ROIC経営 実践編 の商品レビュー
KPMGとあずさによる前著『ROIC経営』に続く実践書。前著ではROICの意義や役割、ファイナンス的な算出方法といったそのものの解説であったが、今回は経営戦略・経営管理への利活用について。企業価値向上にむけた事業ポートフォリオ管理への適用方法について様々なオプション、プロコン、事...
KPMGとあずさによる前著『ROIC経営』に続く実践書。前著ではROICの意義や役割、ファイナンス的な算出方法といったそのものの解説であったが、今回は経営戦略・経営管理への利活用について。企業価値向上にむけた事業ポートフォリオ管理への適用方法について様々なオプション、プロコン、事例を持って解説。監査法人が著しているゆえにお硬さはあるが、経営のサイエンス部分として非常に腑に落ちるロジカルなROIC本となっている。特にESGといった非財務情報の計数的扱い方についてはさすが監査法人といった内容になっていて勉強になる。ROICについて学びたい方は『ROIC経営』の2冊を読むとほぼ網羅できそうである。
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【ROIC経営】 1.購読動機 企業価値向上の神髄に迫る決定版。 このタイトルに惹かれての購読。 2.結論 株価=企業価値(1株当たりの価額*発行株式総数)は需給で決まる。 需要がある企業の株価は高くなり、低ければ売られ、企業価値は低くなる。 プライム市場の株式売買は外国機関...
【ROIC経営】 1.購読動機 企業価値向上の神髄に迫る決定版。 このタイトルに惹かれての購読。 2.結論 株価=企業価値(1株当たりの価額*発行株式総数)は需給で決まる。 需要がある企業の株価は高くなり、低ければ売られ、企業価値は低くなる。 プライム市場の株式売買は外国機関投資家が5割以上である。 言い方を変えれば、彼らの投資スタンスを知る・学ぶことが必要であるということ。 3.外国機関投資家が日本企業に対する評価 【量的課題】 ・機関投資家への説明機会、対話が少ないということ。 決算発表資料、発表会中心。他なし。 【質的課題】 ・ROA中心。ROIC経営への意識が希薄。 ・経営に適正な現預金額、自己資本額とその説明根拠。 ・フリーキャッシュフロー増加に向けた施策と説明。 4.新興企業・IT上場企業の状況と課題 製造業と相違して、投資資金を要しない事業であること。 結果、預金ならびに自己資本が増加しやすいこと。 機関投資家からの還元請求に対して、どのような説明、対話をしていくか? 5.書籍からの学び ROICとは何か?ROAとの違いが何か?から採用企業オムロンの実践方法まで学習できること。 財務系、経営戦略系部門では学びが多い一冊となる。 【基本】 自社の株主資本コストを計算すること。 投資家に対して株主資本コストを説明できること。 投資家が期待する利回りを知ること。 そのGAPを埋める意見交換をすること。 <算出式> リスクフリーレイト+B値+エクイティリスクプレミアム =国債利回り+ボラティリティ(変動制)+期待利回り ①ROICとは? 税引後利益÷投下資本(有利子負債+資本) 投下した資本に対する利益率。 ②外国機関投資家がROAよりも「ROIC」を重要視する背景 ROAの分母は資産全体。 ROICの分母は資本コスト(有利子負債+資本)。 ゆえに資本効率を換算、判断しやすいから。 ③オムロンのROIC経営 会計、経営戦略系部門ではない製造現場でもROICに理解を示して運営に当たっていること。 【逆ツリーROIC経営】 現場型ROICから経営へつなぐ。 分子;お客様への提供価値↑ ―――――――――――――――― 分母;必要な経営資源↑+滞留している経営資源↓ 【PL】 1)売上総利益率 一人当たり生産台数 注力業界売上高 新製品売上高 2)売上原価 変動比率 売上高販売人件費比率 売上高R&D比率 【BS】 運転資金回転率 固定資産回転率 ④外国機関投資家からの日本企業に対する評価 自己資本、手元現金に対して、「余裕がある」と考えている。 フリーキャッシュフロー=営業CF-投資CFの最大化が足りないと考えている。 ROAとROICが乖離している場合。資産に無駄があり、効率化できる機会があるということ。 ⑤外国機関投資家が求めていること。 1)戦略レベルでの対話 2)自己資本についての適正水準 3)BSにおける現預金。適正水準。
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