銀河一族 の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
作者・小佐野彈は 、1976年のロッキード事件の逮捕者の一人である小佐野賢治の家系だそうで、その家の中での苦悩がありありと歌われている。 さらに同性愛者であることを公表しており、セクシャリティ的な翳りも散りばめられていた。 全体的に、この作者にしか歌えない歌が詠まれていて、素晴らしい作品だと思った。 かなり写実的な短歌で、文脈や景色がよくわかる小説みたいに読める連作が多かった。 その意味で、読みやすくてスッと入ってくる感じがよかった。 また、賞もたくさんとっている歌人なだけあって、当然ながら短歌の技術もかなり高いと感じた。 読んでいて心地の良いリズム感と、詩的かつ写実的な言葉の選び方が秀逸だった。 メモした歌 ↓ けんと君が好きと言へない春が来てちひさき窓に降る小糠雨 異性愛などこの世にはない、と言ふごとくに楡は楡と寄り添ふ (もし明日さびしかつたらどうしよう。こんなに全部持つてゐるのに)
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