残月記 の商品レビュー
感想 生まれた時から目にする月。文化的にも実用的にも親しみがある。しかしなぜ存在しているのかという問いを許さない。そんな月の冷ややかさを感じる。
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❇︎ そして月がふりかえる 月景石 残月記 それぞれが別の話。 共通点と言えるのは月がキーワード。 『そして月がふりかえる』 タイトルから想像した内容と全く違っていて、 不可解だけどホラー的だとも思いました。 でも、どこか救いがなく物悲しい話。 『月景石』 見えない引力に...
❇︎ そして月がふりかえる 月景石 残月記 それぞれが別の話。 共通点と言えるのは月がキーワード。 『そして月がふりかえる』 タイトルから想像した内容と全く違っていて、 不可解だけどホラー的だとも思いました。 でも、どこか救いがなく物悲しい話。 『月景石』 見えない引力に抗えず、夢と現を行き来する 地球と月世界の狭間で翻弄される物語。 ファンタジー、ホラー、イヤミスなど、 分類は曖昧ででもどれにも当たるようで、 反対にどれにも当てはまらないような 頭を粟立てられて混乱させられる話。 『残月記』 不幸にも月昂という不治の病に感染して 社会から阻害されてしまった主人公は、 ただ生き残るために闘いに明け暮れる。 同じように暗い絶望の縁を歩く女性と出会い、 僅かずつ心を通い合わせてゆく。 相手をよすがとして想い抜いた切ない話。
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陰と陽 三作品、何か繋がりがあるのかと思いながら読んだが、繋がりがあるといえば月だけに感じた この作品は自分には向いていないのか、読み終わるのに苦労した 情景描写はなかなかと思ったけど
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※このレビューにはネタバレを含みます
「残月記」は、あまりにストレートな小説だった。病の設定は個性的であるが、ラブストーリーであり、スポーツ小説であり、現代政治の風刺であったり、色々な衣装を身に纏ってはいる。けれど、本質は、まっとうな小説。 怖さは、最初の一篇。「なぜ」とう説明が無いから、とても怖かった。
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月をモチーフにした作品が三篇収録されている。どれも一気に異世界に連れていかれる作品。異世界といっても日常をリアルに感じさせるのだが、実は現実ではありえない設定の世界が描かれている。「そして月がふりかえる」はまさに並行世界に迷い込んだ男の話。「月景石」は月を舞台にイシダキが月の御神...
月をモチーフにした作品が三篇収録されている。どれも一気に異世界に連れていかれる作品。異世界といっても日常をリアルに感じさせるのだが、実は現実ではありえない設定の世界が描かれている。「そして月がふりかえる」はまさに並行世界に迷い込んだ男の話。「月景石」は月を舞台にイシダキが月の御神木のようなものを救う話。表題作の「残月記」は月昂という病気に罹患した男女の物語。狼男と狼女が切ない恋をする話。どれも面白かった。ゆっくりと小説の世界に浸りながら読むと日常のような非日常を感じられる。
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SL 2022.7.27-2022.7.30 月をモチーフにした中編3編。 どの作品も、その設定、発想はすごい。 タイトル作の残月記は特に。近未来でありながらそこここに今現在と交わる話が出てくる。普遍的とも言えるか。 ただ、まるでドキュメンタリーのような抑えた筆致のせいか、感情を...
SL 2022.7.27-2022.7.30 月をモチーフにした中編3編。 どの作品も、その設定、発想はすごい。 タイトル作の残月記は特に。近未来でありながらそこここに今現在と交わる話が出てくる。普遍的とも言えるか。 ただ、まるでドキュメンタリーのような抑えた筆致のせいか、感情を揺さぶられるということはなかった。
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2022本屋大賞ノミネート作品で唯一読んでなかったので…。今さらながら、人の好みはいろいろということか。今回の直木賞作品もまったくノーマークだったし。読む本増えてうれしいな!としとこう。
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月にまつわる3つの短編集で全体的に不思議で不穏な雰囲気のある作品でした。 個人的には第一章の「そして月がふりかえる」が読みやすく、ありえない事でもなんとなくありえちゃいそうな雰囲気が何とも言えず月の無気味さを感じました。 二、三章は特にファンタジー要素が強く私の想像力の乏しさ故に...
