この父ありて 娘たちの歳月 の商品レビュー
たいてい本の後ろに書いてある著者の紹介では知ることができない、戦中、戦後を生きた家族の話でした。石垣りん、茨木のり子、石牟礼道子さんは教科書に登場という風に切り取られて理解してきたことを反省しました。
Posted by
時代を生きた女性作家9人を、それぞれがそれぞれに多大な影響を受けた父親の存在とともに描いたノンフィンクション。 濃かった。もちろん境遇は違えど、著名な女性作家たちが揃いも揃って、ここまで父親との壮絶な物語があるとは。だからすんごく面白かったのだが。憎み、恨み、苦しみ、悲しんだ彼...
時代を生きた女性作家9人を、それぞれがそれぞれに多大な影響を受けた父親の存在とともに描いたノンフィンクション。 濃かった。もちろん境遇は違えど、著名な女性作家たちが揃いも揃って、ここまで父親との壮絶な物語があるとは。だからすんごく面白かったのだが。憎み、恨み、苦しみ、悲しんだ彼女たちがこれまた共通しているのは、それらを「書くこと」によって整理したことだ。浄化したわけじゃない、決して。悩み、考え抜いたことを言葉に、文章にして、常人には到底たどりつかない答えを自分なりに出している。だからこれもまたすんごく面白い。 規模はちがえど、父娘関係の難しさをそれなりに体験しているからこそ、1人1人の物語が響いたかと思うと、父娘関係がそんなに良くないことも悪くないな、とすら思う。そうなのか?
Posted by
日経の連載の頃から毎週楽しみにしてました。 事前にある程度知っていないと週間連載でここまで書けませんよね。 あとがきにも書いてありましたが、元々好きな作家達とのこと。そりゃそーだろうよ。 どの父親もスゴいけど萩原朔太郎のグズっぷりには光るものがありますね。戦前のブンガクシャはこ...
日経の連載の頃から毎週楽しみにしてました。 事前にある程度知っていないと週間連載でここまで書けませんよね。 あとがきにも書いてありましたが、元々好きな作家達とのこと。そりゃそーだろうよ。 どの父親もスゴいけど萩原朔太郎のグズっぷりには光るものがありますね。戦前のブンガクシャはこうじゃなくっちゃ!! 父と娘たちの残した言葉も素晴らしいですが、梯久美子さんの筆致そのものが、前者に負けず劣らず素晴らしいです。 好きな作家達であれば、好きが溢れたりするものなんですけどね、冷静に見てますね。 各章でも読みたい本が山積みなのに、梯久美子さんの過去の作品も読みたくなります。 2022年、ノンフィクションを代表する良作です。
Posted by
【父を憎み、父を愛し、娘たちは書いた】戦中・戦後の激動の時代、“書く”という困難な道を選んだ女性たちの、しなやかで力強い生き様を描いた、梯久美子の“父娘”論。
Posted by