殺人者の白い檻 の商品レビュー
長岡さんにしては珍しい長編。 真犯人はすぐに予想できちゃうんだけど、なかなか読ませてくれるので楽しめたw いや…設定はハード過ぎるけどね?www
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尾木敦也45歳は明浄会Y病院に勤める脳外科医です。 同じ病院で妹の菜々穂も看護師として働いています。 菜々穂は理学療法士の村主叡輔と交際中です。 尾木兄妹は六年前に両親を窃盗に家に入った定永宗吾により殺されたとされています。 その定永が敦也の元にくも膜下出血で隣りの刑務所から運...
尾木敦也45歳は明浄会Y病院に勤める脳外科医です。 同じ病院で妹の菜々穂も看護師として働いています。 菜々穂は理学療法士の村主叡輔と交際中です。 尾木兄妹は六年前に両親を窃盗に家に入った定永宗吾により殺されたとされています。 その定永が敦也の元にくも膜下出血で隣りの刑務所から運ばれてきます。 敦也は手術台の前では親を殺された男としてではなく一人の脳外科医としてオペを成功させます。 しかし定永はリハビリをしなければ右手を動かすことができない状態でした。 定永はリハビリを拒みます。 死刑囚は体調が万全でなければ処刑されることはないのです。 敦也はなんとか、定永にリハビリをさせようとして定永の好きな絵画の道具を買って病室に置きます。 絵を描くにはリハビリをして右手を動かせるようにしなければならないと考えると思ったのです。 そんな時、定永の目の明暗の順応力に問題があったことが発覚し殺人はできなかったのではないかという冤罪説が浮上します。 この作品は、脳外科医の敦也が定永は冤罪かそうでないか、真犯人は果たして誰なのか、真犯人をどうやって見つけるのかという、ヒューマンミステリーだと思います。 そして、すべてがわかった最後の時、敦也がどういう行動をとるのか…。 一番最後に、敦也がとった行動は泣かせます。
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Amazonの紹介より 父母を殺した死刑囚、あなたならその命、救えますか? 刑務所のすぐ隣という、特殊な環境に立地する総合病院に勤務する腕の良い脳外科医の尾木敦也。彼は六年前に父母を強盗に殺害されて以来、精神的に不安定になり深刻なスランプに陥っていた。そんなある日、刑務所からクモ...
Amazonの紹介より 父母を殺した死刑囚、あなたならその命、救えますか? 刑務所のすぐ隣という、特殊な環境に立地する総合病院に勤務する腕の良い脳外科医の尾木敦也。彼は六年前に父母を強盗に殺害されて以来、精神的に不安定になり深刻なスランプに陥っていた。そんなある日、刑務所からクモ膜下出血で搬送されてきた「スペ患」の執刀を、院長命令で担当することになる。緊急開頭手術で命を救うことはできたものの、スペ患の正体が両親の命を奪った死刑囚・定永宗吾だったことを知り、尾木は懊悩と悔恨の迷路に彷徨い込む。そして定永は、逮捕と死刑の判決以降も自身の犯行を一貫して否認していた。術後のリハビリを通して、尾木と妹の看護師長・菜々穂は、定永という人間と六年前の事件に、改めて向き合うことになるのだが……。 憎き犯罪者と医師は、どう向き合えば良いのか? 犯罪者の生命は軽いのか、あるいは全ての人間と等しく重いものなのか? 事件の真実と真相はどこにあるのか? 死刑の意義、犯罪更生の理非、医師の倫理、それぞれの命題を通して生命の「軽重」の問いを突きつける、究極の医療ミステリ。 病気を抱える「犯罪者」を一人の医者として、一人の人間として、どう判断していくのか? 登場人物の葛藤が、淡々と表現されていながらも、人々の心理を深く抉っているのが印象的でした。 事件の真相を探っていくというよりも、人間ドラマを読んでいるようでした。こちらとしては、事件の真相が早く知りたいのですが、「急がば回れ」といいましょうか、死刑囚との交流を丁寧に描いているので、ちょっともたつき感はあるように感じました。 ただ、文章で書かれた裏側には、直接書かれていない表情や行動が頭の中で想像でき、その分グッと物語の奥行き感を増してくれました。 「無実を叫ぶ死刑囚」と宣伝されているので、絶対裏があると想像できたのですが、果たして犯人は誰なのか? すごい驚いたというわけではありませんが、そこには様々な人間が交錯したドラマになっていて楽しめました。
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長岡弘樹の最新作ですが、物語の設定が良くて楽しめました!主人公の脳外科医の医師が、かつて自分の両親を殺害した死刑囚の脳手術を担当することになり、医師としての立場と被害者家族としての立場から、この死刑囚との向き合い方に葛藤しているところ、もしかしたら冤罪かもしれないとの疑念も入り、...
