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トヨトミの逆襲 の商品レビュー

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22件のお客様レビュー

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2021/11/28

「野望」の時ほどの衝撃はなかったが、超巨大企業での同社でも社内政治がハビコッてっている事に驚いた。 製造業を支えているのは、ケイレツの下請け工場も含めた全てのステークホルダーなんだけどね。

Posted byブクログ

2024/08/31

衝撃的な本に出会いました、小説の形をとっていますが、現在の自動車業界が置かれている状況を詳細に調査して、それをベースに書かれた小説です。私の勤務している会社も、最終的には自動車の一部品として使われている製品を作っていますので、将来の自動車業界の動向(特に電動化)がいつ頃、どの程度...

衝撃的な本に出会いました、小説の形をとっていますが、現在の自動車業界が置かれている状況を詳細に調査して、それをベースに書かれた小説です。私の勤務している会社も、最終的には自動車の一部品として使われている製品を作っていますので、将来の自動車業界の動向(特に電動化)がいつ頃、どの程度進むのかは大いに興味があります。 この本で書かれているように今年もトヨタの収益はダントツで一位のようです、以前は日本市場のシェアを40%死守すると言っていたと記憶していますが、今では過半数を超えるのではないでしょうか。そんなトヨタであっても電動化に対する対応を間違えると将来は今の地位を維持することはできないと予測されています。 電動化に対するアナリストなどのレポートは読んできましたが、このような形で近い将来(おそらく10年以内)の予測を頭に描きながら、それを小説として楽しむことができて、この本を読んでいる間はワクワクしていました。多くの取材を通してこの本が完成したと思いますが、それを楽しめるのは幸せだなと思いました。 以下は気になったポイントです。 ・水素ステーションや軽油やガソリンよりも安全管理が難しく、しかも首都圏に40箇所と数が少なくインフラとしてあまりにも脆弱、という三重苦がある。基本特許を無償で開放する大盤振る舞いも虚しく、新たに参入するメーカーは皆無であった。2019年末に5万台を目指す計画も今となっては口にする者もいない。FCVでつまづいている間に、次世代車の世界的趨勢は完全に電動車に決まってしまった(p21) ・CASE(コネクテッド、自動運転、ライドシェア、電気自動車)の技術のどれもが、排ガスを撒き散らして走る車を大量に作って売る、しか能のない既存の自動車メーカを死に追いやるものである(p40) ・ハイブリッド車で培った技術は一日の長があるが、バッテリーは別である。EV用バッテリー開発には技術だけでは乗り越えられない「素材」という壁が立ちはだかっている(p42) ・EVシフトで一番アワを食っているのは自動車産業に関わるサプライヤー企業である、自動車が電動化すると、自動車はエンジンとトランスミッション、ガソリンから、モーターとインバーター、バッテリーの乗り物になる。外見こそ変わらないが、中身は別物である。(p64) ・言葉遣いで変わったのが「うれしい」という言葉、要は「どこが自動車会社にとって嬉しいポイントなのか、どんな利益があるのか」ということである。傲慢さと驕りが言葉の裏から透けて見える言い回しである(p73) ・ものづくりにこだわる戦略を発表する車メーカーと、EVという車の性質の変化にはまる関心を示さず、移動そのものの概念を変え、持続可能な社会への提案を打ち出した会社、どちらの構想が人を惹きつけるかは明らかである(p121) ・決算の最終利益は過去最高であったとしても、これはひとえにアメリカの法人減税と円安で海外販売が好調な上、国内のライバル企業が勝手に転けているおかげである。(p135) ・新型電池とは、電解質に液体ではなく固体を使う「全固体電池」と呼ばれるもの、これにより既存の電池が抱えていた「液漏れリスク」や「設計の自由度」「充電時間」の問題は解決することになるが、固体電解質の素材も、量産技術も未だ確立していない(p197) ・高出力のバッテリーを積んだからいい車になるというわけではない、出力系統の制御、バッテリー劣化防止、構造の単純さゆえのドライバビリティの差別化など、課題の数は無限にある(p199) ・デジュールスタンダードとは、工業製品などにおいて、国や省庁など公的機関が性能や製造方法、生産のための技術などを定めた規格のことである。市場競争の結果として事実上の標準となった規格を指す「ディファクトスタンダード」の対局となる概念である。つまり市場競争が先にあるのがディファクトスタンダード、公的機関のお墨付きが先に来るのが、デジュールスタンダードである(p243)公が基準を作る前に取り入って、自社に有利な規格を作らせ、他社や他国の競争優位を崩してしまえばいい、それがデジュールスタンダードの裏のルールである(p244) ・PCU(パワーコントロールユニット)と呼ばれるモータの回転やトルクを制御する電子部品の向上をトヨトミ本体からトヨトミ車の電装品を作るグループ会社の尾張電子に移管し、開発から生産までを尾張電子が一手に引き受ける体制を整えた点である、PCUは電動化の核となる部品であり、多くの開発資金を必要とするセクターである(p266) 2021年11月23日作成

Posted byブクログ