鳥脳力 の商品レビュー
動物を人を基準に考える「擬人化」は、科学の世界では良くないこととされているらしいが、ぼくら素人つい動物を擬人化して考えてしまう。例えばカラスが人を見分けたり、くるみを車にひかせたりすることに、「頭いいな」とは思うけれど、そこまでびっくりはしない。人間なら苦もなくやってのけるからだ...
動物を人を基準に考える「擬人化」は、科学の世界では良くないこととされているらしいが、ぼくら素人つい動物を擬人化して考えてしまう。例えばカラスが人を見分けたり、くるみを車にひかせたりすることに、「頭いいな」とは思うけれど、そこまでびっくりはしない。人間なら苦もなくやってのけるからだ。 人間の脳と、例えば鳥の脳は、別々の発達を遂げたが、進化の木の枝を辿っていくとどこかで同じ一本の枝にたどり着く。そういう意味で人間脳と鳥脳は完全に別ものでないが、分かれてからの長い歴史を考えれば同じものとも言えないだろう。違う脳がそれぞれどのように働いているか、それを調べるのが科学の仕事だ。 本書によれば鳥はピカソとモネの絵を区別できるし、バッハとシェーンベルクのピアノ曲も区別できるのだそうだ。それだったら人間の顔を見分けるくらいはできそうだ。カラスに意地悪をするのはやめておこう。 一方、やっぱり興味深いのは人間ができないことだ。渡り鳥や、帰巣をする伝書鳩などは太陽の位置をコンパス代わりにする一方、人間には真似できない地磁気を利用している可能性が高いそうだ。それってどんな感覚なのか知りたい。
Posted by
- 1