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密漁海域 1991根室中間線 の商品レビュー

4.5

2件のお客様レビュー

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2022/12/10

道東の海を舞台にした物語。密漁、ソ連崩壊、環境保護なんかがぐちゃっと織り交ざったお話でした。ミステリーとしての意外性はあまりないです。これは主人公咲月の壮絶ともいえる人生を読む本です。

Posted byブクログ

2022/12/07

札幌で書店を覗くと沢山平積みされていた一冊だ。所用の際の待ち時間に一寸読む文庫本でも求めようとしていた中、何やら「好さそう…」と求めた。そしてそれは好判断であったと思う。想定した所用の際の待ち時間に紐解き始め、列車での移動の際、更に拙宅居室で時間を設けてと、ドンドン読み進めて愉し...

札幌で書店を覗くと沢山平積みされていた一冊だ。所用の際の待ち時間に一寸読む文庫本でも求めようとしていた中、何やら「好さそう…」と求めた。そしてそれは好判断であったと思う。想定した所用の際の待ち時間に紐解き始め、列車での移動の際、更に拙宅居室で時間を設けてと、ドンドン読み進めて愉しく読了した。 本作の冒頭、2つの序章が在る。 1つは1989年の出来事である。日本海の“不審船”を海上保安庁の巡視船が追い、海上保安官達が洋上で停めた“不審船”に乗り込んで乗員を取り押さえようとする。その海上保安官達の中に宮島咲月(みやじまさつき)が在った。そして“事故”が発生した。 もう1つは2021年9月の出来事だ。宮島咲月は北海道の羅臼に在った。既に相当に年齢を重ねているが、所謂“密漁”に関する仕事に携わっていた。そんな中、漁船が襲撃され、漁業者が殺害されているという奇怪な事件に出くわす。そして「海魔」と呼ばれた古い事件のことを思い出した。 そして本編に入って行く。1991年1月頃から物語は起こる。 最初の序章で、宮島咲月という人物の背後が明かされたが、彼女は北海道の羅臼で漁船員になっていた。乗組んでいた船がソ連に拿捕され、拘束されていて釈放されるというような辺りから展開する。 同じ船に乗り組んでいて釈放された仲間達が各々の道へ向かう中、宮島咲月は所謂“特攻船”の仕事をすることとなった。 その仕事を続けていた中、漁船が襲撃され、漁業者が殺害されているという奇怪な事件が伝えられた。散発するこの事件は怖れられ、謎の犯行グループは「海魔」と呼ばれるようになっていた。 本作はこの1991年の出来事の顛末が在り、終章にそれを思い出してしまった2021年の出来事の事が綴られる。予想し悪いような展開で、少し前のめりに読み進んでしまった。 自身は本作の主要視点人物である宮島咲月よりも少し若い程度だと思う。自身が刻んだ年輪というような中での出来事で面白い。他方、不運、不幸を負ってしまう、巻き起こしてしまうと思い込むような、何か不器用である宮島咲月の生き様、そういう彼女が“事件”のことで奮戦する様子は何か動かされる。そして60歳代になっている2021年に彼女は何を思うのか? 或いは、1991年頃という“時代”と合わせながらヒロインの生き様を語るような物語かもしれない。凄く愉しんだ作品である。

Posted byブクログ