オオルリ流星群 の商品レビュー
ままならない人生を生きている主人公たちが28年ぶりに地元に戻ってきた彗子を通して天文科学と出会い、天文台を作る手伝いをすることになる。 徐々に明らかになる高校生だった28年前の出来事。45歳になった彼ら彼女らは自身の葛藤を抱え天文台を作りながら自問自答する。 伊与原新さんはもとも...
ままならない人生を生きている主人公たちが28年ぶりに地元に戻ってきた彗子を通して天文科学と出会い、天文台を作る手伝いをすることになる。 徐々に明らかになる高校生だった28年前の出来事。45歳になった彼ら彼女らは自身の葛藤を抱え天文台を作りながら自問自答する。 伊与原新さんはもともとミステリを書いていたが、この科学に人が触れて変化する物語を描き始めてから独自性がでてきた。これまでの短編も抜群に良かったけれど、長編でもこんなにも良い。 少し年齢を重ねた人にこそ心に刺さる小説だ。
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高校の時文化祭で一緒にオオルリのタペストリーを空き缶で作った仲間たちが 40代になった今それぞれの事情を抱えつつも再会し 再び天文台を作るという一つの目標のために協力し合う物語。 あとがきにあった通り、最先端の機会がなくても研究ができるという事実は素晴らしい。 それに感銘を受けてこの物語を書いたそうだが この小説では研究をする前の段階でお話は終わっているし なぜ自殺をしたのか、なぜ引きこもりになったのか、 どうやって家業を立て直すのかなどの各キャラクターのエピソードは 薄く感じ、感情移入できるキャラクターは一人もいなかった。 ご都合主義に話が展開しすぎる印象もあった。 自分だったらこっそりアンテナを立ててミニFM局始めようとしているのに 自殺しようとしていると勘違いされ、リスナーを装ってコメントをされたり 家に押しかけてきて前の会社の人に事情を聞いたと言われたりしたら なお一層引きこもると思う。 人間というのは、甘えている相手のことを親身になって考えたりはしない というのはその通りだなと思ったし 千佳のエピソードに出てきた教育実習生の益井は唯一人間味があって好きだと思えた。 問題があるならやめさせるではなく、それをクリアさせるのが教育だ、という考えを 今も教師になって持ち続けてくれていたらいいなと思う。
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哀しい過去はあったにせよ、こんな夏を2度も過ごせて羨ましい。何かに懸命になること、できれば1人ではなく。でも、最初は1人でも。思いがけずちょうどこの季節に読めて滲み入るものがありました。前作、前々作の短編も良かったですが、本作も良かったです。
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オオルリのタペストリー制作をきっかけに青春時代を過ごした仲間たちが45歳になって再び「天文台作り」を通じて集う話。 とてもゆるゆると進む話だったが飽きることなく読めた。 「小よく大を制す」この言葉が物語の主軸になっていて、小さな力が大きな事を成し遂げる。タペストリー、天文台。そし...
オオルリのタペストリー制作をきっかけに青春時代を過ごした仲間たちが45歳になって再び「天文台作り」を通じて集う話。 とてもゆるゆると進む話だったが飽きることなく読めた。 「小よく大を制す」この言葉が物語の主軸になっていて、小さな力が大きな事を成し遂げる。タペストリー、天文台。そして最後には街の灯を消した。 物語が進むにつれ6人のこれまでの人生や人隣り、心境の変化が星の動きのように緩やかに、それでいて暖かく個々の明るさで煌めいている。 幾億ある星たちはそれぞれに輝き、物語がある。そんな一冊だった。
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オオルリ流星群 伊与原新 ∞----------------------∞ 学生時代に一緒に活動した数ヶ月は彼らにとっては余程の楽しい思い出だったんだろうな。45歳になって、ずっと連絡のなかった仲間を手伝うためにここまで協力できるのもすごい。 ミニFMでの発信から始まり、町全体に天文台と流星群の噂が広まって、個人宅から工場までが電気を消してくれるって、なんて素晴らしい町なんだろう。 2023/06/27 読了 (図書館)
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ノスタルジー、それが満ちあふれている作品だった。それぞれの気持ちを、推し量ることができる年齢になったからこそ、の話だなぁと感じた。 しかし、捻くれ者の私には、素直に感動する心はなく、他人の思い出話を冷めた気分で聞いている、そんな感想だ。
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本当に最後の最後でぐっときて泣いた。 ミスドでコーヒーおかわりして読みふけった。チュロスおいしかった。
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「あのときのメンツ、今みんなこっちにいるみたいだぜ」 「まさか、スイ子か? なんでまた?」 スイ子こと、山際彗子が秦野市に帰ってきた。 手作りで太陽系の果てを観測する天文台を建てるというのだ。 28年ぶりの再会を果たした高校時代の同級生・種村久志は、かつての仲間たちと共に、彗子の計画に力を貸すことに。 高校最後の夏、協力して巨大なタペストリーを制作した日々に思いを馳せるが、天文台作りをきっかけに、あの夏に起きたことの真実が明らかになっていく。 それは決して、美しいだけの時間ではなかった。 そして久志たちは、屈託多き「いま」を自らの手で変えることができるのか。 (アマゾンより引用)
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40代半ばになった高校の同級生が一人の天体観測所を造るという夢のような話に皆で取り組むことになる。 彼らは高校のとき、空き缶でオオルリのタペストリーを完成させた仲間。 天体観測所を完成させようとする中で、高校時代の思い出や、若い時に思い描いた未来とはいかない現在の自分の姿などそれ...
40代半ばになった高校の同級生が一人の天体観測所を造るという夢のような話に皆で取り組むことになる。 彼らは高校のとき、空き缶でオオルリのタペストリーを完成させた仲間。 天体観測所を完成させようとする中で、高校時代の思い出や、若い時に思い描いた未来とはいかない現在の自分の姿などそれぞれ思い浮かべながら作業が進んでいく。 高校時代に現実から逃げ出そうとした結果だったとしても皆で共有した時間と達成感は、年を経ても彼らに変わらない何かを植え付けていたのだ。 仲間っていいなあ、と思わせる話だ。 思い描いた未来ではなかったけど、仲間がいればまた前へ進めそうな気にさせてくれる。 濃厚な仲間ではないけれど付かず離れずの緩い仲間がそれぞれの心も開いていけそうだ。 悩みながらまだまだ成長していく中年仲間、いいなあ!
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