小さいわたし の商品レビュー
益田ミリ氏の新刊。 小さいころを思い出したエッセイだと思ったけれど、創作だった。文章の長さもまちまち。 ここでおしまい? と思わせるものも多々あったけれど、その余韻が効果的でもあり。 子どもの頃って、みんな(かな?)同じようなことを考えるのだなとしみじみした。 ・カバー袖のコピ...
益田ミリ氏の新刊。 小さいころを思い出したエッセイだと思ったけれど、創作だった。文章の長さもまちまち。 ここでおしまい? と思わせるものも多々あったけれど、その余韻が効果的でもあり。 子どもの頃って、みんな(かな?)同じようなことを考えるのだなとしみじみした。 ・カバー袖のコピーに胸がきゅっとした。 ほっぺたを真っ赤にして 空を見上げていた小さいわたし。 いっしょうけんめい遊んでくれてありがとう。 キミのおかげで、おとなになっても ときどき幸せな気持ちになれるんだよ。 ・遠足の時のリュックサックが、人より大きいかもしれないって心配するところ、覚えがある。心配性ゆえかと思っていたけれど、前に穂村弘さんの短歌でそういうのがあって我が意を得たりと思った。もう一度、読みたいけど何に載ってたのかわからない。 p79 わたしはやっぱり心配で、 「私のリュックサック、きっとみんなのより大きいと思うんだ」 とママに言った。 「同じと思うよ」 「でも、ちょっとは大きいんじゃない?」 するとママが言った。 「窓からみんなのリュックサックを見てみたらいいんじゃない?」 --そしていろんなリュックの子がいるのを見て安心する。ーー わたしのリュックサックを見て「大きい」と言う子はいなかった。 p114 --1年生の夏休み明け、担任の先生が一人一人の子の顔を見て回ってニコニコ笑った。ーー 「またみんなに会えてうれしいなぁ」 先生は言った。 そうか! 先生はさみしかったんだ。先生はわたしたちのことが大好きなのに、夏休みの間、わたしたちに会えなかった。だから、こんなににこにこしているんだ。 先生、よかったね。 わたしもうれしくなった。 p126 ーーお父さんと釣りに行く。海は青でなく黒かった。 深いのかな? こんなにたくさんのサバがつれるのだから深いに決まっている。わたしは急に海がこわくなった。ーー 「ねぇ、私が海に落ちたらどうする?」 となりにいるパパに聞いた。 「すぐに飛び込んで助けるよ」 パパは言った。 わたしのことはパパが助けてくれるんだ。 わたしはよかったと思った。 ↑ この安心感。私にも覚えがある。具体的じゃないけれどある。それが幸福ってものなのかもしれないな、と安っぽいけれど。 p162 炊飯器のふたをあけると、白いゆげが出てくる。 ゆげはごはんのにおい。 ゆげをかぐと、少しだけごはんを食べたことになると思った。 ↑ そうそう。そう思った。そしてゆげが大量に上がっている炊飯器のふたをあけたことがあった。一瞬で目の前が白くなって何が起こったかわからなかった。熱かった。 あわてて蓋をしめた。幼稚園のころ。
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益田ミリさんのエッセイ。今回は小さい頃の思い出話。反対言葉を言い合ったこと、ねこふんじゃったを必死で練習して誰が早く弾けるか競争したこと…。似たような思い出があって懐かしくなった。
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頭の本当に本当のすみっこでちんまりと埋もれていた記憶がゆっくりと手繰り寄せられていくよう、そんな気持ちになりました。 世代的に近いからなのか、幼い頃の原風景がかなりシンクロしてるように感じました。 ミリさんの言葉は、他の作品でもハッとするものと出会う率が高いけど、今回は 「はさ...
