名もなき子 の商品レビュー
「蝶の眠る場所」榊美貴の続編。医療技術の発達した現代社会において、大きな課題となるであろう安楽死、尊厳死。数値を把握できない無戸籍問題、児童性虐待など現代日本が抱える社会の闇をこれでもかと見せつけられる。「無駄な命はこの世に一つとしてない」この言葉の持つ意味をただの綺麗事と思うか...
「蝶の眠る場所」榊美貴の続編。医療技術の発達した現代社会において、大きな課題となるであろう安楽死、尊厳死。数値を把握できない無戸籍問題、児童性虐待など現代日本が抱える社会の闇をこれでもかと見せつけられる。「無駄な命はこの世に一つとしてない」この言葉の持つ意味をただの綺麗事と思うか、当然と思えるか、現実として一人一人が直面する時代になってきている。「生きる資格」の意味を考えさせられる社会派小説。
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うーん。 面白くなかった。 それぞれの事情があることは分かるけど、話が想像の範疇を超えててリアリティーを感じない。
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名もなき子 水野梓さん デビュー作 蝶の眠る場所の次作。 興味深い内容だったけど、 すこし、内容があっちこっちに、 飛んでいるような気がして疲れた。
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名前は親から子供への最初の贈り物。 その瞬間は我が子の健やかな成長と明るい未来を心から祈ったはず。 だが親の身勝手や社会のシステムによって、無戸籍児となる状況に追いやられる子らがいる。 一方、高齢者施設で相次ぐ不審死。 生産性のない高齢者を解放するという建前の誤った正義。 ...
名前は親から子供への最初の贈り物。 その瞬間は我が子の健やかな成長と明るい未来を心から祈ったはず。 だが親の身勝手や社会のシステムによって、無戸籍児となる状況に追いやられる子らがいる。 一方、高齢者施設で相次ぐ不審死。 生産性のない高齢者を解放するという建前の誤った正義。 劣悪な環境、理不尽な人生。 親を、社会を恨みたくなる気持ちは理解出来ても、それが殺人を肯定する理由にはならない。 物語ではダウン症児や路上生活者など様々な人の人生が描かれる。 赤子も高齢者もこの世に生を受けた者の命は等しく尊い。 命の意味を問われる読後。
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無国籍、児童虐待、命の価値、トリアージ、AI。現代における様々な問題が盛りだくさんだった。どれも重たい話なのだけれど、さらっと書かれているので読後ずっしり来るという感じではなかった。それぞれの問題についてもう少し掘り下げてほしかったけれど、これだけ詰め込むならこれくらいがちょうど...
無国籍、児童虐待、命の価値、トリアージ、AI。現代における様々な問題が盛りだくさんだった。どれも重たい話なのだけれど、さらっと書かれているので読後ずっしり来るという感じではなかった。それぞれの問題についてもう少し掘り下げてほしかったけれど、これだけ詰め込むならこれくらいがちょうどいいような気もするし…なんだかモヤモヤ。 命の価値は、正直どれだけ考えても答えが出ない問題だ。生産性のない人は生きている価値がないとまでは思っていないけれど、自分自身が生産性のない立場になったら、それは生きている価値がないと感じるだろうな、とは思った。 それと、犯人の動機や母親の選択の理由がイマイチ理解できなかった。理解できないという言葉が正しいかは分からないのだけれど…なんだろう。腑に落ちない? 他のかたの感想を読んで知ったのだけれど、どうやら前作があるらしい。今回あっさり書かれていた夫の死だとか、そのあたりの主人公の闇が見えそうなので前作も読んでみたい。
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高齢者施設での相次ぐ不審死を発端とし、自分で呼吸したり動くことができない老人の尊厳死、安楽死の問題から、AIの問題、浮浪者、無国籍児童など、多岐に渡る問題提示をしている。 文章に、文学的な情緒、芸術的な要素は全くない。作者がジャーナリストだからか、前作と同様、問題提起をするた...
高齢者施設での相次ぐ不審死を発端とし、自分で呼吸したり動くことができない老人の尊厳死、安楽死の問題から、AIの問題、浮浪者、無国籍児童など、多岐に渡る問題提示をしている。 文章に、文学的な情緒、芸術的な要素は全くない。作者がジャーナリストだからか、前作と同様、問題提起をするために次から次へと事象を起こしているような忙しい文章だった。 いっそルポにした方がいいのでは?と読みながら首を傾げる。 主人公の美貴の、問題に対して抜け目なく動き回り、自信たっぷりの全能感に、こちらが疲れを感じる。 息抜きに、子供の陸を妙に子供らしいいい子に表現しているのも気にかかる。昨今の親が演じている、こんな親子が素敵だと思ってます的なステレオタイプな幻想が描かれていて、何だかなぁともやもやする。 問題としていること自体には興味を惹かれた。 (抜粋)自力では呼吸ができず、医療の力を借りなければ生きていけない人たち。「そんな命には価値がない」という本音を、社会は覆い隠したまま、じわじわと追い詰めている。安楽死や尊厳死だって、治療効果のない人間に医療を施しても無益だ、と言う立派な「優生思想」だ。 私自身、常にひどい倦怠感、全身痛があり、安楽死を受け入れてくれる世の中になって欲しいと常日頃から切願している。本当に辛い人にとって、いざという時に安楽死の道があるというのは、それまで頑張る原動力になるし、不安を解消してくれる。 でも実際、どんな命でも生きていることは何より尊い、とにかく救いあげ死なさないことが大切だ、と、本気で思っている人もいる。熟考した上でその考えなのか、感覚的にそう思っているのか、社会や周囲にそう思わせられているのか謎だが… もう小説という形でこの作家さんの本を読むことはないと思うが、世に問題提起をしたいという意欲は伝わってきた。
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高齢者施設で相次ぐ不審死と、マスコミに送られた正義の名を騙った犯行声明。生産性のない者は死すべき社会悪なのか。そして無戸籍で生きる謎の青年の目的は何なのか。社会的弱者の苦悩を描いた社会ミステリです。 困窮する人が多い社会で、切り捨てられるべきはいったい誰なのか。何らかの形で優先順...
