じゃむパンの日 の商品レビュー
2017年に永眠された赤染晶子さんのエッセイ集。 55篇plus岸本佐知子さんとの交換日記。 ユーモアたっぷりに描かれた日常が、ついこのあいだのことのような気にさせる。 温もりを感じさせるエッセイ。 とくに印象に残った3篇。 〈書道ガール〉雅号が「生盛」とは立派以上のものを...
2017年に永眠された赤染晶子さんのエッセイ集。 55篇plus岸本佐知子さんとの交換日記。 ユーモアたっぷりに描かれた日常が、ついこのあいだのことのような気にさせる。 温もりを感じさせるエッセイ。 とくに印象に残った3篇。 〈書道ガール〉雅号が「生盛」とは立派以上のものを感じてしまった…でも「村上弘明」がしっくりくるなんてお母さん最高だわ。 〈新記録〉確かに私も一時期よく編んだ。もちろんマフラーに始まり手袋もベストにセーターまで。 模様編みに凝りすぎてめちゃくちゃ毛糸を使用して、ずっしり重かったベスト。 編むのも着るのも肩が凝るので、今は編み棒を持つこともないが…。 「手袋の右手、四つ」には笑ってしまった。 〈いずこへ〉美術館へ行くたびに気にはなっていたイヤホンガイド。借りたい気持ちはあるのに借りる勇気がない。(ここに出てくるおっちゃんの勇気⁇なんて真似もできないことだが) まぁ、いいか〜と思ってしまう。 だけど次回、足を運ぶことがあればぜひ借りようと思った。 岸本佐知子さんとの交換日記もとても楽しめた。 中学時代に男子と交換日記をする同級生がとても羨ましかったことを思い出してしまった。 過ぎ去った青春の日々…。
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どれをとっても面白いです。すべては孫のため、祖父手製の飛び出し坊やしょうちゃんが3つ置かれた道を通う小学校生の著者、祖母のこだわりの腹かけを着てプールのための着替えにのぞんた保育園生の著者がお気に入りの話です。
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結局私が手に取った本はデビュー作と芥川賞受賞作のみで、訃報のニュースを聞き、そして五年経った今こちらのエッセイを手に取った。 早いなぁ、勿体無いなぁ、、もっともっと赤染さんの言葉が聞きたかったなと思わせてくれるようなエッセイで切なくなった。
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『洗濯物はいつもひらひらしていた。わたしの家の洗濯物は特に華やかだった。わたしは洋服の下に、金太郎の前掛けを身につけていた。洋裁の職人さんがはぎれで作るので、わたしの金太郎はピンクやオレンジや花柄だった。その金太郎がわたしの家の竿には並んでいた』―『異邦人』 十年以上前に書いた...
『洗濯物はいつもひらひらしていた。わたしの家の洗濯物は特に華やかだった。わたしは洋服の下に、金太郎の前掛けを身につけていた。洋裁の職人さんがはぎれで作るので、わたしの金太郎はピンクやオレンジや花柄だった。その金太郎がわたしの家の竿には並んでいた』―『異邦人』 十年以上前に書いた自分の感想文を読んでみて、随分とこの作家のことが気に入っていたのだなあ、と気付く。書棚には「うつつ・うつら」と「乙女の密告」。気に入っていたと言っても、それ以上でもそれ以下でもないが、もう新作を読むこともないのだなあとの感慨が急に湧く。 敬愛する翻訳家岸本佐知子氏推しの一冊。今秋創業したばかりの個人出版社palmbooksの記念すべき第一作が本書「じゃむパンの日」。岸本さんとの短いながら作家の個性が滲み出る交換日記がおまけのように付いたエッセイ集。そのほとんどは京都新聞に掲載されたものとのことで、それがこうして読めるというのは行幸のようなこと。「はんなり」とした京ことばで繰り出される可笑しみは、ほぼ全国民が貧乏だった昭和の時代の人の営みを思い起こさせる。ああ、そういえばうちの近所にもそんな風変わりな大人がいたっけなあとか、そういえば友達を呼びに行った時は引き戸を開けて「〇〇ちゃ~ん、あ~そ~ぼ~」なんて声掛けしてたなあとか。あれ、この人って同世代じゃない筈なのに、なんでだろ。 エッセイのテーマはどれも作家の身近な出来事。中でも祖父と祖母の話が矢鱈と面白い。そうかと思えば、博士号取得を断念して就職した京都のパスポート発行事務所の話とか、芥川賞受賞を待つ日の話とか、どれもかなり捻じれたユーモアセンスで書き綴っているのだが、その後ろに何故かほんのりとペーソスがある。そして、何も詳しいことは記されていないものの、ひょっとしたら作家本人の闘病生活に題材があるのではないかとも思える小児病棟の話。大人の目線で子供たちの病院生活を描いているようにも読めるけれど、きっとこれは作家自身の子供時代の出来事なんだろう。そうは思うけれど、どこかしら立原道造の「風立ちぬ」を連想してしまうのは、やはり、作家が急性肺炎で早逝したことを知ってしまっているから。そして、札幌。数は少ないながら、作家が見たであろう景色がありありと浮かび、その眩しい白に押しつぶされそうになる思いには、いたく共感を覚える。そういえば最近ようやく卒論の夢を見なくなったなあ。札幌の冬空って重いんだよねえ。冬、長いし。 どれも関西風(と言っても大阪の、ではなくて京都の。偏見だろうけれど)のサービス精神溢れるユーモアに満ちたエッセイなのに、何故かしんみりとする。泣き笑いするいい本。
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アトロクで、岸本佐知子さんが紹介していたときに聞いた抜粋朗読がおもしろすぎてすぐ購入。『安全運転』の続きがさらにおもしろかった! 赤染さんはきっとずっと真顔だけど、わたしは声に出して笑わざるをえない。 巻末の岸本さんと赤染さんの交換日記も最高でした。 オーディオブックがあればほし...
アトロクで、岸本佐知子さんが紹介していたときに聞いた抜粋朗読がおもしろすぎてすぐ購入。『安全運転』の続きがさらにおもしろかった! 赤染さんはきっとずっと真顔だけど、わたしは声に出して笑わざるをえない。 巻末の岸本さんと赤染さんの交換日記も最高でした。 オーディオブックがあればほしい。誰かに朗読してもらって録音して車で永遠に聴きたい。 こんなに楽しく読んだのに、この方の新作をもう読めないのはとても寂しいです。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
いいなあ、これいいなあ。好きなのは、『夏の葬式』『安全運転』『病院の夜長』『北の国から』『おはる』『昭和の家』『蝦夷梅雨』。そして岸本佐知子と赤染晶子という、この2人ならではの『交換日記』。
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