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アムンセンとスコット の商品レビュー

4.7

14件のお客様レビュー

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2024/04/26

本多勝一(1932年~)氏は、長野県生まれ、千葉大学薬学部卒、京大農学部卒、朝日新聞社に勤務した、新聞記者・ジャーナリスト・作家。京大在学中に山岳部に所属し、今西錦司、梅棹忠夫等から探検やフィールドワークのノウハウを受け継ぎ、ヒマラヤ遠征などを行う。朝日新聞社入社後も、国内外各地...

本多勝一(1932年~)氏は、長野県生まれ、千葉大学薬学部卒、京大農学部卒、朝日新聞社に勤務した、新聞記者・ジャーナリスト・作家。京大在学中に山岳部に所属し、今西錦司、梅棹忠夫等から探検やフィールドワークのノウハウを受け継ぎ、ヒマラヤ遠征などを行う。朝日新聞社入社後も、国内外各地の現地を行い、『極限の民族』三部作(『カナダ・エスキモー』、『ニューギニア高地人』、『アラビア遊牧民』)、ベトナム戦争、アメリカにおける黒人やインディアンの問題などの様々なルポルタージュを発表し、注目を集めた。『日本語の作文技術』(1976年出版、1982年文庫化)は、続編を含めて累計発行部数100万部を超えるロングセラーとなっている。菊池寛賞等を受賞。(尚、本多氏の政治スタンス及びそれに基づく様々なコメント等については、本書とは無関係なので、ここでは問わない) 私はアラ還世代で、ノンフィクション系の本はよく読むものの、本多氏(の著作)についてはこれまで触れたことがなかったのだが(意識して避けていたわけではない)、少し前に、角幡雄介氏の『新・冒険論』の中で、本多氏の冒険論こそ日本の冒険論の嚆矢、と書かれていたのを見て、本多氏の作品を読んでみたいと思っていた。また、私はこれまで、チェリー・ガラード『世界最悪の旅~スコット南極探検隊』、シャクルトン『エンデュアランス号漂流記』、ツヴァイク『南極探検の闘い』や、角幡氏の『アグルーカの行方~129人全員死亡、フランクリン隊が見た北極』などを読んで(極地)探検には関心があり、新古書店でたまたま本書を目にし、読んでみた。 本書は、題名の通り、20世紀初頭に南極点初到達を巡って繰り広げられた、ノルウェーのアムンセン隊とイギリスのスコット隊の大レースについて、なぜ、アムンセン隊が勝ち、スコット隊が敗れた(しかも全員が遭難死した)のかを、両隊の状況を同時並行的に記述して、考察したもので、『本多勝一集 第28巻 アムンセンとスコット』(1999年)の前編「アムンセンとスコット」の初めて文庫化である。 読み終えて、私は上記の通り、ガラードやツヴァイクの書いたものは読んでいたので、スコット隊の様子は知っていたものの、それをアムンセン隊と対比すると、ここまで明確に勝ち負けの要因がはっきりすることに少々驚いた。本多氏が本書を書いた主たる目的が、勝敗の分析にあるので、それが明確に浮き上がるのは当然のことなのだが、こうした競争には必ず勝者と敗者がいるのだということを強く再認識させられた。 勝敗の要因については、アムンセンが根っからの極地探検好きだったのに対し、スコットは海軍出身で隊長に任命された立場であったこと、アムンセンが徹底した事前調査に基づき完璧な計画を立てて遂行したのに対し、スコットはしばしば感情に流されて計画を変更したこと、また、技術的には、アムンセンが犬ぞりを主力としたのに対し、スコットは馬ぞりを使ったこと(これもいわば事前調査・分析の差だが)などがあるのだが、本書では、コンサルタントの山口周氏が解説を書いており、次のような分析をしている。一つは、「マネジメントの側面=権力格差(リーダーとメンバーの間の権力の差)の大小」で、アムンセン隊はこれが小さかったのに対し、スコット隊はこれが大きく(スコットが隊長になった経緯から当然と言えるが)、南極探検という不確実性・不透明性の高い環境においては、前者のようなリーダーシップが有効だったという。もうひとつは、「パーソナリティの側面=内発的動機の有無」で、これは上述したように、南極探検に関しては、アムンセンが「内発的動機により、夢中になる人」であったのに対し、スコットは「外発的動機により、一生懸命頑張る人」であり、「頑張る人は夢中になる人に勝てない」ということを示しているという。なるほどである。 二人の勝負は、確かにアムンセンの完勝に終わったのだが、後の記録や作品については、寧ろスコットに関するものの方が多いと思われ、歴史が敗者に優しかったことは救いといえるのかも知れない。 (2024年4月了)

