たとえば、葡萄 の商品レビュー
先が見えないのに「今だ!」と勢いよく辞めてしまった28歳の美月が、転がり込んだ先は、母の親友である市子の家。 昔馴染みの母の知り合いたちに囲まれて過ごすうちになんとかなりそうと思う美月が、これがやりたいと思って行動したのは、葡萄ジュースを作ることだった。 コロナ禍で、周りの状...
先が見えないのに「今だ!」と勢いよく辞めてしまった28歳の美月が、転がり込んだ先は、母の親友である市子の家。 昔馴染みの母の知り合いたちに囲まれて過ごすうちになんとかなりそうと思う美月が、これがやりたいと思って行動したのは、葡萄ジュースを作ることだった。 コロナ禍で、周りの状況も変化するなか、市子を始め三宅ちゃんや辻房恵さんという個性の塊とのやりとりがなんだか心強くて頼もしく感じる。 コロナ禍で動きが取れないなどと言いながらいろんなところで関係が出来、新しいことの始まりもある。 よくある普通の日常で会話なんだが、人との繋がりで一歩前進しているのだ。
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30目前にして仕事を辞めた美月が、やりたいことをみつけるまでの日々が、ゆるゆると独り言のように綴られている。 SNSでおすすめしている人がたくさんいたので読んでみたけど、私にはあまり合わなかったかも。
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なんとなく思っている事。言葉に出来ないけど心が止まってしまうことを主人公の変化とともに丁寧に書かれていました。 仕事を辞めてから周りがやけにうるさく思えたり、 かと思ったら自分の事を嫌になったり。 自分では言葉に出来なかった過去の事を思い出しながら、この本の中であぁ私そうだったん...
なんとなく思っている事。言葉に出来ないけど心が止まってしまうことを主人公の変化とともに丁寧に書かれていました。 仕事を辞めてから周りがやけにうるさく思えたり、 かと思ったら自分の事を嫌になったり。 自分では言葉に出来なかった過去の事を思い出しながら、この本の中であぁ私そうだったんだと発見できた気がします。
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ここのところ、江戸時代づいていた著者の現代小説。 しかも、コロナの真っ只中で20代の最後を過ごす女性が主人公。 失礼ながら、このグダグダと一人語りが続くのは、 まさに「妹背山婦女庭訓 」シリーズ。 でも、このグダグダから、主人公は何かを得ていくわけで・・・ 本作のヒロイン美月は...
ここのところ、江戸時代づいていた著者の現代小説。 しかも、コロナの真っ只中で20代の最後を過ごす女性が主人公。 失礼ながら、このグダグダと一人語りが続くのは、 まさに「妹背山婦女庭訓 」シリーズ。 でも、このグダグダから、主人公は何かを得ていくわけで・・・ 本作のヒロイン美月は、コロナ直前に、ほぼ衝動的に大会社を辞め、 無職となって、母の友人の家に居候生活スタート。 コロナ禍、就活も進まず・・・時間だけが過ぎていく。 この間、グダグダと続く語りが、まさにコロナの時代。 ああ、そうだった、そうだったと、ちょっと過去形。 (初期の頃のパニックは、さすがになくなった昨今) その美月の周りに居るのは 同世代の友人ではなく、母の仲間。 20代は忙しいというのもあるけれど、 コロナだからというのも大きい。 でも、それだけじゃないところが、またリアル。 一方で、母の仲間は、とびきり、素晴らしい。 アラカン、まさにわたしの世代。 美月より、この人たちの言うことの方が、しっくりくるのは当然w 良いなぁ、この仲間達、と思っていたら、 なんと前作があったのだとか。 「虹色天気雨」「ビターシュガー」・・・ああ、聞いたことがある。 美月の両親と、母の仲間の若かりし頃の物語。 読んでみたいけれど・・・ いまさらかな。 同世代の過去の物語はいらないか~ だって、みんな、良い感じに年齢を重ねているんだもの。
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すごく勢いがある小説。仕事を辞め、生き方に悩む女性がコロナの渦にのまれ、やってみたいことを見つけ動き出す。
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p.153から一気に面白くなくなっていきました。 前半はまさにアラサーの悩みが具体的に描かれていて、とても楽しく読むことができました。 将来に対する不安や焦燥感。 コロナ禍によって揺らぐ自身の仕事に対する価値観。 幼馴染が伝える仕事の本質に対するメッセージ。 そしてなによりも、...