長岡弘樹の最新作ですが、物語の設定が良くて楽しめました!主人公の脳外科医の医師が、かつて自分の両親を殺害した死刑囚の脳手術を担当することになり、医師としての立場と被害者家族としての立場から、この死刑囚との向き合い方に葛藤しているところ、もしかしたら冤罪かもしれないとの疑念も入り、混乱しつつも、最後は両親殺害の真実にたどり着いた先に待ち受けていたものとは?という展開でした! さすがの人間描写に、先の展開が気になって、結構一気読みに近くなってしまいました。
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短編ミステリの雄、長岡弘樹さんの長編第2作だろうか。『風間教場』と同様、250p程度で長編としては短めだが、内容は極めて濃密だ。 優秀な脳外科医である主人公の尾木敦也は、6年前に両親が強盗に襲われて亡くなって以来、スランプに陥っていた。そんな中、敦也は刑務所から緊急搬送されてきた囚人の手術を命じられる。手術後、彼が知った囚人の正体とは。 その囚人とは、敦也の両親を殺害した罪で死刑が確定した、定永宗吾であった。設定だけでも凄い。定永は、死刑確定後も一貫して殺害を否認していた。敦也と妹の看護師長・菜々穂は、リハビリを通して過去に、定永に向き合うことになる。 死刑囚のリハビリという特異なシチュエーション。病状が回復すれば、結局は死刑執行される。付き添ってきた刑務官も、回復を望んでいないのが興味深い。自身が死刑執行を担当するかもしれないのだ。いっそこのまま亡くなってくれれば。 遺族である敦也だが、医師としての腕だけでなく、職業倫理も高いようだ。妹の菜々穂も。理学療法士とも連携して「仇」のリハビリに取り組むうちに、彼の観察眼が何かを見抜きつつあった。ちょっとした違和感を積み重ねていくと…。 定永が熱心にリハビリに取り組みだした理由とは。その分野のプロフェッショナルではない自分に、そんなことがあるのかはわからない。短編の長岡作品でも、やや飛躍を感じることは多いが、それでも唸らせる手腕は長編でも変わらない。 短編の長岡作品には、長編にアレンジできそうなネタが多い。本作はさすがに短編には収まらなかったか。それでもコンパクトにまとめているのはさすがである。もっと長くできたはずだが、この長さだから読者に強く訴えてくる。 敦也の勤務先の院長もなかなかの狸だが、定永を担当させてリハビリをする意図があったのか。物騒なことを言いつつ、院長にはわかっているのだろう。敦也は医師の責務を果たすと。この終わり方は実に心憎い。また長編も書いてほしい。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
2022/07/31リクエスト 4 刑務所のすぐ隣にある総合病院に勤務する脳外科医の尾木敦也。彼はもう医者を辞めようと休職していた。 そんな休職中のある日、院長の直々の依頼により、刑務所からクモ膜下出血で搬送されてきた「スペ患」の執刀をすることになる。 緊急開頭手術で命を救うことはできたが、スペ患の正体が両親の命を奪った死刑囚・定永宗吾だったことを知る。 尾木はその命を医者として救ってよかったのか悩み続ける。 当の定永は、逮捕と死刑の判決以降も自身の犯行を一貫して否認していた。 術後のリハビリを通して、尾木と妹の看護師長・尾木菜々穂は、定永という人間を観察ていたところ、ベテランのPT(理学療法士)村主に引っかかるところを見つける。 両親を殺したのは、死刑囚の定永ではないのではないか… 尾木の妹の菜々穂は、村主とお互い憎からず、というより、結婚も考えるような間柄だったにも関わらず、白紙に戻す。 そんな中、村主が脳梗塞で目の前で崩れ落ちる。 本当の、両親を殺した村主の命を救っていいのか、またもや執刀医は尾木になり… 院長にかなり難易度の高い手術だから、とほのめかされるも、やはり成功させてしまう。 その手術の最中、父から受け継いだ、 「脳外科の手術の時、患者はわかっていないかもしれないが、手をにぎること、それにより奥深いところで伝わる」 その役割を任せたのは、妹の菜々穂だった… 最後にこういう展開になるとは、思っていなかった。 いい意味で裏切られた作品です。
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