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2024/03/08

我慢するのが美徳だと思っている日本人どんまい 自分らの基準で残酷だ野蛮だちゅーのは危険 異民族との接触が少ない歴史をもつ日本人の弱点 えーエスキモーが自殺なんて絶対やめてほしい そういうのめっちゃ無縁そうなのに自殺者数が日本の30倍てやばすぎ レーダー基地の人間とかもうエスキ...

我慢するのが美徳だと思っている日本人どんまい 自分らの基準で残酷だ野蛮だちゅーのは危険 異民族との接触が少ない歴史をもつ日本人の弱点 えーエスキモーが自殺なんて絶対やめてほしい そういうのめっちゃ無縁そうなのに自殺者数が日本の30倍てやばすぎ レーダー基地の人間とかもうエスキモーのためを思うなら一切関わらないでほしいわ こんなすごい文化がまもなく地球上から消える運命なんて悲しみ

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2023/08/20

アムンゼンとスコットの違いを、具体的なデータ•事実関係の積み上げから考証した労作。「隊員に対してひたすら従順であることを要求」していた可能性のあるスコットに対し、「隊員の自主性を尊重するチームワークで運営した」アムンセン、という巻末解説も説得力がある。

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2023/01/04

2023年の1冊目。昔、小学校か中学校の教科書で、アムンセンとスコットの話を読んだ気がする。本書は同時並行的に二人の南極点への冒険を追いかけるノンフィクション。 用意周到でスムーズに冒険を遂行するアムンセン隊と、やや場当たり的で、次々と想定外の困難に遭遇し、最後は全滅してしまう...

2023年の1冊目。昔、小学校か中学校の教科書で、アムンセンとスコットの話を読んだ気がする。本書は同時並行的に二人の南極点への冒険を追いかけるノンフィクション。 用意周到でスムーズに冒険を遂行するアムンセン隊と、やや場当たり的で、次々と想定外の困難に遭遇し、最後は全滅してしまうスコット隊。あまりに対照的な両者の物語は、組織のありかた、リーダーシップなどについて、多くの示唆に富んでいる。中でも、解説で山口周さんが指摘しているように、一生懸命頑張る人(スコット)は、夢中になる人(アムンセン)には勝てないという点が印象的だった。内発的動機(好奇心や衝動。「冒険が好き」)は、外発的動機(評価や賞罰。「軍で抜擢された優秀な隊長」)よりも強いということ。

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2022/08/21

人類初の南極点到達レースがドキュメント調に描かれています。アムンセン隊とスコット隊の行動が並行して描かれており、思わず続きを読みたくなってしまうような臨場感にあふれていました。 最近再版された本書ですが、大きな困難に打ち勝ちことを成功させる要因は何か、ということが見えてきます。...

