1,800円以上の注文で送料無料

ペガサスの記憶 の商品レビュー

3.7

24件のお客様レビュー

  1. 5つ

    2

  2. 4つ

    11

  3. 3つ

    10

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2023/12/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

三菱財閥の一族の1人として育った筆者。舞台は上海、葉山、東京と次々移り変わる。勤務先の文藝春秋には仮病で2ヶ月の休暇をとってる間に第一子かれんを出産。第二子ノエルは世界一周旅行終盤の船上で出産。第三子はベトナム戦争従軍記者として日本を離れいる間に..。そして、3人すべてアメリカ海軍中佐との隠し子なのだから、筆者の人生そのものが小説より奇なり、の面白さ。至って真面目で、大胆不敵。聡明で驚くばかりの行動力。 この小説は前半は桐島洋子の回顧録、後半は筆者洋子の3人の子どもたち、かれん、ノエル、そしてローランドの3人の手記から成っている。子どもの立場から見た親の姿の描写が親である私として、大変面白い。 編集者、文筆家であり母親でもあった洋子の真実と、3人の子どもたちから見る真実。人間として母をリスペクトしそれぞれが母親を支える姿は、複雑でありながら美しいと思う。 常識に囚われて、べき論を掲げてしまう母親である自分に恥ずかしくなりながら、彼女の型破りな行動力と桐島家という血筋に羨ましくもなる一冊。

Posted byブクログ

2023/10/29

大学合格祝いのコンポステレオとともに上京した私には、そのカタログの表紙の桐島かれんさんは、憧れの都会の少女でした。 媚びない、アンニュイな表情。 有名な御一家、きっと煌びやかな日々に違いないと、想像していた人も、ひとりの少女として沢山のことを感じながら暮らしていたのだ、と。 桐島...

大学合格祝いのコンポステレオとともに上京した私には、そのカタログの表紙の桐島かれんさんは、憧れの都会の少女でした。 媚びない、アンニュイな表情。 有名な御一家、きっと煌びやかな日々に違いないと、想像していた人も、ひとりの少女として沢山のことを感じながら暮らしていたのだ、と。 桐島洋子さんのファンとしても読み始めたこの本には、表紙の写真通り、家族の想いがいっぱい詰まっていました。

Posted byブクログ

2023/12/29
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

「聡明な女は料理がうまい」という素敵なタイトルの著書があることくらいしか桐島洋子を知らないのだが、家族ぐるみで書いた最新刊が出たということで、内容も知らないまま読んでみた。 驚いた。 前半は完全に桐島洋子の自伝である。想像もつかないほどのお嬢様として育ち、戦後ありえないほどの没落を経験し、都立駒場高校から文藝春秋に入って活躍するも婚外子の極秘出産を重ねるため退社、世界一周の末帰国前夜の船上で第二子を出産……とても一人の人間のうえに起こった事実とは思えない経歴である。時代性もあったとはいえ、生粋のヒロイン体質といえるであろう。そのうえとにかく筆が立つので自分自身のことを面白おかしく書き作れるのであるから、なまじなドラマを観るよりも断然面白い。 ところが物語はその第二子誕生でブッツリと途切れてしまい、そこから先は3人の子供たちによるリレーで話が進むのである。それぞれに有名人な子女ではあるが、とても母のようなヒロイン気質でもなければカリスマ性もない。物語は淡々と進み、それなりの山や谷はあるもののカタルシスは特にないまま、現在へと至る桐島洋子とその家族の物語が語られていく。 これはいったい何? キツネにつままれたような気持ちで「あとがき」にたどり着いた時、はじめて事情がわかった。桐島洋子はアルツハイマー型認知症となり、症状の進行により連載が続けられなくなったため、その続きを子供たちで書き継いだということなのだそう。 病気は不可逆であるからこういう形しかなかった、いや、こういう形ででも前半をそのまま読める形で世に出たのは良かったとは思うが、最後まで桐島洋子の筆で読みたかったというのが正直なところではある。ただその場合は、子どもたち、特に桐島かれんが書いていたような母への愛憎や葛藤はなかなか読み取れない内容になっただろうし、物議を醸した結婚相手との経緯もおそらく全く違った形で語られたであろう。子どもの立場からの客観的な描写を知った後だと、さらに、桐島洋子自身がこの時期をどう書いたかにとても興味が湧くのであるが、これは無い物ねだりかもしれない。 ちなみに、子どもたち3人の文章のうち、上ふたりはまあフツーの文章なのだが、末っ子長男ローランドの文章はなぜかメチャメチャ日本語のうまい外国人のしゃべり口を彷彿とさせた。ピーター・バラカンとかパトリック・ハーランとか。この部分だけ口述筆記だったのかなあ。どうでもいいことでした。

Posted byブクログ

2023/10/08

桐島かれんさんのお母様洋子さんの自叙伝になるはずが筆の途中で認知症をわずらい5年の空白の後、子供たち(かれん、ノエル、ローランド)の追記により仕上がった本でした。 洋子さんは私の親世代でその生き方も全く存じ上げませんでしたが、その時代の日本人女性としては破天荒(今ならもっと考え...

