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生きている不思議を見つめて の商品レビュー

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2022/01/28

「人間など存在しなくても誰も困らないが(むしろいない方がよいかもしれない)、微生物なしでは死骸の始末もできず、生態系は成立しない。」もうこの一文に出会ったときは、「我が意を得たり」という思いだった。私たちは、地球上に生まれた生物の一種であって、他の生物を上から俯瞰するような特別な...

「人間など存在しなくても誰も困らないが(むしろいない方がよいかもしれない)、微生物なしでは死骸の始末もできず、生態系は成立しない。」もうこの一文に出会ったときは、「我が意を得たり」という思いだった。私たちは、地球上に生まれた生物の一種であって、他の生物を上から俯瞰するような特別な存在ではない。そして、黒人だろうが白人だろうが、肌の色が違っていても、私たちは1つの種である。生殖可能である。興味深い生物学の最先端の話が満載だけれども、とにかく、私たちが生物の一種である、というのが大前提にある。一切、「上から目線」はない。「地球にやさしい」なんて本当におこがましい。さて、生命誌研究館へは開館された当初何回かと、子どもが小学生のころに訪れている。そのころは、まだ岡田節人先生がご健在だったと思う。「ああ、こんなところで働けたらいいなあ」と思ったものだ。研究者ではなく、いまで言う、サイエンスコミュニケーターのような仕事がしたかった。うしろにJTがどんと構えているのが若干気になったものだが。「機械論的世界観」から「生命論的世界観」へ。「ロゴス」から「ピュシス」へというのともつながるだろう。私もずっとそう思って教育の現場で話してきたし、これからも自信をもって伝えていこうと思う。しかし、85歳になられる中村先生、まだまだこれから「少しずつ具体を積み重ねていくつもり」とおっしゃっている。ぜひぜひお元気で、発信していかれることを期待しています。広告では目に入って来ませんでしたが、リアル書店でたまたま見つけました。読めて良かった。

Posted byブクログ