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ドナーで生まれた子どもたち 「精子・卵子・受精卵」売買の汚れた真実 の商品レビュー

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7件のお客様レビュー

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2024/04/19

サラ・ディングル Sarah Dingle 国営放送であるオーストラリア放送協会(ABC)の調査報道記者兼司会者。テレビ番組、ラジオ番組で時事問題を扱い、国内でその年の最も優れたジャーナリズムに贈られるウォークリー賞を2度受賞。その他、女性や子供への暴力を扱う優れた報道に送られる...

サラ・ディングル Sarah Dingle 国営放送であるオーストラリア放送協会(ABC)の調査報道記者兼司会者。テレビ番組、ラジオ番組で時事問題を扱い、国内でその年の最も優れたジャーナリズムに贈られるウォークリー賞を2度受賞。その他、女性や子供への暴力を扱う優れた報道に送られるウォークリー財団Our Watch賞、オーストラリア国連協会メディア平和賞、アムネスティメディア賞、動物保護慈善団体Voicelessメディア賞、オーストラリア教育大学メディア賞の受賞歴を持つ。2010年、ABCのアンドリュー・オーレ奨学生に選出。

Posted byブクログ

2024/03/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ドナーで生まれた著者の怒りを真空パックしたような一冊。フィクションのような都合の良い感動はさせてくれない。 私自身は子を授かりたいと真剣に考えたことはまだない。だから、精子提供というものに需要があることに驚くのだが、夫の遺伝子でなくても妊娠を望む夫婦や、自ら望んでシングルマザーとなる女性、同性カップルなど、必要な事情があるようだ。 「ドナーで生まれた子どもたち」は、1980年代に精子提供で生まれたオーストラリア人の女性が書いたノンフィクションであり、私が読んだどんなフィクションよりも恐ろしかった。 何が恐ろしいのか。 「ドナーで生まれた子どもたち」では、過去のHIV感染の事例が紹介されていた。 世界中でHIVの感染が広まった時期に、献血では感染リスク行動に関する質問をドナーにするようになったが、精子提供ではこのような取り組みは見られなかったと。 献血したことがある方は知っていると思うが、献血の問診って病歴とか最近の性行動とか根掘り葉掘り聞かれる訳で、それは血液検査だけでは排除できないリスクがあるから。 輸血を受ける患者を守るのために、ちょっと過剰じゃない?と思うような問診が献血ドナーに行われている一方で、精子ドナーはどうなのか。提供を受ける母親と赤ちゃんは十分に守られているのか? 著者はこの点について怒り狂っていましたが、私はただただ自分の行為の結果に無自覚なドナーが恐ろしい。 ある日突然、父親と血が繋がっていないことを知らされる。 そんな場面で、フィクションでは「血の繋がりなんて関係ない!」って感動的な演出になりますが、ノンフィクションではそう簡単にはいかない。 自分の由来の半分を失う喪失感、嘘をつかれていた怒り、遺伝病の恐怖、、 精子ドナーは匿名のことが多いようだ。ドナー・提供を受ける親・医療者、大人たちによって決められた匿名というルールで被害を被るのは生まれてくる子ども。 大人たちの都合で生み出した命への仕打ちとして、理不尽だなあと思う。 著者を含むドナーで生まれた子どもたちの当事者グループは、精子・卵子提供や代理出産に反対している。ただ、ある特定の場合を除いては。 それは、実の親(ドナー)や異父・異母兄弟姉妹との交流があること。 ”知らない方が幸せ”って言葉は綺麗事だなと、今までいろんな場面で思ってきたけど、この件についてもそう思う。当事者には知る権利がある。 現在では、公的な精子提供では”1人のドナーから生まれる子どもは○家族以内”ということが各国決められているようだ。あくまでも”公的な精子提供では”。 これの何が恐ろしいって、偶発的近親相姦の可能性が高くなること。 付き合った彼氏が血の繋がった兄かもしれないなんて、ママレード・ボーイじゃあるまいし、冗談キツい。人間は自分に似た人に惹かれるというし、同じ地域で同年代で、同じクラスにいたら、って考えると相当恐ろしい。

Posted byブクログ

2023/10/31

誰かわからない父親を探す記録と心情の変化を詳しく述べ、犯罪捜査を読んでいるかのよう。精子提供をレイプと捉えたり、過激に突き進んでいくルーツを知りたいという執念には敬服した。 不妊治療産業の闇は深い。 欠点は文章が読みにくかった。

Posted byブクログ

2023/03/28

ドナーから提供された精子/卵子/受精卵によって生まれた(DC)人間である著者が、DCに関する制度上の不備や倫理的な問題について書いた本。かなり興味深かった。 著者はオーストラリア生まれだが、当時のドナー情報管理の杜撰さは驚くばかりだった。その大元にあるのは子の人権を無視した業界の...

ドナーから提供された精子/卵子/受精卵によって生まれた(DC)人間である著者が、DCに関する制度上の不備や倫理的な問題について書いた本。かなり興味深かった。 著者はオーストラリア生まれだが、当時のドナー情報管理の杜撰さは驚くばかりだった。その大元にあるのは子の人権を無視した業界の金儲け主義と親の想像力の欠如した利己精神ですよね、という内容。 「無自覚の半分兄弟が大量に存在しているからおちおち恋愛もできない」という話は盲点だった。

Posted byブクログ

2023/01/14

不妊治療についてずいぶん知った気になっていたけれど、この本を読んで、生まれてくる子については全然考えていなかったことに気がついた。 自分が両親の実の子でないと知らされず、半分血のつながった兄弟が何百人もいるかもしれない。それがフィクションではないことに衝撃。

Posted byブクログ

2022/12/20

全ては読めていないけれど、子供側から見た現実の重さ、糸の切れたような頼りない気持ちなど、いままで考えたことのない視点での書籍であり大変貴重。

Posted byブクログ

2022/10/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

こんな実態があるなんて、読むまで全く想像出来なかった。 自分に数十人、数百人の兄弟がいる可能性。(気付かない内に近親相姦が起きているかもしれない) 自分の生物学的な親の情報を、病院が破棄していたという事実。 今でもDCを最優先した法が整っていないこと、、 そして、命を意図的に作り出すことについて。 (日本はどうなのか、知りたくなった) 著者のように、DCである事を育ての親にずっと隠されて、知ることすら出来ず、何年もかけて自力で突き止めていく過程はとても苦しい。 この本でたくさんの事を知れてよかった。

Posted byブクログ