高齢者施設で相次ぐ不審死と、マスコミに送られた正義の名を騙った犯行声明。生産性のない者は死すべき社会悪なのか。そして無戸籍で生きる謎の青年の目的は何なのか。社会的弱者の苦悩を描いた社会ミステリです。 困窮する人が多い社会で、切り捨てられるべきはいったい誰なのか。何らかの形で優先順位を付けなければいけないとすれば、生産性のない者が切り捨てられてしまうのは当然、と感じる面もあるにはあると思います。が、それをあたかも正義のように振りかざす人は、自分自身が切り捨てられる側になっても果たして容認できるのでしょうか。結局他人事でしか語れないんだろうなあ。そしてこういう場合の「正義」は本当に恐ろしいです。 なんとも悲しくて、切ない読み心地の作品でした。どうやっても社会的弱者はなくなることがないのでしょうね。いったいどうすればよいのか。それは永遠の課題だという気がしました。しかしまずこういうことがあるというのを知らなくちゃどうにもならないよね……。
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テレビ局でドキュメンタリー番組の制作に携わる榊美貴は、高齢者施設で多発している不審死に疑問を感じる。 ほどなくして、主要メディアや官邸に犯行声明が届く。 何も生み出さない高齢者は、「社会悪」だ。と… 寝たきりだと、病気だと、それだけで必要のない人間になるのか… 取材を進めてい...
テレビ局でドキュメンタリー番組の制作に携わる榊美貴は、高齢者施設で多発している不審死に疑問を感じる。 ほどなくして、主要メディアや官邸に犯行声明が届く。 何も生み出さない高齢者は、「社会悪」だ。と… 寝たきりだと、病気だと、それだけで必要のない人間になるのか… 取材を進めていく中、高熱で倒れている青年・小林悟を助ける。 彼は、無戸籍だった。 彼の生きてきた道程を知った美貴は、強い衝撃を受ける。 そして、彼の周りを調べていくうちに高齢者施設での不審死にも繋がるものを探り出す。 今現代において、高齢化する問題もあるが、生まれながらにして無戸籍で生きなければならない者たちの苦悩。 それも鋭く書いている。 孤独や悲しみ、諦念すら感じさせる。 重いテーマではあるが、淡々と流れるように読み進められたのは、榊美貴の目線を軸にしているからだろうか。 終章の誕生で母親の気持ちを知る。 辛すぎて複雑である。
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映画のプロローグを観るような幕開けから,現代の世相を織り交ぜながら,ストーリーは進む. 一言で言って,面白かった! でも,このタイプの作品が世の中に溢れすぎているのも確かで,今日的な,この「階層」にスポットをあてる作品. とても重要なテーマだし,それだけ作品にする必要のあるテーマ...
映画のプロローグを観るような幕開けから,現代の世相を織り交ぜながら,ストーリーは進む. 一言で言って,面白かった! でも,このタイプの作品が世の中に溢れすぎているのも確かで,今日的な,この「階層」にスポットをあてる作品. とても重要なテーマだし,それだけ作品にする必要のあるテーマなのだと思う.でも… 切り口が意外と似通ってて「あーそれね」感が多少…. あと,そこが描きたいところじゃない,ということかもだけど,犯人の内情にもう少し深く踏み込んだ方が良いよね,というのも最近の「流行りの」作品群に思うところ. 読者の感性に委ねるのもいいけど,筆者の描きたかったことを伝えるのにはそこ,重要な誘導じゃない?と思う.
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「蝶の眠る場所」を未読で本作を読んだが、内容的には問題なかったようだ。淡々と物事は進み語られていくが、人間として生きるとは何かと常に揺さぶられ続けながら読み終えた。生まれながらの格差による不公平。生産性という尺度で測る選別。治療効果の薄い末期高齢者とその家族の抱える死生観。正義の...
「蝶の眠る場所」を未読で本作を読んだが、内容的には問題なかったようだ。淡々と物事は進み語られていくが、人間として生きるとは何かと常に揺さぶられ続けながら読み終えた。生まれながらの格差による不公平。生産性という尺度で測る選別。治療効果の薄い末期高齢者とその家族の抱える死生観。正義の名があれば他を排除することも正しいとされる社会。そんな様々なことが今を生きる自分たちの暮らしの中にあることを痛感させられる。終章を読み、改めて序章を読むとこの決断の是非は決して二項対立では判断できないと感じる。文中で出てくる「果てしなく続く灰色のグラデーション」はまさにそうであり、いっそ灰色の世界だから生き方を決めていいよと言われるほうが楽なのではないかとすら思ってしまった。
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