p.153から一気に面白くなくなっていきました。 前半はまさにアラサーの悩みが具体的に描かれていて、とても楽しく読むことができました。 将来に対する不安や焦燥感。 コロナ禍によって揺らぐ自身の仕事に対する価値観。 幼馴染が伝える仕事の本質に対するメッセージ。 そしてなによりも、個性豊かな登場人物たちのやりとりが流れるような文体で描かれておりグイグイと物語に引き込まれていきました。 しかし、物語を大きく動かすことになるある出来事が中盤に起るのですが…。 それがもはや「宝くじに当選した!」というレベルのもので段々と登場人物のセリフも受け付けなくなってしまいました。 ネタバレは避けますが、「いや、そんな存在が周りにいないからみんな行動に移せないんだよ。」と、結局自分は冷めた目線が脳から離れないまま本を読み終えることになりました。 そして、その存在は物語の最後の最後まで主人公らに影響を与え続けます。逆に作者や編集者が「こんなに都合のいい存在は普通は周りにいないよね?」とならなかったのが不思議で、少なくとも自分の住む世界とは違う世界の話だなと冷めた気持ちで本書を読み終えました。 「これはフィクションだから。」と言われればそれまでですが、個人的には「将来どうしようか思い悩んでお金にも困っていたけど、宝くじに当選して人生が好転しました」って言ってるのと変わりなく感じました。フィクションだからこそリアリティーを持って物語を紡いでほしいと切に願います。
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退職して、職を探そうとしたら、コロナ禍に。 自分は何をしたいのか、自分を見て目直し、一歩を踏み出そうとするアラサー女子の物語。 自分が凹んでいるときに読んだので、また読み直したい。美月はたくましいなと思った。 そして『虹色天気雨』『ビターシュガー』の続編にあたるとのこと! 続編...
退職して、職を探そうとしたら、コロナ禍に。 自分は何をしたいのか、自分を見て目直し、一歩を踏み出そうとするアラサー女子の物語。 自分が凹んでいるときに読んだので、また読み直したい。美月はたくましいなと思った。 そして『虹色天気雨』『ビターシュガー』の続編にあたるとのこと! 続編と聞いて、虹色天気雨から読み直したくなりました。
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主人公・美月は28歳、独身。仕事に虚しさを覚え会社を辞職して母の友人宅に居候…。コロナの蔓延、将来の見通しもなしですが、物語を読み進めても、あまり深刻さ・暗さを感じません。 おそらく、良くも悪くも、美月が幼少期から年上世代の中で育ち、漫才の掛け合いのようなやり取りができる性格...
