小学校4年~6年にかけての連作短編。 父の都合で転校をくり返す礼恩(れおん)。 転校先では目立たず、浮かないように、 うまく擬態するようにしている。 どの学校でも噂として登場する「バールの怪人」。 転校先で起こる事件と謎。 そこに必ず出てくる「バールの怪人」。 礼恩が淡々と語るので、 安心して謎解きを楽しむことができました。 最後までその安心感で読み切れました。 バールの表紙でホラーとかサスペンスみたいな怖い感じも想像していたのですが、良い意味で裏切ってくれました!
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タイトルに惹かれ思わず手に取った一冊。 一人の小学生が出会ったクラスメイトたちがつく「嘘」と、つかれた「嘘」 その「嘘」の真実は優しさもあるけれど、残酷で、哀しい真実だった。 小学生が経験するにはかなり酷なエピソードばかりで、妙に大人びている主人公だが、最終章、ここに繋がるのか、と納得。 帯の書店員さんの感想にもあったけれど、ちょっと読んでみてよ、とお勧めしたくなる作品です。
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目次 ・プロローグ ・狼とカメレオン ・タイムマシンとカメレオン ・五人とカメレオン ・靴の中のカメレオン ・ブルーバックとカメレオン ・ライオンとカメレオン ・エピローグ 何の予備知識もないまま、タイトルに惹かれて読んだ。 ずっと気になっていたのだ。 ニュースで言われる「バールのようなもの」って何? 「バール」ではないらしいが、そもそもニュースをご覧の皆さん、「バール」をご存じなのか? 私は存じ上げなかったので、調べてみた。 「釘抜き」との違いがいまだに分からない。 でも、「釘抜き」のようなものじゃダメなんですか? だって所詮「のようなもの」なんでしょ? その謎が、ついに解き明かされるかと思って読んでみたのだけれど、作中の子どもたちはみんな「のようなもの」に反応して、「バール」については周知のことのようだった。 つまり、長くて振り下ろせば凶器にも武器にもなりうるもの、それがバールのようなもの。 だから「杖」も(え?ちょっと違くない?)「バット」も(うーん、いかがなものか)「定規」も(さすがに違うやろ)バールの「ようなもの」であるという結論。 それでいいのか?と考えて考えて礼恩(れおん)が辿り着いたのが、正しい使い方、だ。 ほんの数カ月足らずで転校を繰り返す要目礼恩(かなめれおん)。 これはその彼の、小学校4年生から6年生にかけて経験した、嘘をめぐる話だ。 しかも、どの話も子どもと死との距離がごく近い。 切ないのは、自分を殺すための嘘をつくことを選択した話と、嘘をつくことすら考えないがために殺されたのかもしれない話だ。 それは、親と子の話でもある。 礼恩がなぜ短期間で転校しなければならないのかというと、父親がすぐ仕事を辞めてしまうから。 だから礼恩は親友を作らない。 誰かの心に残る存在であることなど、最初からあきらめている。 これは、辛い。 これだけでも父親の身勝手さに腹が立つというのに、一応仕事優先なのだ。 ちょくちょく引っ越しを重ねるわりに、礼恩の父はモテるらしい。 だから女友達が食事を作ってくれたり、洗濯もしてくれたりする。 それを読んで私は、礼恩の父は彼女に何を与えているのか?と思う。 時間ではない、仕事優先だから。 お金ではない、引越しや転職ばかりでそれほどの大金を持っているとは思えない(貯金はあったらしいけど) そもそも小学生の子ども一人残して、いつデートの時間を作っていたのか? 大変仕様ならない大人として私の心に深く刻まれた礼恩の父なので、痛い目を見たときは溜飲が下がりました。 子どもは世間を知らないけど、だからこそ誰かを守ると決めたら全力で守ろうとする。 その小さな力で大人を守ろうとすることすらある。 だから私は自分の幸せのために子どもに己を殺せと言えるような花名の母や、自分の幸せのために子どもを切り捨てたのかもしれない浦上くんの母や、自分の都合で礼恩を振り回す彼の父が大人として情けない。 礼恩の父は、彼が転校先の世界でなじめるように、カメレオンのように擬態をしていることを知らないだろう。 良くも悪くも目立たないように、その他大勢と同じになるように擬態する。 それは自分の個性を殺すことだ、と、花名と話して気づく礼恩。 生きるために、バールを使う。 生きてきたことを遺すために、バールを使う。 予備知識なかったけど、いい本にあたった。 で、バールって何?
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父の仕事の都合で転校ばかりの小学校時代をすごしていた"礼恩"。行った小学校で『バールのようなもの』を持った何かに襲われるという噂話を聞く。そしてそれぞれの小学校でおきる問題に答えを見つけ出す。短編ながら、それぞれの物語に悲しくもあり、大切な事を語ってくれている...
父の仕事の都合で転校ばかりの小学校時代をすごしていた"礼恩"。行った小学校で『バールのようなもの』を持った何かに襲われるという噂話を聞く。そしてそれぞれの小学校でおきる問題に答えを見つけ出す。短編ながら、それぞれの物語に悲しくもあり、大切な事を語ってくれている。最後の病院からいなくなってしまった女の子。礼恩にあてた手紙には思わず涙が…数年後、礼恩の元に『明田希望』の名前である物が届く。そしてそれを送ったのは…まさかのどんでん返しだった。
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まずは表紙・タイトルの印象と内容のギャップに驚きました。正統ミステリーと思いきや、小学校を舞台にした連作ミステリー。推理ものと青春ものの両側面があり、平易な会話文で読み易いです。 心底ミステリー好きな方、物語の詳細にこだわる方にはツッコミどころが多々あり、評価が分かれるかも...
まずは表紙・タイトルの印象と内容のギャップに驚きました。正統ミステリーと思いきや、小学校を舞台にした連作ミステリー。推理ものと青春ものの両側面があり、平易な会話文で読み易いです。 心底ミステリー好きな方、物語の詳細にこだわる方にはツッコミどころが多々あり、評価が分かれるかもしれません。不自然だったり都合のいい展開や設定は、確かに理解し難い部分もあるのですが、一人の少年の成長譚と受け止めると、優しさと温かさが伝わってくる気がします。 主人公は要目礼恩(かなめれおん)、父の仕事で転校を繰り返す男の子。礼恩の小4〜6時代、転校先でのエピソードが6話続きます。 転校先で周りから浮かないよう、集団に馴染む術を身に付けて(カメレオンの擬態?)いる礼恩は、行く先々でクラスメイトの嘘、都市伝説に似た「バールのようなもの」を使う者の噂を見聞きしながら、関わっていく内容です。解決、ん?怪傑ヒーローではありません。 礼恩は、そんな嘘や噂と関わるうち、自分の考え方や行動が変化していき‥。これは、「バール=凶器」という無意識のうちに抱く意識(負の暗示)を解放し、使い方次第と気付くことと同義なのですね。 本書の下半分を覆う帯に隠された装丁が、上手く内容を象徴している気がします。インパクト大ではあるもののカバーデザインは秀逸だと思いました。 直近に読んだ作品と、バールつながりで続けて読むことができてよかったです。
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転校を繰り返す小学生の礼恩が転校先で嘘に出会いバールのようなものを手にする話。礼恩が出会う嘘はキラキラしたものではなく重たいもので、その嘘の背景を知り心にのしかかる。靴の中の小石が礼恩同様私にも刺さる。ちょっとバールの怪人が気になる。
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