メンタルクリニックの社会学 の商品レビュー
全然面白いと感じられなかった。 本書を読んで新しく得られる知見はあるのだろうか? インタビュー調査に基づく社会学の本はふつう 研究対象者の「語り」を何らかのフレームワークに基づいて分析した結果何が言えるか?という作業をやっていくと思うが、 本書はそれぞれの語りに大した分析が加え...
全然面白いと感じられなかった。 本書を読んで新しく得られる知見はあるのだろうか? インタビュー調査に基づく社会学の本はふつう 研究対象者の「語り」を何らかのフレームワークに基づいて分析した結果何が言えるか?という作業をやっていくと思うが、 本書はそれぞれの語りに大した分析が加えられているとは思えず、的確に分類して秩序づけているわけでもなく、「こんな人もいれば、あんな人もいる」以上のことが分からない。 人々の病の認識がかつての「神経症」から今は「発達障害」へと変わってきていることだって、新聞読んでたら分かるし全く新しい発見ではない。 読んでいて知的興奮が全くなく、残念だった。 それぞれの語りを見ていると「とにかく話をきいてほしい」というふうに心のうちを吐露することに重きを置く人や白黒はっきりつけた診断を欲しがる人、プライベートには踏み込まず適切な薬の処方を求める人など、人によってメンタルクリニックに求めることが本当にさまざまであることを改めて感じた。 需要は千差万別なのに、その人の需要に合わないからといって批判されている医者が可哀想にもなった。 私はこうした「精神科や心療内科が『悩み相談何でも屋』になっている現状を、社会学的にどのように考えたらいいのか(批判するなら批判の視座から、あるいは肯定の視座もあるなら読みたい)」についての論考、 あるいは「心の問題が外部化されたことによって、私たちの社会はどのように変わったのか」などを考える論考を読みたい。
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精神病院→神経科→心療内科、という変遷の話かと思ったらそれは第1章で終わり。 「病院や診療所という〈箱〉」ではなくその中身、「人間のある状態や行動がどのように精神的な病であるとみなされ」治療や対処がなされるかについての論考に移っていく。 病の名称が変わっていくとともに、医学という...
精神病院→神経科→心療内科、という変遷の話かと思ったらそれは第1章で終わり。 「病院や診療所という〈箱〉」ではなくその中身、「人間のある状態や行動がどのように精神的な病であるとみなされ」治療や対処がなされるかについての論考に移っていく。 病の名称が変わっていくとともに、医学というより心理学の範疇であるような領域に広がっていく様が論じられ、現代的なワードである「発達障害」に到達する。 現代の状況を相対化するために資するところが大きい一冊だと感じた。
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