あちらにいる鬼 の商品レビュー
瀬戸内寂聴と井上光晴とその妻の 愛のあり様を描いた作品だ。 その関係は普通の妻、恋人なら 平常心ではとても居られない物だ。 緻密に描かれた妻の笙子と愛人のみはる の心情が時に白木と言う男を通して 振り子の様にすれ違い、時と共に 二人の女の心情がやはり白木を通して 重なり合って行く...
瀬戸内寂聴と井上光晴とその妻の 愛のあり様を描いた作品だ。 その関係は普通の妻、恋人なら 平常心ではとても居られない物だ。 緻密に描かれた妻の笙子と愛人のみはる の心情が時に白木と言う男を通して 振り子の様にすれ違い、時と共に 二人の女の心情がやはり白木を通して 重なり合って行く歳月は同じ男を愛した女 二人にしか分からない三角関係と言うより 三人の蜜月だったのかも知れない。
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瀬戸内寂聴さんの過去についてテレビでみて、驚き、本書を読んだ。 生き様を垣間見れて良かった。(どこまで事実かはわからないが) やっていることに賛否両論あると思うが、人を惹きつける力のある方には変わりがない。性格やセンスの良さ。女として魅力的なのだと思う。
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篤郎の本妻である笙子と、浮気相手のみはるの、2人の女性の視点で描かれた作品。 前情報もなく読み始めたので、みはるが出家する、という所で瀬戸内寂聴さんみたいだなーと思ったら、彼女をモデルにしていたので、驚いた。 というのも本書は、井上光晴とその妻、そして瀬戸内寂聴をモデルにした作...
篤郎の本妻である笙子と、浮気相手のみはるの、2人の女性の視点で描かれた作品。 前情報もなく読み始めたので、みはるが出家する、という所で瀬戸内寂聴さんみたいだなーと思ったら、彼女をモデルにしていたので、驚いた。 というのも本書は、井上光晴とその妻、そして瀬戸内寂聴をモデルにした作品で、書いたのが光晴の娘なのだそうな。しかも瀬戸内寂聴に取材をし、作品の参考にまでしているので、全部フィクションではないのではないかと邪推してしまう。 映画化されているが、笙子役を最近話題の広末涼子が演じているのも皮肉な話。(撮影当時から浮気していたのかは知らないけど) 笙子もみはるも落ち着いた女性のようで、その語り口はゆっくりなため、途中で読むのを挫折しそうだったが、なんとなく続きが気になる、そんな話だった。
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不倫の話であることは、映画化で話題になったことから知っていた。 「みはる」視点から始まる文章を恐る恐る読み進めていけば、恋愛小説である。 一章に必ず、篤郎の愛人である「みはる」視点と、妻である「笙子(しょうこ)」視点が描かれる。 篤郎を真ん中にはさんで向かい合う、二人の女。 視点...
不倫の話であることは、映画化で話題になったことから知っていた。 「みはる」視点から始まる文章を恐る恐る読み進めていけば、恋愛小説である。 一章に必ず、篤郎の愛人である「みはる」視点と、妻である「笙子(しょうこ)」視点が描かれる。 篤郎を真ん中にはさんで向かい合う、二人の女。 視点が変わるごとに「あちら」は入れ替わる。 篤郎視点は無く、二人の女性によって描かれるのみである。 その篤郎は、どうしようもない下半身を持つ。 ピンときた女は全力で口説く。 その結果、ヤツの子供を二度堕ろして手首を切った女に会う勇気がなく、妻に命じて金を渡しに行かせたりする。 どこに行っても、息をするように女をモノにする。 チビで、声だけが大きい。決して美男子ではないのだけどなあ。 昭和の文士というものは、こういうものだろうか。 不良でなんぼ、みたいな。 読み進むうち、これは「家族小説」なのだと思う。 不倫を描いて生々しさがない。 女とみれば寝てしまう篤郎は光源氏かもしれない。 その女たちは、本命とその他に分けられる。 篤郎にとっては、本当の本命は誰であったのか。 ・・・ 光源氏と違って幸福でしょう。 本命の女たちに弔ってもらえたのだから。
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昔この人をTVでみかけて 上品な尼さんといって母に咎められた 最近映画化され、その原作ということで読んでみた とても面白い小説で。 同時にとても気分が悪くなった
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父親が家庭に不倫相手をつれてくるような環境では、娘の気持ちはいかばかりかと読んでみたらあっさりで少々肩透かしを食らった。 妻が夫をそんなもんだとして、表立って非難していないからだろう。なんとも静かな地獄、そして鬼たちだった。
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妻と愛人の2人の視点で書かれた作品。 悲劇とは遠い、凪た暗い海みたい。 折り合いと訣別と覚悟。 そんなものがぐるぐるしてて、私はまだまだ幼いんだなとつくづく思う。 そして愛にまだ出会ったことがなくて、いつになったら出会えるんだろうとも思う。 どうしようもなくひとりで常に誰かを必...
妻と愛人の2人の視点で書かれた作品。 悲劇とは遠い、凪た暗い海みたい。 折り合いと訣別と覚悟。 そんなものがぐるぐるしてて、私はまだまだ幼いんだなとつくづく思う。 そして愛にまだ出会ったことがなくて、いつになったら出会えるんだろうとも思う。 どうしようもなくひとりで常に誰かを必要としている篤郎の必死な姿が皆を惹きつけて離さない。 "本物の嘘"の意味がなんとなくわかる気がした。
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限りなく4に近い星3つ 内容もその人間関係も口にすると重いが、文字で追うと湿気のないサラサラとした感触です。
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おもしろかった。瀬戸内寂聴さんのイメージがすでにあるからかもしれないが、主要な登場人物3人がそれぞれ互角に強い輝きを放っている感じが滲み出ていて、ずっと内容が濃かった。作者にそれぞれへの思い入れ、愛情が強いからだろうか。 3人とも非凡で魅力的だが、2人の強くて魅力的な女性と1...
おもしろかった。瀬戸内寂聴さんのイメージがすでにあるからかもしれないが、主要な登場人物3人がそれぞれ互角に強い輝きを放っている感じが滲み出ていて、ずっと内容が濃かった。作者にそれぞれへの思い入れ、愛情が強いからだろうか。 3人とも非凡で魅力的だが、2人の強くて魅力的な女性と1人の弱くて魅力的な男性とも思える。女性2人が強いのは、それぞれの葛藤や苦しみを内に抱えて生き方を作り、最後まで関係を持続するから。男性が弱いと思うのは、抱えることができず全て放出する生き方をしているように見えるから。女性達は自ら選んだわけではないが、3人は魂のレベルで繋がってしまった感じがする。 人生をかけた、大切な人との関係性について考えさせられる。
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なんだろう、ドロドロした話だと思うんだけど読んでる時も読後もなんなら清々しさすら感じる。読みやすい。文章のせいかな。主要人物みんな嫌いになれない。いや、一緒に暮らすのは無理だけれども笑
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