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いえ の商品レビュー

3.8

145件のお客様レビュー

  1. 5つ

    26

  2. 4つ

    61

  3. 3つ

    43

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

    1

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2023/12/05

ちょっと心が痛くなる。でも、良かった。 他人の気持ちが分かる人になりなさいと幼い頃からよく言われた。でも、考え過ぎると足元が覚束なくなって躓くんだ。 この作品自体は、そんなに深い所まで入り込んでいないし、程よい視点で捉えてくれている。家族、夫婦、兄妹、友人、同僚、部下、色んな繋が...

ちょっと心が痛くなる。でも、良かった。 他人の気持ちが分かる人になりなさいと幼い頃からよく言われた。でも、考え過ぎると足元が覚束なくなって躓くんだ。 この作品自体は、そんなに深い所まで入り込んでいないし、程よい視点で捉えてくれている。家族、夫婦、兄妹、友人、同僚、部下、色んな繋がりがあって、毎日を生きている。捉え方は人それぞれだとは思うが、筆者は毎回このシリーズ最後の一文に全てを込めてくる。今作は私の中では腑に落ちた。良作ですよ。

Posted byブクログ

2023/11/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 小野寺史宜さんの三部作「ひと」「まち」「いえ」を知らなくて、「いえ」を読みました。兄三上傑25歳と傑の友人城山大河の車に乗ってて事故に遭い左足に後遺症が残った妹若緒22歳を中心とした物語。妹を気遣う兄のちょっと頼りない様子に比べ、妹がしっかりしてるなという印象です。

Posted byブクログ

2023/11/11

主人公・三上傑の妹である若緒は、恋人の城山大河と(傑の友人でもある)ドライブデート中に事故を起こし、その後遺症で左足を引きずるようになってしまった。事故以来、家族ぐるみの付き合いだった大河を巡り、三上家はどこかぎくしゃくしている。教員の父は大河に一定の理解を示し、納得いかない母は...

主人公・三上傑の妹である若緒は、恋人の城山大河と(傑の友人でもある)ドライブデート中に事故を起こし、その後遺症で左足を引きずるようになってしまった。事故以来、家族ぐるみの付き合いだった大河を巡り、三上家はどこかぎくしゃくしている。教員の父は大河に一定の理解を示し、納得いかない母は突っかかり、喧嘩が絶えない日々が続いている。 いつも通り、主人公の傑のキャラクターがなかなか良い。傑物、豪傑、の傑から取った名前で「すぐる」というのだが、『残念ながら、おれは傑物でも豪傑でもない。どちらかと言えば凡人だ』と自らを語る。妹である若緒を心配しながら見守る優しい兄貴だ。 若緒の強靭な精神力には感心させられる。不慮の事故で不自由になった足を嘆かずに強みにして、就活に苦戦しながらも、ついに希望先を勝ち得るのだから。しかも、恋人の大河に別れ話を持ち出したのは若緒だったことが終盤に明らかになる。理由は、今後大河が事故の責任を負い関係を続けていくことになるのは嫌だったからと、家族の前で話した。あまりにもカッコよすぎる若緒が凹んでいる私に喝を入れて来る。兄貴の傑がパートのおばちゃん、気まずくなっていた大河との関係を修復していったように、崩れかけていた家族も元通りになっていった。 たぶん、交通事故が起きなくても、いつか若緒と大河は別れることになっていただろう。 本作は『ひと』『まち』に続く三部作。登場人物に以前の作品に出てきて彼らが友情出演(笑)していて、『まち』の主人公だった瞬一がめでたく消防士試験に受かっていることが知れる。というか、傑と瞬一は同じ街に住むランニング仲間なのだ。自分が住んでいる街も同じように様々な人たちが色んな物語を持っているのだろう。いつもウォーキングで挨拶しすれ違う人たちの顔が浮かんだ。 今回も、日常の平凡な暮らしの中に語られる小野寺さんの術中にはまってしまった。

Posted byブクログ

2023/11/07

妹が交通事故で左足の膝に障害をおった。兄目線で、事故後の家族のギクシャクとした思いと、自分の人生、職場や友達との関りを描いていく。「済んでしまったこと」と受け入れるにはとてつもない葛藤と長い時間が必要だ。社会の一員としての日常と、少しづつ考え方が変わっていく心の機微が伝わる。懐か...

妹が交通事故で左足の膝に障害をおった。兄目線で、事故後の家族のギクシャクとした思いと、自分の人生、職場や友達との関りを描いていく。「済んでしまったこと」と受け入れるにはとてつもない葛藤と長い時間が必要だ。社会の一員としての日常と、少しづつ考え方が変わっていく心の機微が伝わる。懐かしい江戸川の皆さんが登場して嬉しい。

Posted byブクログ

2023/11/06

ひとシリーズ第三弾。 舞台は同じ平井駅近くの荒川の河川敷近く。三上家の長男傑、妹の若菜が主人公。 若菜は傑の親友大河と付き合っていたが、二人でドライブ中に事故を起きて、それが原因で若菜は足をひきづるようになる。 そんなことをきっかけに、何か全てがトゲトしい感じになっていく。 お客...

