1,800円以上の注文で送料無料

駅の名は夜明 の商品レビュー

4

57件のお客様レビュー

  1. 5つ

    12

  2. 4つ

    28

  3. 3つ

    11

  4. 2つ

    1

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2023/09/23

「鉄道が在る風景の中でのドラマ」という趣の「軌道春秋」というシリーズが在る。漫画原作として作者が綴った作品が起こりで、それを小説として仕立て直した作品が既に出ている。本書は、更に在る漫画原作を小説化したモノ、全く新しく小説として綴ったモノを合わせて9篇を収めた一冊ということになる...

「鉄道が在る風景の中でのドラマ」という趣の「軌道春秋」というシリーズが在る。漫画原作として作者が綴った作品が起こりで、それを小説として仕立て直した作品が既に出ている。本書は、更に在る漫画原作を小説化したモノ、全く新しく小説として綴ったモノを合わせて9篇を収めた一冊ということになる。 表題作が『駅の名は夜明』なのだが、「夜明」という駅は実在し、個人的にも駅名の看板を見た経過が在る。 本書には、この夜明駅を訪ねるという篇が2つ在る。「闇に包まれていた夜が明ける」という名前の駅というのは、何か凄く象徴的だ。 他に、ウィーンの路面電車が登場する篇が2つ在り、オホーツク海側の小さな駅が登場する篇が2つある。今般はこういう「連作のようで、必ずしも連作でもない」という、味わい深い篇が目立つと思った。 そして少し長い感じの『約束』が秀逸だった。何方かと言えば幸薄い女性と、女性の愛読書を綴っている作家との物語ということになるのだが、読後に何か深い余韻に浸った。 こういうような「人生の応援歌」というような短い物語も、時には好い感じだ。このシリーズが更に登場するのであれば、是非読んでみたいとも思った。味わい、加えて読後の余韻が深い短篇を集めた一冊

Posted byブクログ

2023/09/19

なにか(どこか)に向かって自分で駅に行く、途中で降りたり道を変えても、そこで出会う景色や人は、自分で引き寄せた奇跡。悲しくて苦しくて周り道や後戻りしても、一歩ふみだした勇気と、その選択をしたことにエールをおくりたくなるような。よくあるシチュエーションだったりするけど、やっぱりジー...

なにか(どこか)に向かって自分で駅に行く、途中で降りたり道を変えても、そこで出会う景色や人は、自分で引き寄せた奇跡。悲しくて苦しくて周り道や後戻りしても、一歩ふみだした勇気と、その選択をしたことにエールをおくりたくなるような。よくあるシチュエーションだったりするけど、やっぱりジーンときた。

Posted byブクログ

2023/09/15

時代小説以外の高田作品は初めて。どの短編もしんみり、ほのぼの、忍び笑いに忍び泣き。「何もしない。でも傍に居て」静かに優しい風を吹き込んでくれる応援歌。「長い人生、予期せぬ難事に見舞われることは必ずある。ひとりでは乗り越えられずとも、誰かの手を引き、誰かに手を引かれているうちに脱す...

時代小説以外の高田作品は初めて。どの短編もしんみり、ほのぼの、忍び笑いに忍び泣き。「何もしない。でも傍に居て」静かに優しい風を吹き込んでくれる応援歌。「長い人生、予期せぬ難事に見舞われることは必ずある。ひとりでは乗り越えられずとも、誰かの手を引き、誰かに手を引かれているうちに脱することができる」「目的地に行くために必要な途中下車もあるさ。疲れたら、降りていいんだよ。次の列車は、必ず来るからね」「諦めない限り、前に進む意思を捨てない限り、必ず次の列車はやってくる」「前途洋々を祈れども、人生はそう容易くはない。けれど、懸命に生きる者には、きっと拓ける道がある」短編集で、ここまで満足したのは初めてかも。

Posted byブクログ

2023/09/01

やっぱりいいなぁ。高田郁先生。 こちらは短編ばかりだけど、ほんわかします。 夜明駅、行ってみたいなぁ。

Posted byブクログ

2023/08/14
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

泣ける短編集。 鉄道を物語の一コマに、親子、夫婦から一期一会の出会いまで、様々な関係の人々が、直面した悲しみや苦悩を、寄り添う人の想いに支えられて乗り越えようとするストーリーたち。 心温まるストーリーで最後に希望は残されるものの、直面する苦悩の大きさややるせなさ、想いは残れどいずれ訪れる別れや人生の儚さなどを思うと読後感は切なさの方が大きい。 各ストーリーも「乗り越えようとする」場面で終わるものも多く、その先をどう想像するかは読者の心持ち次第かと、自身の人生を問いかけられる思い。

Posted byブクログ

2023/08/04

場所も状況も違う小片の、読後感は淡々としていながらじんわり沁みるものばかりだった。あと、老眼の目にやや大きな文字がありがたい文庫本だった

Posted byブクログ

2023/07/30

独立した短編だけど同じ登場人物がいたり、同じ場所が舞台だったりと好きな感じなのですが共感できる人は少なかったです。 前作の窓からの景色を見ていた電車に乗り合わせた人達のように、たまたま同じ電車に乗り合わせた人たちを描いたミニシアターが好きです。

Posted byブクログ

2023/07/02

同著者の時代小説のファンで一般小説も書かれていると知り、読み始めました。 正直、最後の二編以外は、作者の力量が感じられませんでしたが、「背中を押す人」は創作の世界で生きるきっかけを与えた短編とあり、あとがきにある当時の作者をダブらせて読まして貰いました。 また、「約束」は薄幸の中...

同著者の時代小説のファンで一般小説も書かれていると知り、読み始めました。 正直、最後の二編以外は、作者の力量が感じられませんでしたが、「背中を押す人」は創作の世界で生きるきっかけを与えた短編とあり、あとがきにある当時の作者をダブらせて読まして貰いました。 また、「約束」は薄幸の中年女性と人気作家の心の触れ合いが描かれていて、心に重く、沁みる筋書きでした。 ただ、この作家の力を発揮するのは時代小説ではないかと思いますが、またもっと驚かせる一般小説が生まれることも期待出来ないかとも思います。

Posted byブクログ

2023/06/20

軌道春秋シリーズ第2作。短編集。 良かった。 やっぱり高田郁さん好きだな。 心がせかせかしてない時に読みたい1冊。 前作よりもヒリヒリするかな。 それでもふんわりとした優しさが漂い、また読み返したいなと思う。

Posted byブクログ

2023/06/14

時代小説に苦手意識のあった私に“みをつくし料理帖”を全巻まとめて貸してくださった姐さんがいて、要らないと言えずに読みはじめたらどっぷりハマる。あれから何年経ったことでしょう。もちろん“あきない世傳”にもズボッと。 シリーズが終わったタイミングで同じ姐さんにお借りした本作は時代物...

時代小説に苦手意識のあった私に“みをつくし料理帖”を全巻まとめて貸してくださった姐さんがいて、要らないと言えずに読みはじめたらどっぷりハマる。あれから何年経ったことでしょう。もちろん“あきない世傳”にもズボッと。 シリーズが終わったタイミングで同じ姐さんにお借りした本作は時代物ではありません。読者の年齢層を意識してのことか文字も若干大きくて、より読みやすい。北海道が登場したせいなのか、ちょっと桜木紫乃っぽい。結局、時代物であれ現代物であれ、こういう文体が私は好きなのでしょうね。 国鉄時代を知る人、特にどうぞ。

Posted byブクログ