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逃亡者 の商品レビュー

4.1

22件のお客様レビュー

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2023/06/18
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

汚くても、歪んでも、生きること。 命を使って、自分の物語を描くこと。 足をつけているこの大地は、これまでの歴史の体積。 これまでの人が生きた悲しみや美しさが自分へと繋がり、そしてそれに帰結する。 人生は、物語のようで、 本は物語を内包して、でも、実体はをもっている。 人間は荼毘にふされると、実体はなくなる。 でも思い出が残る。人の記憶の中に。もしその記憶をもっている人がいなくなっても、 この世界にデータとして残り続ける。 記憶。 そうして生きて、人はタイルになる。 あるいはステンドグラスに。 モザイク画のように人の生が犇めき合って、そうやって世界を形作る。 ではこの、私がいま、生きているこの生とは? そのこたえは主人公からのジョマルへのセリフに込められていると私は信じたい。 気休めでも、それはすごいことなんだと、私も声を揃えたい。 中村文則の伝える想いはままならぬことを踏み越えた先に普遍的にある何かかもしれない。

Posted byブクログ

2023/05/27

ー あなたは他人と自分の間に壁を置き過ぎるとは言わなかった。あなたは自分が正しいと思っているけど他者からすればそうではないとも言わなかった。みんなが社会問題に目を向けられるわけではないしみんなも忙しいし社会のことに目を向けるより自分の生活で精一杯の人もいるとも言わなかった。それに...

ー あなたは他人と自分の間に壁を置き過ぎるとは言わなかった。あなたは自分が正しいと思っているけど他者からすればそうではないとも言わなかった。みんなが社会問題に目を向けられるわけではないしみんなも忙しいし社会のことに目を向けるより自分の生活で精一杯の人もいるとも言わなかった。それに世の中には絶対に社会問題について考えたくないと思う人間が一定数いることくらい知っておけこの馬鹿がとも言わなかった。というかあなたも全ての問題に通じているわけではないのだから偉そうなことを言うなとも言わなかった。あなたのようにうっとうしい倫理を説く者を説教臭いと感じる人もいるからそういう人達に対しても届く言葉をもっともっと考えろとも言わなかった。あなたの独善的でわかってます的な感じが嫌いで嫌いで仕方なかったとも言わなかった。 ー 『R帝国』『その先の道に消える』と続けて『逃亡者』を読んだ。 前2作は少し物足りなかったけど、『逃亡者』で完全に満たされた。前2作は『逃亡者』の為の習作だったのかな。完成度高すぎ。面白かった。 国家と宗教と戦争と愛の物語。つまり、人類の物語。

Posted byブクログ

2023/05/21

戦時下の人々の描写、特に精神的にも肉体的にも追い詰められたニンゲンたちが狂気を帯びていく姿、そしてそのニンゲンたちによって追い詰められていく人々の姿に恐怖と悲哀を感じた。

Posted byブクログ

2023/04/12

なんか凄いもん読んじゃったなというのが率直な最初の感想。中村文則のスケールに呆然ともしている。読書が趣味で自分は幸福だと思えた。感謝。

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2023/02/18

リベラルと保守 キリスト教徒の迫害 第二次世界大戦 知らない事が多くて、史実に基づいていると思えない位にエグい。 Bの存在は怖いけどどこか魅力的で 「殺さない代わりに自分が最も忌み嫌う人生を歩んでもらう」という提案が気持ち悪かった。 ダラダラ読まないで、一気読みしたかった〜

Posted byブクログ

2023/02/09

「蓮は泥より出て泥に染まらず」 相変わらず社会への解像度の高い絶望的な目線のお話だ。 トランペットに纏わる物語と、運命的な男女の物語。 中村文則自身と今の社会の話。

Posted byブクログ

2023/01/06

なぜか手にしてしまう中村文則さんの小説たち。その中で570ページにも及ぶ彼の長編を読んだのは初めてでした。とにかく長かった。だが中弛みしてると感じた部分が全くなかった。ミステリーと思わせながら、急に恋愛小説になり、ここぞというところでノンフィクション風になる。それぞれをつなぐのは...

なぜか手にしてしまう中村文則さんの小説たち。その中で570ページにも及ぶ彼の長編を読んだのは初めてでした。とにかく長かった。だが中弛みしてると感じた部分が全くなかった。ミステリーと思わせながら、急に恋愛小説になり、ここぞというところでノンフィクション風になる。それぞれをつなぐのは伏線をばら撒いて次々と現れる登場人物たち。その登場人物たちは各々の物語や歴史の筋で繋がっていた。繋げられていた。テーマを貫かさせるための謎の登場人物だけを別にして。そしてその謎の人物が希望とは呼べないもので物語を綴ることを作者に選ばせていました。この設定がとにかく格好いい小説です。

Posted byブクログ

2022/12/25

設定は非常に面白くのめり込める内容だった。 が、そこから先に突き抜けることが出来ないまま終わってしまった印象。

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2022/12/20

不慮の死を遂げた恋人と自分を結ぶトランペットを持ち、逃亡するジャーナリストの山峰。彼が偏愛するそれは、第二次大戦中のある作戦で伝説となり、“悪魔の楽器”と呼ばれていた。ゆえに欲する者達が世界中にいるという。その中の一人、“B”。正体も狙いも不穏な男。突如始まった逃亡の日々で、山峰...

不慮の死を遂げた恋人と自分を結ぶトランペットを持ち、逃亡するジャーナリストの山峰。彼が偏愛するそれは、第二次大戦中のある作戦で伝説となり、“悪魔の楽器”と呼ばれていた。ゆえに欲する者達が世界中にいるという。その中の一人、“B”。正体も狙いも不穏な男。突如始まった逃亡の日々で、山峰はこの世界の理不尽な真実を突きつけられる…。(e-honより)

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2022/12/08

狙いかもしれないが、唐突に軽くなるところがある。 ポケモンとかワンピースとか、文学では初めて出会った単語かも

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