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残月記 の商品レビュー

3.4

226件のお客様レビュー

  1. 5つ

    37

  2. 4つ

    71

  3. 3つ

    60

  4. 2つ

    35

  5. 1つ

    9

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2023/08/30
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

月にまつわる三作品。どれもSF要素あり。 三つ目の残月記が素晴らしかった。 月昂という病が蔓延した近未来の日本らしい国が舞台。 月昂にかかったものは保護という名で隔離され人権を奪われる。 月昂者に死闘を演じさせるコロシアムを再現した建物、催し物。 それら非人道的な状況を可能にする独裁国家という設定。日本が独裁国家になるまでの変遷。独裁者の立ち居振る舞い。それらの描写も緻密でそれだけでも読み応えあり。 主人公はコロシアムで月に一度闘う闘士であり、勝利の報酬として与えられる勲婦の女性と静かに愛を育みながら、やがて訪れる闘士としての役目からの開放および勲婦と一緒になれる日を心待ちにしている。 ところがその直前に独裁国家へのクーデターに巻き込まれてしまい、その夢は叶わなくなる。 クーデターに関わったため命を狙われ続け、愛する女性とは2度と会うことのできなくなった主人公は、とある行動をとりはじめる。。。 まさに帯で書かれてあるとおり、迫真のディストピア小説であり、スリリングな格闘技アクションであり、切なすぎる恋愛文学であり、力強い歴史小説でもある。 どの要素、角度からでも十分に楽しめる濃密な内容。 ルカが全国どこにいても追いかけて木彫りの人形を入れ続け、ルカがいなくなったあとはおそらくルカのことを思いながら木を掘り続け、約束通り世界をプレゼントしてルカをいだきつつ仏になる。こんなに深い愛があってもいいのかと泣いてしまった。 何もない砂漠に次々と像が生えてくるあの世界こそ主人公が作った世界で、最後は2人であの世界で幸せになったと信じたい。

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2023/08/27

ざらざらとした違和感。月の企みに困惑する「そして月がふりかえる」。現実と夢の狭間を月がファジーにする「月景石」。月に呪われ、月に誘われ、月に祝福される「残月記」。どれも極上のファンタジーでホラーでSF。 良い本に出会いました。

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2023/08/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

どの作品も、ラストが救いがあるような、ないような、希望があるような、ないような、そんな感じだった。 ハッピーエンド好きとしては、残月記の最後は、夢ではなく、実際に別の世界に行ったんだと思いたい。

Posted byブクログ

2023/08/12

表現力が圧倒的でのめり込むように読めた。 シナリオに関しては好き嫌い別れそうだった。 少なくとも私は大好きなお話で、多少最後は駆け足気味だったが自分なりに解釈をして読んでいくのはとても楽しい時間だった。 読みながら何度も唸らせられた。

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2023/08/19

月にまつわる3部作でしたが、やっぱり残月記が1番おもしろかったな ファンタジーやSFがあまり得意じゃないので、2個目の石の話の途中で読むのをやめようかなと迷ったけど、最後の残月記まで読んでよかった!

Posted byブクログ

2023/07/23

月夜のレストランで自分そっくりの人物に人生をすり替えられてしまう男(「そして月がふりかえる」)。叔母が遺した石に導かれ、大月桂樹に支配された月世界と現実を行き来する女(「月景石」)。月から強い影響を受ける感染症〈月昂〉を発症し、独裁者の楽しみのため剣闘士として命を削る男(「残月記...

