生者のポエトリー の商品レビュー
『詩』をテーマにした6編からなる連作短編集。自分の意思を伝えるのが苦手な人達が、心からあふれる思いを詩という方法で表現する。それは生きた言葉だ。 無性に詩集が読みたくなり、詩を書いてみたくなった。
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詩を作る、朗読する。普通に生きていると恥ずかしくてそんな事出来ないと思ってしまいます。でも誰でも言葉を連ねる事で作れるのが詩です。巧拙もテクニックも気にせず心の赴くまま言葉を連ねる。それが自分表現になるし、人の心を打ったりします。 そしてなんらかの形で人前で朗読をする、いわゆるポ...
詩を作る、朗読する。普通に生きていると恥ずかしくてそんな事出来ないと思ってしまいます。でも誰でも言葉を連ねる事で作れるのが詩です。巧拙もテクニックも気にせず心の赴くまま言葉を連ねる。それが自分表現になるし、人の心を打ったりします。 そしてなんらかの形で人前で朗読をする、いわゆるポエトリーリーディングです。 本作はそんな世界に飛び込んで自分の世界を広げて行った人々の連作短編集です 心の中に色々な事を抱え込んでそれを吐き出せず苦しい人々が、詩という手段を得てほとばしらせる叫びがとても胸を打ちます。
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言葉の大切さを改めて実感する物語。ある街を舞台に「詩」を紡ぐ人たちを描いた短編集。ラストは1つに収束していくため連作短編とも言える。特に後半以降の「幻の月」「あしたになったら」あたりは「詩」を読むシーンでこらえられない思いがあふれてきた。「詩」というテーマが中々に秀逸で文章よりも...
言葉の大切さを改めて実感する物語。ある街を舞台に「詩」を紡ぐ人たちを描いた短編集。ラストは1つに収束していくため連作短編とも言える。特に後半以降の「幻の月」「あしたになったら」あたりは「詩」を読むシーンでこらえられない思いがあふれてきた。「詩」というテーマが中々に秀逸で文章よりも短いため伝えたい感情をダイレクトにのせることが出来る。登場人物たちの感情が見事なまでに形成されている、ありがちだけれども良い作品だったと思う。作者の岩井さんは初読みだったが、様々なジャンルを書き分けられるタイプなので別作品も期待。
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「水よ踊れ」の岩井圭也だから期待しない手はない、そしてやっぱり傑作の連作短編小説。 詩を書き、詩を詠むことで人生を生き抜く人たちの物語。短編6つはそれぞれ薄くつながっていて、その構成は小説で良くあるパターンなのだが、独特なのは詩をつないでいくパタンだということ。小説のつながりには必ず詩を読むOR聞くが絡んでくる。 どの掌編も、この世の中を生きづらかったり重いものを背負っていたりする人が主人公。中には重すぎて読んでいるだけでツラい境遇の人もいる。そんな彼らも人生を歩んでいかねばならないわけで、そんな時大きな力になるのが「詩」なのである。 俺は詩については、まったくもって不熱心な方で、疎いこと限りなし…なんだが、この本を読んで、詩を声に出して読んでみるのもいいかもなぁ、って思えた。 これから先、何かで生きていくのがどうにもツラくなったときは、詩を叫んでみようと思った。
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小学生から老人までさまざまな境遇、環境で生きる人たちが自分の思いを自分の言葉で自分の声で伝える詩の朗読を通して繋がっていく6編の短編連作。 最初にタイトルの「ポエトリー」って何だろうと思ってググってみたがいまいちピンとこない説明。 でも最後の『街角の詩』で「ポエトリー」の意味もさらに【生者のポエトリー】というタイトルもストンとおさまった。すばらしかった。 どれもしみじみといいお話ばかりだったが、特に気に入ったのは『幻の月』 妻を亡くした無口な老人が路上ライブでパフォーマンスをする青年が発する言葉の力に圧倒され、いつかこの世を去る前に自分の思いを一人娘に伝えたいと自作の詩を朗読する決意をし朗読会に娘を招待するというお話。とても感動的でした。
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ポエトリー、詩をめぐる連作短編集。 少し乾いた尖った話が多かったものの、詩とはあらゆる感情が表現されているものだから。 そういえば、小学校のときは授業でよく詩を書かされたなぁ。詩の表彰とかもあって、日常的に触れていた気がする。 詩と小説、対極にあるような気もするが、うまく融...
ポエトリー、詩をめぐる連作短編集。 少し乾いた尖った話が多かったものの、詩とはあらゆる感情が表現されているものだから。 そういえば、小学校のときは授業でよく詩を書かされたなぁ。詩の表彰とかもあって、日常的に触れていた気がする。 詩と小説、対極にあるような気もするが、うまく融合されている。
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最初はとまどった。この作者の作品は、ちょっと変わった設定が多いことは知っている。詩だって、今度は。 しかし、まさかこんなに熱くなっていく人間の姿を見せてくれるとは。一人ひとりの登場人物は、とても不器用な人たちばかりなのに。 言葉は、心なのだ。言葉で表し行動することで、前へ進...
最初はとまどった。この作者の作品は、ちょっと変わった設定が多いことは知っている。詩だって、今度は。 しかし、まさかこんなに熱くなっていく人間の姿を見せてくれるとは。一人ひとりの登場人物は、とても不器用な人たちばかりなのに。 言葉は、心なのだ。言葉で表し行動することで、前へ進むことができるのだ。
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詩をテーマに据えているお話は珍しいのじゃないかと思った。 途中まで普通だなと読み流してたけど、「あしたになったら」が良かった。 学習支援員の主婦が、ブラジルから来た少女に彼女なりのLiberty(自由)が見つかるといいと願い、力になれたらと思うところ。 自分の言葉を紡げるって、自由になることだと思うから。 (あ、でも支援教室の先生としては立ち入りすぎではと思う。少女のお母さんの言うことももっともで、気持ちもとてもよくわかる。)
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詩という言葉の力をこの本で知る。詩のよさはよく分からないし、この本の詩を読んでも感動もしなかったけど、この本の中の人たちが感動や考えている事を知って自分も感動を体験できた。言葉の力はナイフにもなるし、包み込む毛布になる。それを気づかせてくれた本。
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社会派エンタメ作家。なるほど、周りにはこんな人たちもいるかもしれない。暗い部分に目を向けさせられる。 逆境の中で詩があかりとなって、それが生命力となる人たちの6人の短編。 どれだけたくさんの銃口を向けても 思い出は殺せない 触れれば火傷するような炎でも 歌声は焼き尽くせない 重機で振るうハンマーでも 言葉は潰せない 本文より 国外にも届いて欲しいですね
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