東ドイツ ある家族の物語 の商品レビュー
抑圧体制下の普通の人たちがどう生きたのか。 ずっとずっとこのことに人一倍の興味がある私にとって、この本とは出会うべくして出会ったような、それでもって、抑圧の中で生きる人たちにもっともっと興味が湧いた、本当に素敵な本。手放したくない。私の人生にも、思っているより価値があるのかも。
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アウシュヴィッツで殺害された曾祖父。亡命後ジャーナリストになった祖父。ナイーヴで社会主義の理想に忠実だった母。常に東ドイツに批判的だった父。そして政治に無関心だった私…。家族四代の肖像を通して描くドイツ現代史。 その世代によって同じ国の受け止め、環境が違う。
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翻訳本としては、とても読みやすいものでした。ある程度、歴史を知らないと、かなり難解な事になると思いました。 また、ドイツ語が分かると、より内容が深まります。
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しかし、果たして実際そうだったのだろうか。自ら引いた境界線を超えてしまったとき、異なる信念が気がつかないうちに徐々に染み込んでしまった時、本当にそれがわかるだろうか。最後には他の人たちがゲームの規則を決めるのではないだろうか。彼の言うような自由な空間や可能性は、ひょっとすると、す...
しかし、果たして実際そうだったのだろうか。自ら引いた境界線を超えてしまったとき、異なる信念が気がつかないうちに徐々に染み込んでしまった時、本当にそれがわかるだろうか。最後には他の人たちがゲームの規則を決めるのではないだろうか。彼の言うような自由な空間や可能性は、ひょっとすると、すべて、自分が大勢に協調していると言う事実から気持ちをそらす、単なる幻想に過ぎなかったのではないだろうか。僕も、自分に忠実でありたいと言う気持ちを持っていると同時に、問題を抱え込まないためには、何をしなくてはならないかを知っていた。生意気な考えと利口な振る舞いとの組み合わせ、小さな嘘と大きな真実の組み合わせは実に早く身に付き、それを脱ぎ捨てる事は困難だった。それは生き延びるための戦略であり、決断できない人間の防御システムだったのだ。 P.89
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