破局 の商品レビュー
主人公自身や、度々入ってくる場面描写がどこか奇妙。「何か違和感を感じる」小説は割と数があるけど、遠野さんの世界観は本当に独特で、違和感どころか確信的におかしい。その世界観にハマってしまって一気読みした。 しかし、物語の一番の事件は、その主人公のおかしさは直接的に関係ない。自他のあ...
主人公自身や、度々入ってくる場面描写がどこか奇妙。「何か違和感を感じる」小説は割と数があるけど、遠野さんの世界観は本当に独特で、違和感どころか確信的におかしい。その世界観にハマってしまって一気読みした。 しかし、物語の一番の事件は、その主人公のおかしさは直接的に関係ない。自他のあくまで普通の感情に翻弄されてしまったという印象だ。 トラブルというのは、誰かの持ちうるおかしさではなく、ごく普通の感情によって起こるのかもしれない。
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感情への鈍感さ。主人公の中では理屈が通っているんだけど、何かが圧倒的に欠けている。ちょっと前に別れた彼氏、全然対話ができなかったんだけど、こういう人だったのもかもしれないなと思った。
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平易な文章表現があまり好きになれなかった。何より内容が空虚。なぜ芥川賞に、という疑問が払拭し切れない。しかし読後色々考えたが、この空虚さや平易さが正に現代のカオスな世の中を生きる迷走した若者を如実に表しているのでは無いかという考えに至った。 平易かつ空虚だからこそ読み手に様々な読...
平易な文章表現があまり好きになれなかった。何より内容が空虚。なぜ芥川賞に、という疑問が払拭し切れない。しかし読後色々考えたが、この空虚さや平易さが正に現代のカオスな世の中を生きる迷走した若者を如実に表しているのでは無いかという考えに至った。 平易かつ空虚だからこそ読み手に様々な読解を与える作品なのかもしれない。 自分にとって新しい読書だったけれど、芥川賞と聞かなければ最後まで読まなかったと思う。(それくらい読んでる時は退屈だった。)そういう意味では権威やネームバリューに左右されて読書してしまっている自分に気付かされる作品でもあった。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
なんだかわけがわからなかった。 なにか事件が起こるわけでもなく、ただ陽介が送る日々が綴られているだけなのにどこががおかしくて気持ち悪かった。陽介が語っているような文体なのに、実際の陽介の喋り方や性格と全く違っているのも怖かった。 1番面白かったのは麻衣子の小学生時代の話だ。たぶん男は小児性愛者で前々から麻衣子に目をつけていたのだろう。その後が気になった。 灯の性欲が日に日に強くなっていった理由も気になった。 芥川賞受賞作品だと読み終わってから知ったが、そんな感じするなと思った。結構好みで、面白かった。
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自分のことなのに他人事みたいに捉えていて不思議、そしてなんだか哀れ 女性へのマナーとか、パッと見たらよくできた人間なのに中身はすっからかんでそこに惹かれた女性も狂ってゆく いつもあとがき読まないけど読んだ オチの後味の悪さもよかった
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令和の若者らしいというかなんというか…頭悪そうな文章なのは、主人公の設定的にわざとそうしてるのかな?移動中の時間潰しにはなったけど、再読は無いかな。
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スラスラと読み進めた結果、あっけなく結末を迎え、解説を読んで「なるほど」となった。解説を読んでからまた読み直すと新しい発見がありそう。 初見ではどこか違和感を得ながらも読んでるうちにいつの間にか「破局」を迎えてしまったが、2回目に読むと何が「私」を「破局」に追い込んだのか気づけ...
スラスラと読み進めた結果、あっけなく結末を迎え、解説を読んで「なるほど」となった。解説を読んでからまた読み直すと新しい発見がありそう。 初見ではどこか違和感を得ながらも読んでるうちにいつの間にか「破局」を迎えてしまったが、2回目に読むと何が「私」を「破局」に追い込んだのか気づけるかなと思った。 「私」は自分を規則正しくルールに則って生きてる善良な人間だと思っているけど、それはあくまで社会的に定められた範疇で、正しいとされる規律やマナーに他人行儀に従っているにすぎない。「世間的にはこれが正しいとされる」「父親がそう言っていた」他人などが決めたことに倣ってるだけで、本心からそうしてるわけではない。頭でわかってるだけで、心では何も感じていないというか。 そうした現代人の歪みのようなものを、ユーモアも織り交ぜながらうまく文章表現に落とし込んでる点が、芥川賞につながったのだろう。
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結末が気になって最後まで読んだけど、自分の心が動く場面が一つもなかった。主人公の行動が機械的で描写も自己完結ばかりだからか、キャラクターの心理が掴めなくて共感しにくかったのだと思う。何か技術的な事をしてるんだろうと思われる描写があちこちあったが、何を表現してるのか探ろうという気に...
結末が気になって最後まで読んだけど、自分の心が動く場面が一つもなかった。主人公の行動が機械的で描写も自己完結ばかりだからか、キャラクターの心理が掴めなくて共感しにくかったのだと思う。何か技術的な事をしてるんだろうと思われる描写があちこちあったが、何を表現してるのか探ろうという気になれなかった。だから解説を読んだ時、答えらしきものが全部書かれてて、わかる人にはわかるんだなと感心した。でもそれもふーんって感じで、理解した所で感動はなかった。あと、女の人の会話がやたら長くて、1人で2ページ以上喋り続ける場面は、会話として破綻してるんじゃないかと違和感を感じてしまった。 そもそもこの本を読もうと思ったきっかけは、作者が「大学時代に、受け手の側ばかりにいるというのはどうなんだろう?という気持ちが芽生えてきまして。美術館に行くのが好きなんですが、展示を観るたびに疎外感というか焦燥感というか、何か落ち着かない気持ちになっていたんですよ。世の中にはいろんな人がいて、いろんな創作をしている。それなのに自分は何もつくっていないな……と。つくるほうの世界に入っていかなくていいのかな? という思いが頭をもたげるんですね。」と発言していたインタビュー記事を読んで、共感したから。彼は一体どんな作品を作ったんだろうと興味が湧いたため、芥川賞受賞の破局を読んでみた。結果、このインタビュー以上の共感も感動もなかった。でも、ちゃんと最後まで作品を書き上げて世に発表した行動力は賞賛したい。 キャラクターの脇がお笑いに感して、「何かを生み出す葛藤にずっと苛まれていて、でもその悩みはわりと誰もが持っている普遍的なもので、じゃあ自分だけの苦悩ってないのかな」「ずっと自分の頭の中だけでお笑いを作ろうとしていて、他者の作品から真剣に学ぼうとしたり、人との関わりのなかで自分の世界を広げていく作業をしてこなかったから駄目だという事に気づいた」みたいな事を言ってる場面があって、ここだけは共感できた。この描写は作者のインタビューに通ずるものがあると感じたし、自身と向き合うという過程を経て出てきた言葉に思えたから。文学に対して私の理解が不足してるのかもしれないが、深く考察しないと理解できない話より、キャラクターや作者の心情、葛藤がストレートに伝わってくる作品の方が感動でき、そういった文章から滲み出る熱みたいなものを文学に求めてるんだと再認識させられる作品だった。
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読みやすかった 結局、みんなそれぞれ至らない部分がある作品 それぞれの気持ちも理解できる内容 モヤっとが残る
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ちょっと側から見たらよくある大学生の話だが 主人公の淡々とした思考回路が猟奇的 自我が感じられない辺りがまさしくゾンビ 認知と言動のアンバランス感が気持ち悪くていい
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