人類初の南極点到達レースがドキュメント調に描かれています。アムンセン隊とスコット隊の行動が並行して描かれており、思わず続きを読みたくなってしまうような臨場感にあふれていました。 最近再版された本書ですが、大きな困難に打ち勝ちことを成功させる要因は何か、ということが見えてきます。自分が感じたところを、まずは3つ挙げていきたいと思います。 1つ目は、ことを成すにあたっては、心から夢中になれるよう、自分自身の意志からスタートすることが大切だ、ということです。 他人からから依頼されたからやる、という義務感ではなく、自分自身がやりたいからやる、心から自分が没頭できるようなことを自ら進めていく、ということが大事なのではないでしょうか。 では、ことに臨むに当たり、そのような心持ちになるにはどうしたらよいのでしょうか?  答えとしては(逆説的ですが)「夢中になれるような仕事やことを自分自身で選ぶこと」なのではないかと思っています。もちろん、組織に所属していたら、全てにおいてそういったことを選択していくのは難しいでしょうが、仮にそういった自分が夢中になれることを仕事にできる環境を得た場合、それはめったにないチャンスなのですから、そういった機会を逃さず大事にしていくというおとが重要なのではないかと思います。 また、はじめはそうでなくとも「興味を持ち色々と調べること」により夢中になれるような気がします。興味を持って色々と調べれば自然に思考量が増え、それにともない事前準備をし、それがさらに成功に近づき…といった好循環に持っていける。本書に書かれているアムンセン隊のスタッフがどういった心持ちだったかはわかりませんが、アムンセン隊の成功体験からは、そういったことが読み取れるのではないかと考えています。 2つ目は、リーダーとして振舞う場合、メンバーに参加意識を生み出すようなリーダーシップや行動が必要である、ということです。 本書でも、アムンセンは自分なりの答えを持っている問いをあえてスタッフに意見を求めたりしています。また、最終的に南極点に到達したスタッフに対し、リーダーではなく仲間とともに旗を立てよう、と提案したのはこのことを著す象徴的なシーンであるとも思います。 危機管理やプロジェクトの進め方といった本を読み込んでいくと、時々「権威勾配」「権力格差」というワードが出てきますが、こういった困難に打ち勝つような場面では、一人でぐいぐい引っ張ってくリーダーよりも、スタッフの自主性や参画意識を高めていくリーダーの方が良い結果が出せる、ということです。 (本当に時間が無く素早い意思決定が求められる場面ではまた別だとは思いますが)誰も見通しが分からないプロジェクトについては、それぞれの面で優秀なスタッフが集められているはずなので、広く意見を聞いてリーダーが責任をもって決めていく、というやり方が、自身の経験からも経験上も一番良いように思います。 3つ目としては、ファクトをしっかりととらえた合理的な意思決定が必要、ということです。 「自分たちのゴール達成を第一に置き、そのために必要なことを冷徹に、感情論を排して決めていく、という態度が必要である」ということは、頭ではわかっていても、人間ですからなかなか難しいと思います。 本書でも、それまで一緒に旅を続けてきた犬を計画的に処分して食料にするシーンや、極地を目指す人数を行程の負担を減らすために意図的に絞る、といったシーンが出てきます。感情的にはグッとくる場面ですが、改めて「合目的的に行動するとは」ということはこういうことである、と唸らされました。 本書はスコット隊の悲劇的な結末、およびアムンセンのその後の生涯が記載されて終わるわけですが、総じて「目的を達成するということ」および「リーダーのありかた」について改めて考えさせられた良書でした。

Posted byブクログ

2022/07/29

2つの隊の行動を同時進行で書いているのが、ワクワクして良い。 組織とリーダーシップを学ぶのに何度か読み直したい。

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2022/06/07

ここでどのようにしたら次に役立てられるか、次の次を想像しながら今の行動を取ることの重要性が痛いほど結果につながった例と言えるかもしれない。現在の情報化社会とは異なり、比較的複雑でない環境下でも、これだけの違いが出る。自分に必要な情報は何で、その変化や現況値が何を意味するのか、惑わ...

ここでどのようにしたら次に役立てられるか、次の次を想像しながら今の行動を取ることの重要性が痛いほど結果につながった例と言えるかもしれない。現在の情報化社会とは異なり、比較的複雑でない環境下でも、これだけの違いが出る。自分に必要な情報は何で、その変化や現況値が何を意味するのか、惑わされずに日々観察したい。

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2022/04/02

冒険研究所書店の選書の一冊。 南極点到達をかけ、国を背負って究極のレースに挑んだ二人の探検家。 アムンセンとスコット 片方は全員生還を果たし世界の英雄となり、もう片方は全員遭難死する。 アムンセンは当初北極をめざしていたが、アメリカのピアリーが北極点に到達すると知ると、急...