主人公・美月は28歳、独身。仕事に虚しさを覚え会社を辞職して母の友人宅に居候…。コロナの蔓延、将来の見通しもなしですが、物語を読み進めても、あまり深刻さ・暗さを感じません。 おそらく、良くも悪くも、美月が幼少期から年上世代の中で育ち、漫才の掛け合いのようなやり取りができる性格であること。また、「 」の会話文だけでなく、軽口の話し言葉表現が多用され、テンポのよい読みやすさを生み出している為だと思います。 人との繋がりが新たな仕事への関心に結びついていきます。そして、葡萄の収穫で感じた一粒の美しさ・美味しさ、楽しく心地よい開放感で心が満たされた光景が、自分やぶどうの成長につながる新たな出発点となるいう象徴的な描写が良かったです。 「無職。まだこれから何にでもなれるってこと。ぐらぐらの時期にやってたことが、あとあと意味をもつ。」という言葉は、読み手にとって良いエールでした。苦しみながらもがくことも大事なんですね。 本作には、前編となる2作『虹色天気雨』『ビターシュガー』(私は未読)があり、本作の主人公・美月の母の恋愛&友情の物語となっているのだそうです。 予備知識なしで読み始めましたが、登場人物の関係性など、理解に支障はありませんでした。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
いやあ、もうなんていうかな、懐かしさと驚きで胸がいっぱいですわ。 「久しぶり!どうしてた?」とお互いに肩をたたき合う感じ。再会!再会ですよ、再会! あの、父親の失踪やら親の離婚やらなんやらかんやらに振り回されていた美月が、なんということでしょう、アラサーですってよ! そうかぁ、市子さんや三宅ちゃんたちのわちゃわちゃした世界の中に混じりたい!!と思ったあの日から12年も経つんだなぁ、としみじみ。『虹色天気雨』からだと15年。そりゃ美月ちゃんも大人になりますわ。 今回の『たとえば、葡萄』も、独特の会話文たちの心地よさは健在で、嬉しくなってしまいました。あぁ、このテンポ、この雰囲気、この距離感。これですよこれ。これが癖になる大島節ですよ。あぁ、楽しい。 会わなかった12年間という時間。中学生だった美月の変化は当然大きすぎてびっくりの連続だけど、市子たち3人の人生もそれぞれに変化があり、え?そんなことが?あぁ、そうだったのか、と久しぶりの友達の近況報告を聞いている気分。 親しい人がいなくなったり、新しく出会う人がいたり。そんななかでずっと変わらずそこにいてくれる人もいて。 パズルの答え合わせみたいな感じもする。 しかしあれだ。美月よ、君もしっかり市子たちのDNAを受け継いでいるね。まぁ、血がつながってるのは奈津だけなんだけど。それでも突然仕事を辞めちゃったり、母親の友達のところに転がり込んだり、明日を見失ってもがいたり、人の縁をたぐって新しい道を見つけたり、ちゃんと「彼女たちの娘」って感じで安心安心。あれ?安心していいのか? でも、わかるって思ってしまう。自分を見失うことってあるんだよね、人生の中で、一度や二度。 自分にできること、とか、自分がやりたいこととか、自分が選ぶべき道とか、そういうあれこれがこんがらがって身動きできなくなっちゃうこと。 そういうときに、逃げ込める場所があるって幸せだよね。親元以外にそういうシェルター的な場所があるのはある意味奇跡なのかも。美月に市子がいてよかった、と心底思う。 『モモコとうさぎ』の中でモモコが探し続けていた自分がやるべき「仕事」を、美月も探している。 そこで出てくるセブンよ!いいよね、セブン。元不登校児。このあたりの縁のつながり方も秀逸。 人は結局一人で生きているわけじゃないって、当たり前のことを当たり前のまますっと描いている。 還暦目の前のいい歳をしたオトナが自分たちもわちゃわちゃしてるくせに、それを棚に上げつつ、それでも説教臭くなく大切なことをさらりと語る。それぞれの言葉がすとんすとんと腑に落ちる。でもそんな言葉があってもなくっても美月も自分で大切なことを見つけていく。 何かを作り出すこと。その大切さ。それを仕事にする楽しさ。大変なこともあるし失敗もするだろうし、でもそれでも「えいやっ!」って飛び込むきっかけに乗っちゃえるのって、ひとつの才能なのか。 はぁあ、また思ってしまったよ。私も文字になってここに混じりたいっ!って。市子たちと一緒にわちゃわちゃしたいっ!! そして読み終わって忘れているアレコレと、ちょっと気になったアレコレを確認するため『ビターシュガー』を読み直す。
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久しぶりの現代小説、コロナ禍だからこそ読んでほしい元気もりもり小説題名の『たとえば葡萄』の葡萄を思い浮かべて紫色で読んでしまいました。明日への活力がわいてくる今の元気小説です。
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