頭の本当に本当のすみっこでちんまりと埋もれていた記憶がゆっくりと手繰り寄せられていくよう、そんな気持ちになりました。 世代的に近いからなのか、幼い頃の原風景がかなりシンクロしてるように感じました。 ミリさんの言葉は、他の作品でもハッとするものと出会う率が高いけど、今回は 「はさみで夜をちょきんと切れたらいいのに。そうしたらすぐに朝がやってくる。」(P102 電車の中で) にやられました。
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時代が近いこともあり、共感する内容が多く、よく読む益田ミリさんです。 子供時代の思い出をつづっており、すごく共感できる部分が多かったです。 妹思いのお姉さんだったのだな、と思う場面がいくつかあり、作者の優しい部分が知れてよかったです。 全体的にほんわかした作品で心癒されました。
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小学校1年生の春夏秋冬の思い出エッセイ。 子どもって本当に純粋。 中でも包帯への憧れ、キンモクセイ集め、 お年玉袋集め、転校生が来て欲しい気持ちは 私にもあったなーと懐かしく読ませてもらった。 私もこの夏花火をしたとき子どもに『線香花火は最後ね!』って決まり文句のように言ったけど...
小学校1年生の春夏秋冬の思い出エッセイ。 子どもって本当に純粋。 中でも包帯への憧れ、キンモクセイ集め、 お年玉袋集め、転校生が来て欲しい気持ちは 私にもあったなーと懐かしく読ませてもらった。 私もこの夏花火をしたとき子どもに『線香花火は最後ね!』って決まり文句のように言ったけど、なんでだろう?誰が決めたんだろう?笑 文章とは関係ない挿絵が結構懐かしかった。 すべり台の下に『サメがいる!』とかねッ♬
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子ども時代のことを子ども目線でえがく。 よくこんなに覚えているなあとと感心すると同時に、自分にもフッと蘇るあの感覚。繊細さ、視線、発想、無敵感。忘れてしまうんだけど忘れないように。こども時代は特別。プリンのカラメルソースだって。根っこだね。
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小学一年生の頃の思い出をもとにしたエッセイ。 大人になるにつれて子どもの頃の記憶も薄れてくるけれどこれを読めば、少しずつ思い出してきた。 そういえば、こんなことあったなぁ…と共感できるところも多かった。 春 横断歩道のじごくのようにルールを勝手に決めてやってみること。 夏...
小学一年生の頃の思い出をもとにしたエッセイ。 大人になるにつれて子どもの頃の記憶も薄れてくるけれどこれを読めば、少しずつ思い出してきた。 そういえば、こんなことあったなぁ…と共感できるところも多かった。 春 横断歩道のじごくのようにルールを勝手に決めてやってみること。 夏 プールに入る前のシャワーと終わったあと水で目をあらっていたこと。 秋 夏休みが終わっての学校の教室。みんな真っ黒な顔していたこと。 冬 ひみつのドッヂボール。わたしの場合は大きなボールがこわくて逃げ回っていたこと。 思い返すことがあってもいいなぁと…。 こんな気持ちに浸れる時間もいいなぁと思った。
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益田ミリさんが、小学1年生だったときの目線で綴る記憶や思い出。 大人になってふりかえるようなエッセイではなくて、あくまでも当時のまんまの気持ちでありのままに書かれているところが面白い。 あのころの日々は、こういう謎の思考回路で突拍子もないことばかりだったよなーとなつかしくなる。 ...
益田ミリさんが、小学1年生だったときの目線で綴る記憶や思い出。 大人になってふりかえるようなエッセイではなくて、あくまでも当時のまんまの気持ちでありのままに書かれているところが面白い。 あのころの日々は、こういう謎の思考回路で突拍子もないことばかりだったよなーとなつかしくなる。 娘たちも読んでいて、エピソードを楽しく共有できた。彼女たちもあるあると思うらしい。 私がいちばん好きなのは「お金のチョコレート」。自分の行動だって、わからないことだらけなんだ。大人になってもいっしょだよ。
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幼い頃を思い出してほのぼのしました。益田ミリさん独特の表現や世界観、所々の挿し絵もシンプルで愛を感じました。
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同じ体験をしたわけではないのに、小さいころの自分を思い出して懐かしい気持ちになる。 益田ミリさんの本には小さな共感がたくさんあって、呼んでていて心地よい。
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