女人禁制の人類学 の商品レビュー
古代の山岳信仰をベースとして日本古代の触穢思想と外来した仏教(とくに血盆経)が合わさってできたと考えられる女人結界・禁制の歴史・各地の実情を確認し、現代の解禁問題について考える。明治になって各地の結界が解かれた決め手が比叡山の例における外国人女性観光客の為ということが象徴するよう...
古代の山岳信仰をベースとして日本古代の触穢思想と外来した仏教(とくに血盆経)が合わさってできたと考えられる女人結界・禁制の歴史・各地の実情を確認し、現代の解禁問題について考える。明治になって各地の結界が解かれた決め手が比叡山の例における外国人女性観光客の為ということが象徴するように、近代の言説及び文化を資源化する経済的要請とそれに対抗するための信仰と習俗から練られた伝統が対決する様を概観できた。代表例として解禁直前まで行っていた大峰山が女性活動家らの性急な実力行使により破談となった件を見るに、これら近代以来の平等・人権という理論と同じぐらい地元の当事者の想いを考慮していくことが肝要であるとわかった。(大相撲の土俵女人禁制は完全に近代の「つくられた伝統」で、政治家の顕示欲と表彰式の形式が要らざる問題を招いている)
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