ひとシリーズ第三弾。 舞台は同じ平井駅近くの荒川の河川敷近く。三上家の長男傑、妹の若菜が主人公。 若菜は傑の親友大河と付き合っていたが、二人でドライブ中に事故を起きて、それが原因で若菜は足をひきづるようになる。 そんなことをきっかけに、何か全てがトゲトしい感じになっていく。 お客様対応をキッカケにして、謝罪って、やってみたら思いのほか気持ち良い事に気づいて、回りとの関係を修復していく。 若者の清々しさが強く感じられ、読後感は非常に良い。

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2023/11/05

 ひと、まちを読んで、この本にたどり着いた。2冊は、青年の旅立ちを描いたもの。こちらは趣が違い、一緒に住んでいる家族がテーマだった。新鮮な感じがした。  「まち」と同じ場所で繰り広げられる物語。喫茶店羽鳥、図書館、筧ハイツ・・・。おなじみの建物をはじめ、大好きな江藤君が登場して...

 ひと、まちを読んで、この本にたどり着いた。2冊は、青年の旅立ちを描いたもの。こちらは趣が違い、一緒に住んでいる家族がテーマだった。新鮮な感じがした。  「まち」と同じ場所で繰り広げられる物語。喫茶店羽鳥、図書館、筧ハイツ・・・。おなじみの建物をはじめ、大好きな江藤君が登場していて、胸が高まった。  家の中には空気の流れがある。誰かに何かが遭ったとき、それは一気に変化する。家族皆に影響が及ぶことがある。そう思う。  この家族はその流れを変えられるのか?ドキドキしながら読み進めた。  一番苦しい思いをしたはずの妹(若緒)が、一番前向きに歩みを進めていく。強く健気で、胸に刺さった。  「就活してみて、思った。私、これで結構覚えて貰えるの」弱みに見えることを味方につけたこの言葉に号泣した。

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2023/10/31

「ひと」「まち」を読んだのが2、3年前なので、久々のこの作品世界が懐かしく、相変わらず心地良かった。 特別優れている、とか秀でている、鋭い、とかでは無い、市井の普通の人々の出来事、思いが淡々と描かれているだけなのですが、其々の思い、思い遣りが心に沁みるという愛おしい世界。

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2023/10/18

最高です。 三部作の中で、話のテーマとしても、主人公としても、個人的には一番好みです。 「ひと」や「まち」は、周囲の人との関係性などに焦点が当たっていましたが、「いえ」は家族がメインテーマ。 家族や周囲の人とのギスギスした関係が、ゆっくりと氷解していく感じが、読んでいて本当に心地...

最高です。 三部作の中で、話のテーマとしても、主人公としても、個人的には一番好みです。 「ひと」や「まち」は、周囲の人との関係性などに焦点が当たっていましたが、「いえ」は家族がメインテーマ。 家族や周囲の人とのギスギスした関係が、ゆっくりと氷解していく感じが、読んでいて本当に心地良かったです。 で、その氷解のきっかけが何か特別なことではない所が良いです。家族や先輩、彼女と話したり、自分のことを見つめ直したりしたことで、絡まった紐がスルスルほどけていく感じというか。 そして、主人公の三上傑くん、周りに素っ気なくて、淡白なところにシンパシー感じます。(ホケツだったとこも) 特に、いつでも前向きでないと、罪である様な風潮に対する考え方に共感。 実際、基本は前向きなんだから、落ち込んだ時くらい、そのうち前向きになれればいいって感覚でちょうどいいと思いますし。 「まち」と「いえ」の舞台でもある平井駅で聖地巡礼をしたくなりました笑

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2023/12/22

ひと、まち、いえの3部作サクサク読みました。悪人が出て来なかった。中でも「いえ」が一番好き。答えの出ない いろんな葛藤、悪い循環は得てして重なり易く、何度自分の心の中を覗いても、人は自分を守るために逡巡しがちでなかなか踏み出せず思い悩む。 ほんのはずみで踏み出した一歩が次へと繋が...

ひと、まち、いえの3部作サクサク読みました。悪人が出て来なかった。中でも「いえ」が一番好き。答えの出ない いろんな葛藤、悪い循環は得てして重なり易く、何度自分の心の中を覗いても、人は自分を守るために逡巡しがちでなかなか踏み出せず思い悩む。 ほんのはずみで踏み出した一歩が次へと繋がって、もつれた糸がスルスルとほどけていく。案外「生きてる」ってそんな連続なのかもと感じさせて貰えた。

Posted byブクログ

2023/09/20

小野寺さんの文章のリズムが心地よい。 1つ1つは短い文章で、組み合わさったリズムも合わせて、情景が浮かぶ。 その土地に行きたくなる。 メロンソーダが飲みたくなる。 焼き鳥が食べたくなる。 食べたら私も登場人物みたく優しくなれるのかな。なんて思ってるのかも。 嫌な人、嫌なことに出...

小野寺さんの文章のリズムが心地よい。 1つ1つは短い文章で、組み合わさったリズムも合わせて、情景が浮かぶ。 その土地に行きたくなる。 メロンソーダが飲みたくなる。 焼き鳥が食べたくなる。 食べたら私も登場人物みたく優しくなれるのかな。なんて思ってるのかも。 嫌な人、嫌なことに出会ったときに、嫌だと思うのが止められなくても、その後の行動自分で変えられる、素敵な考え方だなぁ。 『ひと』と『まち』を読んでから読んだので、同じ人物で出て嬉しくなりました。 図書館で借りたけど、この本も手元に置いておきたくなりました。

Posted byブクログ