月夜のレストランで自分そっくりの人物に人生をすり替えられてしまう男(「そして月がふりかえる」)。叔母が遺した石に導かれ、大月桂樹に支配された月世界と現実を行き来する女(「月景石」)。月から強い影響を受ける感染症〈月昂〉を発症し、独裁者の楽しみのため剣闘士として命を削る男(「残月記」)。月にあるもう一つの世界をめぐる三つの物語からなる中篇集。 前作『本にだって雄と雌があります』は息もつかせぬマシンガントークとセルフツッコミが魅力的な一人称小説で、終始笑わされ、終盤はべしょべしょに泣かされる大傑作だった。今作はそこから作風をがらりと変え、最後までユーモアは鳴りを潜めている。 男性主人公の「そして月が~」と「残月記」は三人称で書かれ、女性主人公の「月景石」は一人称で書かれている。三人称といっても主人公にベッタリくっついた語り手で、「そして月が~」ではふいに「二歳でこれなのだから、男が女の嘘に敵うはずがない」とか「見知らぬ男から二人の子供を必死に守る雌の獣の目つき」とか言うのがめちゃくちゃ気持ち悪い(笑)。高志は父のようにはなるまいと思い、日本の右傾化を批判して名を上げたけれど、結局は父と変わらない保守的な家族観・女性観の持ち主で、それが世界の反転後にじわじわと表出してくるのだろう。 「月景石」は胸に石を埋めこまれた能力者集団イシダキと大月桂樹の設定に、N.K.ジェミシンの〈破壊された地球〉シリーズを連想せずにいられなかった。夢と現実を行き来するファンタジーは昔から大好きなので、ここだけで長篇一本読みたいくらい。澄香だけが月世界と地球が融合したような次元に到達しているのも、一人称で書かれている意味合いの一つな気がする。 表題作「残月記」は北朝鮮のような独裁国家になった近未来日本を舞台に、不治の病のために差別され、古代ローマのグラディエーターのごとく見世物にされる月昂者たちをノンフィクション風に描いていく。設定自体はブラックユーモアにあふれていて、下條を語る口調がコミカルに傾きかける場面もあるのだけど、基本的にやっぱりまじめ。「お打たれさま」のエピソードはフフッと笑えてちょっと切ない。このディテールの詰め方はさすがだなぁ。 「残月記」における月世界はマイノリティをマジョリティから隔てる原因であり、コンプレックスにもアイデンティティにもなりうるものの象徴として描かれている。剣闘士だろうと革命の実行者になろうと権力構造に絡め取られていく運命だった冬芽の心を救う創作の世界を表してもいる。砂漠の民と月鯨の描写は王道ファンタジーのようでワクワクする。だからこそ、前二篇とは違って月世界が実在しない夢のまま終わるという幕引きの静けさが心に残る。 全体にエンジンがかかってくるのが遅めな印象でノリ切れない部分もあったけれど、長篇化できそうなアイデアを惜しげもなく投入した、大人のための贅沢な幻想小説集だった。

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2023/07/19
  • ネタバレ

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一作目二作目はただ怖かった。 三作目は読み応え抜群だが、感情をどう持っていったらいいのか迷うというかわからないというか…難しい劇画を見せられた感じだった。

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2023/07/12
  • ネタバレ

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月をテーマにした3作が収録されている。 ダークファンタジー×愛×ディストピア だそうで、 ちょっとSF風味でちょっと怖い暗い話ばかりだ。 設定が科学的に練られている訳ではないので 何故か異世界へ行ってしまう。 「月景石」の月の石を枕の下に入れて寝ていたからが一番理由がしっかりしている。 個人的にはファンタジーのようには思えなかったし SFではなかったし、ミステリーとも違う不思議な話。 読んでいて不安になるストーリーだった。

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2023/07/09

月に関わる3つの物語。 この中でも残月記が一番良かったです。 お互い長く生きられない、追われている身だからこそ相手に執着する感じが素敵でした。 冬芽が潜伏していた洞窟も、としまえん跡地に出来たハリポタ体験型施設のようになったら、行ってみたいと思わせる描写でした。 適当な廃材で作...

月に関わる3つの物語。 この中でも残月記が一番良かったです。 お互い長く生きられない、追われている身だからこそ相手に執着する感じが素敵でした。 冬芽が潜伏していた洞窟も、としまえん跡地に出来たハリポタ体験型施設のようになったら、行ってみたいと思わせる描写でした。 適当な廃材で作った棚のうえに、2万8000もの木像が飾られている。一つの孤独な魂が、来る夜も来る夜も小刀と木材を手に暗がりで静かに燃え続けるさまは、狂気と紙一重とのことでした。

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2023/06/22

本屋大賞受賞作ということで期待して手に取りました。 1作目2作目を読み、短編集ということを知らず、どのように話が繋がるのか期待していましたが、そこで終わるの?というような少し、消化不良な終わりかたでした。 最後の残月記は面白く、読みごたえのある話でした。 全体的に自分には読みにく...

本屋大賞受賞作ということで期待して手に取りました。 1作目2作目を読み、短編集ということを知らず、どのように話が繋がるのか期待していましたが、そこで終わるの?というような少し、消化不良な終わりかたでした。 最後の残月記は面白く、読みごたえのある話でした。 全体的に自分には読みにくい描写が多いと感じました。

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