桐島かれんさんのお母様洋子さんの自叙伝になるはずが筆の途中で認知症をわずらい5年の空白の後、子供たち(かれん、ノエル、ローランド)の追記により仕上がった本でした。 洋子さんは私の親世代でその生き方も全く存じ上げませんでしたが、その時代の日本人女性としては破天荒(今ならもっと考えられない!?)と言えるのではないでしょうか。読んで仰天しました、子供たちもさぞや苦労しただろうなと。独立心、自立心の権化。でも三人のお子さんは本の中で皆洋子さんを尊敬し、労り、慈愛に満ちていました。 この本を読むと、日本という国が窒息しそうながんじがらめの国なんだなぁと思います。中にいるとこれが当たり前と思って日々あまり気になりませんが、世界は広くもっと伸びやかに暮らせる処も沢山あるのだなと。 林真理子さんがお薦めしてた記憶。図書館でなんと10ヶ月も待ってようやく私の元へ。とても興味深くて1日で読了でした。

Posted byブクログ

2023/08/05

アルツハイマー性の認知症の家族をもつ人の体験が知りたくて読んでみた。前半は桐島洋子さん自身が書いた半生記。他にもどこかで読んだり聞いたりしたことのある話が多く、多くの人に語るうちに完成した「美化された思い出」という印象。桐島氏自身はシングルマザーになるのを厭わなかったのかもしれな...

アルツハイマー性の認知症の家族をもつ人の体験が知りたくて読んでみた。前半は桐島洋子さん自身が書いた半生記。他にもどこかで読んだり聞いたりしたことのある話が多く、多くの人に語るうちに完成した「美化された思い出」という印象。桐島氏自身はシングルマザーになるのを厭わなかったのかもしれないが、結婚している男性が若い女性と付き合うのに、なぜ避妊をしないのだろうか? いくら昔のこととはいえ、理解できない。後半は、子どもたちの側から桐島氏が語られる。有名な母をもつ大変さを語るが、その言葉の端々に一人ひとりのささやかな愛情がのぞく。こちらはリアリティがあって面白い。母にエッセイで描かれていたアメリカでの生活も、一人ひとりのキャラクターの違いと、そのときの年齢によりまったく違う経験として語られる。変わった親をもつ兄弟同士の絆には、特別なものがあるようで、そこも面白かった。

Posted byブクログ

2023/07/31
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

第一章 洋子の章 一緒に冒険しているような⁉︎ なんという、生き方。 第二章 それぞれ姉弟目線。 面白かったぁ。 ページを捲る速度の速いこと、そして、じっと見入るその時々の家族写真…。

Posted byブクログ

2023/07/25

桐島かれんの夫で写真家の上田義彦氏が撮った「椿の庭」という映画を観た。撮影には自身の自宅を使用とのことでその暮らしぶりを知りたくてこの本を手にしたのだが、まったく触れられておらずそこは残念だったのだけど、桐島洋子を中心としたファミリーの紆余曲折の歴史はなかなか興味深いものがあった...

桐島かれんの夫で写真家の上田義彦氏が撮った「椿の庭」という映画を観た。撮影には自身の自宅を使用とのことでその暮らしぶりを知りたくてこの本を手にしたのだが、まったく触れられておらずそこは残念だったのだけど、桐島洋子を中心としたファミリーの紆余曲折の歴史はなかなか興味深いものがあった。桐島洋子の生き方はとても真似できるものではなく、ましてや子供たちからすると放任主義を通り越しかねない紙一重のラインにハラハラしながら読んだ。美しく華やかな家族のドロリとした部分が透けて見えなくもないあたりの好ましさ。出来事には表と裏がある。

Posted byブクログ

2023/06/29

桐島洋子 さんが書かれた前半よりも、子どもたちが書いた後半が興味深かった。ドラマチックに生きる親が子どもに受け取らせてしまうものの濃淡や陰影、ままならなさ。見えているものの違いとか。 だから、もし桐島さんが最後まで書き通していたら、読まなかったかもしれない。

Posted byブクログ

2023/04/23

桐島洋子さん、なんという魅力的な女性だろう。 スカーレットオハラ、伊藤野枝など、情熱的でまっすぐに生きた「わたしの大好きな女性リスト」の一人にこの方も。 知的でユーモアがあり、エネルギッシュで、社交的で思いやりがあって凛として。 一番好きな文章 「自分が思い描いた物語を現実...

桐島洋子さん、なんという魅力的な女性だろう。 スカーレットオハラ、伊藤野枝など、情熱的でまっすぐに生きた「わたしの大好きな女性リスト」の一人にこの方も。 知的でユーモアがあり、エネルギッシュで、社交的で思いやりがあって凛として。 一番好きな文章 「自分が思い描いた物語を現実化してしまう、ものすごいパワーを母は持っていた気がします」 その通りだと思った。

Posted byブクログ

2023/04/17

面白くて一気に読んだ。桐島洋子さんのことは全く知らなくて、お子さんの名前を聞いたことがあるくらい。もっと上の世代にはすごく有名なのだろうけど。 前半は洋子さんが、後半は3人のお子さんからそれぞれ桐島ファミリーの人生が語られる。 圧倒されるほど力強いある女性の一生。 (注:ご存...

面白くて一気に読んだ。桐島洋子さんのことは全く知らなくて、お子さんの名前を聞いたことがあるくらい。もっと上の世代にはすごく有名なのだろうけど。 前半は洋子さんが、後半は3人のお子さんからそれぞれ桐島ファミリーの人生が語られる。 圧倒されるほど力強いある女性の一生。 (注:ご存命です) 信じられない!と思う話ばかりでびっくり。 戦前のセレブな上海生活、結婚という制度無視の自由な恋愛事情、何より子どもを産む時の腹の座り方。船の上で産む話は衝撃的。 葉山、アメリカ、カナダでの生活。大胆で豪快な人。まっすぐ芯がある。 ただ子どもを預けて自由に働くことは相当反発されただろうなぁ。こんな人がいたなんて! 素敵だとは思うけど、自分の母親は普通でよかったと思ってしまいました笑

Posted byブクログ