冒険研究所書店の選書の一冊。 南極点到達をかけ、国を背負って究極のレースに挑んだ二人の探検家。 アムンセンとスコット 片方は全員生還を果たし世界の英雄となり、もう片方は全員遭難死する。 アムンセンは当初北極をめざしていたが、アメリカのピアリーが北極点に到達すると知ると、急遽目標を南極点に変え、スコットを驚かせる。 アムンセンは子供のころから極点到達の冒険家になることを目標にしており、生活のすべてを極点到達に費やしていた。 スコットは英国の英雄として数々の実績を積んでおり、職業探検家として国を背負って南極点に挑む。 本書は両隊の行程を並行して記述しており、章立てはドキュメンタリーを見ているかのように進む。 目標を達成するためにすべてを考え、実行するアムンセンのリーダーシップと信念は素晴らしい。 しかし、私の探検家ナンバーワンはアーネスト・シャクルトンという気持ちに変わりはない。

Posted byブクログ

2022/01/29

人類史上初の偉業を果たすべく南極点を目指す2つの隊。 準備から作戦から指揮の執り方まで対象的な2組。結果は、かたや世界的な栄誉を得、かたや全員死亡。 あとがき、解説も含め、興味深く読んだ。

Posted byブクログ

2022/01/18

1. 宿命の対決 スコットの出航 オスロのアムンセン アムンセンの挑戦 スコットの驚き 2. 極地とは 北極と南極 極地の探検史 3. 二人の生いたち アムンセンの生いたち すべては極地探検のために アムンセンの最初の南極探検 北西航路 海軍出身のスコット スコットの最初の南極探...

1. 宿命の対決 スコットの出航 オスロのアムンセン アムンセンの挑戦 スコットの驚き 2. 極地とは 北極と南極 極地の探検史 3. 二人の生いたち アムンセンの生いたち すべては極地探検のために アムンセンの最初の南極探検 北西航路 海軍出身のスコット スコットの最初の南極探 4. 南極大陸へ スコット隊テラノバ号の航海 アムンセン隊フラム労の航海 暴風圏―地獄の海 ロス海の大氷壁 スコット隊の基地 アムンセン帯の基地 5. 前哨戦 テラノバ号、フラム号に会う ムンセンのテラノバ号訪問 スコット隊のデポ作戦 アムンセン隊のデポ作戦 馬か犬か 実力の差 6. 「その前夜」の越冬 スコット隊の越冬生活 アムンセン隊の越冬生活 冬至の夜 「世界最悪の旅」へ クロージャ岬 皇帝ペンギンの繁殖地 冬の終わり/アムンセン隊、出発して引き返す スコット隊も活動開始 7. 南極点への旅立ち アムンセン隊の出発 アムンセン隊、南緯80度着 スコット隊の先陣四人、動カソリで出発 アムンセン隊、南綽81度着 スコット隊の本隊10人、馬で出発 アムンセン隊、南緯82度着 スコット隊の後発二人、犬ゾリで出発 アムンセン隊、南綽85度着 スコット隊、80度32分に全員集合 犬の運命 馬の運命 8. 山岳地帯を越えて アムンセン隊、クイーン=モード山脈へ 氷河を越えて 24匹の犬を処分 「肉屋さん」デポでの休息 猛吹雪をついて 「悪魔の氷河」を登る スコット隊も氷河登りへ 犬ゾリも失って人カソリに 9. アムンセンの勝利 シャクルトンの緯度を越える 最後のデポ その前夜 南極点に立つー1911年12月14日午後3時 成功祝い 極点包囲 さらば南極点 10. スコットの敗北 第一帰遠隊四人が引き返す 水兵エバンズのけが 最後の人選 第二期艦隊三人との別れ アムンセン隊の足跡を発見 南極点での絶望ー1912年1月17日 「哀れなユニオンジャック」 11. アムンセン隊の大団円 快調の帰り逍 大氷床のオオトウゾクカモメ 基地への凱旋 白瀬隊、クジラ湾上陸 開南丸とフラム号の交歓 いざ故国へ 12. スコット隊の悲劇 第二帰還隊の苦闘 希望なき行進の始まり 燃科の欠乏 ウイルソンの人柄 死線をさまよう五人 エバンズの死 「どうか神助が...... 」 最終的解決の方法 オーツの自殺 全滅 13. 二度目の春 希望なき冬へ 捜索隊による遺体発見 スコットの絶箪 テラノバ号の帰還 スコットの手紙 14. アムンセンの遭難 アムンセン、ふたたび北氷洋へ 飛行艇による探検 日本へ来たアムンセン 飛行船による北極海初横断 アムンセンの遭難

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