クィア・アクティビズム の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
社会への同化を目指す運動と、社会の変革を目指す運動。この2軸から、アメリカにおける性的マイノリティがどのような闘争を繰り広げてきたかを説明する。 同化で言えば、18世紀に始まるリベラル・フェミニズムや60年代のゲイ解放運動がある。変革で言えば、1960年代のラディカル・フェミニズム、70年代のゲイライツ運動がある。 両者に共通していたのは、一つのアイデンティティに基づく行動だったということ。フェミニズムであれば女性、ホモファイル運動であれば同性愛者というように。こうしたアイデンティティ・ポリティクスの限界を示したのがエイズ・アクティビズムだった。HIVに感染するのは特定のアイデンティティを持った人たちではなかったし、自分を性的マイノリティだと思っていない人たちの間でも感染リスクの高い性的行動を通した感染のリスクがあるためだ。 クイア・アクティビズムは、アイデンティティを手放すことなく、抑圧・差別された個人の背景はそれぞれ異なっていることを前提とした連携を目指す運動なのである。
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フェミニズムからクィア理論までの歴史的流れがコンパクトにまとまった教科書。記述は薄いがこれを入口に深めて行くにはちょうど良いまさに超入門編。 それにしてもアメリカというのは良くも悪くも壮大な実験場なのだなぁと改めて。現代においてはこの国で社会運動が何かの成果を勝ち取るということは...
フェミニズムからクィア理論までの歴史的流れがコンパクトにまとまった教科書。記述は薄いがこれを入口に深めて行くにはちょうど良いまさに超入門編。 それにしてもアメリカというのは良くも悪くも壮大な実験場なのだなぁと改めて。現代においてはこの国で社会運動が何かの成果を勝ち取るということは余り想像できない。学生運動の敗北が未だに尾を引いているのかもしれない。そもそも社会が分断化されすぎてて連帯ということがまずもって現実感を持たないのがこの国の閉塞感の基盤にあるようにも思う。
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女性問題・LGBTQ問題は今や全人類共通の問題…!これまでの歩みを知るならこの一冊を。 阪大教養科目の教科書にもなっているそうで、内容はまとまっているのに、大変読みやすい。 著者の方はLGBTを起因としたエイズの研究者の方らしく、そのせいもあってか、HIV関連の記述が多め。第三...
女性問題・LGBTQ問題は今や全人類共通の問題…!これまでの歩みを知るならこの一冊を。 阪大教養科目の教科書にもなっているそうで、内容はまとまっているのに、大変読みやすい。 著者の方はLGBTを起因としたエイズの研究者の方らしく、そのせいもあってか、HIV関連の記述が多め。第三波フェミニズムの言及はないのでそこは自分で補う必要あるけども。 皆が平等に幸せでいられる社会へ
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