残月記 の商品レビュー
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残月記 夜に浮かぶ月のように 冬芽と瑠香は絶望的な状況の下でお互いを照らし合っていたから長生きできたのでは。 この物語の登場人物だけでなく、 現実世界の不遇なまま一生を終えてしまう (今生では報われなかった)すべての人々が せめて異世界(来世)では幸せになっていてほしい、と願いたくなる結末だった 途中読みづらく感じたが 緻密に広げられたパーツが終盤に繋がるので諦めずに読みつづけて良かった
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月を主題とした短編が2本と長編で構成されているが、「そして月がふりかえる」では大槻高志が他人と入れ替わる奇妙なストーリーで読破後少しゾッとする感覚だった.「月景石」をこの石を中心に話が進むが、満月の明るさに全てが消滅してしまう感じを覚えた.長編の「残月記」は月昂者の実態を宇野冬芽...
月を主題とした短編が2本と長編で構成されているが、「そして月がふりかえる」では大槻高志が他人と入れ替わる奇妙なストーリーで読破後少しゾッとする感覚だった.「月景石」をこの石を中心に話が進むが、満月の明るさに全てが消滅してしまう感じを覚えた.長編の「残月記」は月昂者の実態を宇野冬芽の行動をベースに記載しているが、何故かあまりのめり込めなかった.彼らを保護施設に隔離する政策を進める下條拓の存在が不気味だった.将来の話として展開するストーリーだが、このような体制が出現することを著者は想定したのかなと感じた.月面での活動も記されていたが、ピンとこないものがあった.下條の暗殺が実行されて話はある程度集結するが、冬芽の木彫りの像が物語の後半のトピックだと感じた.
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高い文章力を持って 丁寧に書き込まれた文章 これは虜になるのも頷ける。 読後に残る 世にも奇妙な〜感は 好き嫌いがあるかな?
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「そして月がふりかえる」 家族でレストランに行って、トイレに立った。 トイレで男とすれ違ったが、席に戻ると妻が自分のことを「知らない男だ」という。 そしてトイレですれ違った男を自分の夫と認識しているようだ。 そこそこ面白く読めたので★★★ 「月景石」 叔母が大切にしていた石は...
「そして月がふりかえる」 家族でレストランに行って、トイレに立った。 トイレで男とすれ違ったが、席に戻ると妻が自分のことを「知らない男だ」という。 そしてトイレですれ違った男を自分の夫と認識しているようだ。 そこそこ面白く読めたので★★★ 「月景石」 叔母が大切にしていた石は、枕の下に入れて寝ると月にいけるらしい。 ただし、ものすごく悪い夢を見るという。 長じて男と住むようになった私は、ある夜石を枕の下に入れて寝た。 ここまでは普通に読んだ。 けれどその後の話しの展開には付いていけなかった★ 「残月記」 これを読まなかったのは次に読みたい本があったし、↑の作品が大したことがなかったから。
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月が美しい季節がやってくる。 月は自ら光っているわけではないのに、なぜあんなにも美しいのだろう。 だからこそ人は崇め、恐れ、様々な思いを月に見た。 本書に収められた3作はいずれも月に対する恐れと、そして彼の地にあるかもしれない別の世界とこの地が繋がる瞬間を描く。 「そして月が...
月が美しい季節がやってくる。 月は自ら光っているわけではないのに、なぜあんなにも美しいのだろう。 だからこそ人は崇め、恐れ、様々な思いを月に見た。 本書に収められた3作はいずれも月に対する恐れと、そして彼の地にあるかもしれない別の世界とこの地が繋がる瞬間を描く。 「そして月がふりかえる」が本書の中で一番印象に残った。 月がその裏を見せたことで世界が一変した、という物語なのだが…世界が変わっても、主人公だけが変わらない。 彼が大切にしていた家族が別の男のものになったのだ。 そして主人公自身は全く別の人生を生きている、ことになっていた。 妻も子も、彼が記憶している通りの人生を生きている。 けれども愛する者たちの中から、主人公である「私」だけが消えている。 これがどんなに絶望的か。 愛するものは「私」を覚えていない。 どこにも、いない。 それでも彼は別の人生を生きるほかない。 愛するものたちとは二度と交わらぬまま。 愛するものが増えた今、幸せも増えたが、宝物が消えてしまうかもしれない恐怖も増えた。 どうか月よ振り返らないで。 エゴイズムでも欲望でもなんとでも名付ければいい、私から、大切なものを誰も奪わないで。
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短編集だが、実質連作短編集と見てもおかしくないのではないか。 「月」をテーマにした三編を所収しており、どれも一筋縄ではいかない異世界を描いている。ただし、この異世界には転生者もチート能力は登場しない。日常の真横にポッカリと空いたかのような怖さと、世界の底が抜けてしまったような不気...
短編集だが、実質連作短編集と見てもおかしくないのではないか。 「月」をテーマにした三編を所収しており、どれも一筋縄ではいかない異世界を描いている。ただし、この異世界には転生者もチート能力は登場しない。日常の真横にポッカリと空いたかのような怖さと、世界の底が抜けてしまったような不気味さがある。
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月を題材にした小説3編(短編×2中編×1)を収録。前半を占める短編2編は、よく見かける幻想悪夢系小説で文章は良いものの、読後感の悪さもあって好みじゃないなぁ…と思っていたのだが。 後半分を占める表題作の出来が秀逸。大きな天災が続き一党独裁政権が経済思想を統制している日本。世界を震撼させた「月昴」という伝染病に罹患者患者は劣悪な施設に隔離され死を待つのみとなる…というディストピア小説。 暗黒未来の暗澹たる未来に絶望するのが読み処と思いきや…なんと純愛小説というどんでん返し。これは凄い展開やわ。この作品だけなら☆×5間違いなし、この世界をもうちょっと広げて1冊にすればよかったのに…という思いもあるが、下手に引き延ばすと味わいが損なわれるのかも、文章の濃密さもあってこの分量がベストなのかも知れない。
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壮大な物語。話が色々なところに飛ぶのでなんの話なのか、前のストーリーとのつながりがよくわからなくなる状態。未来の設定だが叙述にリアルさがありノンフィクションなのかと何度か勘違いした。ハッピーエンドだが、最後までよくわからなかった。
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月をモチーフにした3篇の物語。 世界観に入り込むのに少々時間を費やした。 「そして月がふりかえる」はゾクッとさせられ、「月景石」は悪夢。 共に世にも奇妙な物語を思わせる作品。 表題作の「残月記」が一番印象的。 感染症、独裁者… 重い…
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3.5点 月を見るたびに思い出してしまうような、重厚な物語集 残月記は、壮大で感動的で、最後は冬芽の幸せを祈ってはやまない作品でした。 時代設定は20年くらい先の未来のお話。 コロナ渦を思わせるような、感染しただけでその人を排除しようとする思想が蔓延し、自殺者や引っ越しを余儀なく...
3.5点 月を見るたびに思い出してしまうような、重厚な物語集 残月記は、壮大で感動的で、最後は冬芽の幸せを祈ってはやまない作品でした。 時代設定は20年くらい先の未来のお話。 コロナ渦を思わせるような、感染しただけでその人を排除しようとする思想が蔓延し、自殺者や引っ越しを余儀なくされた人々が大勢いたあの2020年を連想させる感染症がある世界。その中で感染者が懸命に生きる人々のお話。 SFと呼ぶにはあまりにもリアルな日本を描いているようで、変な緊張感をずっと感じるストーリーでした。 月がふりかえる 最後、タモリさんが黒いスーツで解説してきそうな不思議なお話で、大変好みでした笑
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