月にまつわる3つの短編集で全体的に不思議で不穏な雰囲気のある作品でした。 個人的には第一章の「そして月がふりかえる」が読みやすく、ありえない事でもなんとなくありえちゃいそうな雰囲気が何とも言えず月の無気味さを感じました。 二、三章は特にファンタジー要素が強く私の想像力の乏しさ故に中々読み進められず、話の内容を色濃くするためでもある説明が多くあり、スラスラと話が進まないことにもどかしさがありました。 表題である残月記は短編なのにも関わらず1本の映画を見たようなとても重量感のある作品でした。
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残酷な話は苦手、ファンタジーは苦手。そんな自分がなぜこの本を手に取ったのか。それは完全に大森望さんと豊崎由美さんの帯がきっかけだ。 本屋大賞にノミネートされたことや複数の書評を目にしていて興味はあったのだけど 【ダークファンタジー×愛×ディストピア】と言う惹句には、うーん…私の苦...
残酷な話は苦手、ファンタジーは苦手。そんな自分がなぜこの本を手に取ったのか。それは完全に大森望さんと豊崎由美さんの帯がきっかけだ。 本屋大賞にノミネートされたことや複数の書評を目にしていて興味はあったのだけど 【ダークファンタジー×愛×ディストピア】と言う惹句には、うーん…私の苦手分野の掛け合わせだな、と思ったのだが、そんなに推すなら読んでみるか、、、と。 本書には、月をテーマにした3作品、「そして月がふりかえる」「月景石」「残月記」 が収められている。 「そして月がふりかえる」は大学教授の大槻高志が家族とレストランを訪れ、月が裏返る瞬間を見てしまう。すると、恐ろしい事態が起こる。怖すぎて、背中が寒くなってしまった。最後の方で、メールを受け取るシーンがあるのだけど、私自身は、このシーンも絶望と言うか、起きてしまったことを受け容れざるを得ないと念押しされたようで怖かったのだが、 読後に、著者本人のインタビューを読んだら、インタビュアーが「救いのあるラストシーンが美しいですね」と聞いていて、「もともとはバッドエンドだったんですけど、担当さんに希望のある終わり方にしてほしいと言われて、ああいう形に書き直しました」と答えていて、あ、希望を残した終わりなのか、と少し救われた気持ちになった。 「月景石」は、ファンタジー苦手、を発揮して、正直どう捉えて良いのか分からないな、と言う感じ。あくまで夢の世界のことなのか、現実とリンクしているのか。 「残月記」 は、 恋愛小説的な読み方もできて、それが救いでもあったのだけど、ただ内容は重くて、なかなか読むスピードが上がらなかった。これはファンタジーだ、と分かっていても、実はその中には、過去・現代の、現実世界の様々な問題がモチーフになっている。著者本人も触れているが、「月昴」と言う感染症と隔離はハンセン病を参考にしているし、冬芽は剣闘士だ。独裁国家、全体主義、剣闘士にあてがわれる女性。読書に没頭しながらも、そのことが、ふと頭をよぎって暗い気持ちになってしまい辛かった。 著者インタビュー https://book.asahi.com/article/14499358
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
今まで月に対して抱いていたイメージ(夜道を明るく優しく照らしてくれるもの)が覆ってしまった。冷たく薄ぼんやりと世界を照らす月。その裏には何を抱えているのか分からない不気味さ。 1作目の「そして月がふりかえる」は、一番現実的な設定から始まるので、余計に怖さを感じた。一瞬で、自分の立場が変わってしまう世界になる恐怖。家族が家族でなくなる怖さ。3作の中で一番怖いかもしれない。 表題作は、残酷な世界だけど、現代とは完全な別世界の話だから、それほど怖さは感じない。冬芽と瑠香の愛の物語として読んだ。誰にも知られず彫刻を作り続ける冬芽の生きる力と、世界を愛する心が、胸に沁みる。
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