銀河帝国の興亡 新訳版(1) の商品レビュー
ローマ帝国を下敷きにしつつ、壮大な世界観をぶち上げたのが本当にすごいと思う。 これだけ昔の時代に書かれながら大量の人間のデータから未来を予測できるという視座がすごい。現在のビッグデータを活用した行動経済学などを先んじたアシモフの慧眼に驚く。 読んでいて爽快なのが最初の価値観が時代...
ローマ帝国を下敷きにしつつ、壮大な世界観をぶち上げたのが本当にすごいと思う。 これだけ昔の時代に書かれながら大量の人間のデータから未来を予測できるという視座がすごい。現在のビッグデータを活用した行動経済学などを先んじたアシモフの慧眼に驚く。 読んでいて爽快なのが最初の価値観が時代を経るごとにひっくり返される所だ。 科学を宗教というパッケージにして、科学を忘れてしまった人達を支配する。という最高な設定をさっさと使い捨てにしてしまう所に唸ってしまう。
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SF作品の名作であるアイザック・アシモフの本作品、ようやく初めて読む機会を得ました。2021年に出版された新訳で、3分冊のうちの1冊目となります。あらすじは知っていたものの、確かに興味深い。一番面白いのは、本作品の時間の進み方です。章の間の時間経過が数十年後、数百年後ということも...
SF作品の名作であるアイザック・アシモフの本作品、ようやく初めて読む機会を得ました。2021年に出版された新訳で、3分冊のうちの1冊目となります。あらすじは知っていたものの、確かに興味深い。一番面白いのは、本作品の時間の進み方です。章の間の時間経過が数十年後、数百年後ということもあって、前の章で出てきた主人公は次の章では「伝説の人」になっているわけです。しかし本作品の主人公は冒頭に登場する心理歴史学者ハリ・セルダンでしょう。彼は超長期の未来を見通し、1つの事柄についてだけ「介入」します。それは現在の銀河帝国が滅亡した後の第二帝国成立までの「暗黒時代」を極力短くする、ということで、その介入として銀河帝国の端に2つの「ファウンデーション」を設立します。しかしそれ以外については、介入せず、しかも後世の人々に余計な知識をつけさせない(余計な知識を知ると未来の道筋が変わってしまう)という作戦を取ります。 まだ1冊目しか読んでいませんが、ストーリーの背後には人類史の進化のモチーフがあるように思います。最初は宗教が重要な役割を果たす、しかし徐々に経済原理が統治の重要な役割を果たすという流れになっており、さて経済の次はなにが来るのかというような期待があります。
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来たるべき帝国の滅亡後の暗黒時代を食い止めるべく新しく作られた「ファウンデーション」という国の歴史の話。 誕生日プレゼント本の1冊。有名な本なので題名は知ってたけど、自分じゃ読もうと思わなかった本なので、今年貰ってよかった。すっごく面白かった。文字も小さめ、1ページの中にぎっし...
来たるべき帝国の滅亡後の暗黒時代を食い止めるべく新しく作られた「ファウンデーション」という国の歴史の話。 誕生日プレゼント本の1冊。有名な本なので題名は知ってたけど、自分じゃ読もうと思わなかった本なので、今年貰ってよかった。すっごく面白かった。文字も小さめ、1ページの中にぎっしりと書かれててビビったが、読み始まってしまえば、どっぷり世界に浸れた。 それぞれの章ごとに中心人物や時代が違ってて、その人たちがファウンデーションをどう守ったかが描かれている。時代を経ていくごとに、ファウンデーションの肝である科学が宗教になっていき、それを盲信して他者に押し付ける人も出てきて、あれ、これっておじいちゃん博士(と、創立者のことを私は呼んでた)の望んでることなんだっけ?でもおじいちゃん博士は未来が読めてるんだしなあ…とちょっと考えさせられた。私は考えの押し付けが嫌いなので、「これも想定内ですっ(キリッ)」と言われるとビビる。 この話は三部作だそうで、続きも読みたいと思わせる本だった。
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一二三巻一括感想 第三巻にて でも、一言。 小学館「マンガ 日本の歴史」という、超ロングセラーがある。 それは、時代ごとの主要な人物のエピソードが連なって語られることで、長い歴史を学ぶことができるもの。 最も学んだのは「人の所業は大きな歴史のうねりの小さな一つに過ぎない」とい...
一二三巻一括感想 第三巻にて でも、一言。 小学館「マンガ 日本の歴史」という、超ロングセラーがある。 それは、時代ごとの主要な人物のエピソードが連なって語られることで、長い歴史を学ぶことができるもの。 最も学んだのは「人の所業は大きな歴史のうねりの小さな一つに過ぎない」ということ。 この物語は既に第一巻でそれを語っている。 凄いです。
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章のはじめに銀河百科事典の引用が載ってるのとか帝国(皇帝)が云々とか『デューン』ぽい!てなった(こっちが先~) 宗教が思ってた以上に重要ファクターで面白い。核エネルギーと神官。宣教と貿易がセット
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小説の試みが分かってくるごとに、そのすごさや壮大さに感服しました。銀河帝国の興亡はSF小説でありながらも、今の国家や世界の成立を映しているようにも感じます。 物語は数百年を優にまたぐ。その時代の中から特に重要な出来事が短編形式で語られていきます。国家を取り巻く状況の変化。外交の...
小説の試みが分かってくるごとに、そのすごさや壮大さに感服しました。銀河帝国の興亡はSF小説でありながらも、今の国家や世界の成立を映しているようにも感じます。 物語は数百年を優にまたぐ。その時代の中から特に重要な出来事が短編形式で語られていきます。国家を取り巻く状況の変化。外交の変化。時代の変化。 宗教的なシンボルを立てることで国家の安定を図り、諸外国へも影響を及ぼしていった時代は、現実の歴史でヨーロッパが植民地に宣教師を派遣したものとも被るように思える。 そうした宗教的シンボルへの崇拝が徐々に薄れ、経済や資源がモノをいう時代へ。物語の中心人物も政治家や宗教家から、諸外国をまたにかける商人へと移って行きます。これも歴史から考えると、貿易が広がっていった大航海時代の歴史と被ります。 短編一つ一つを見ていくと、その時代の個人が国家のため、あるいは野心や欲望を胸に活躍する人々を描いた物語です。しかしそれを一連の流れで見ていくと、国家というものがどのように影響力を高め、また時代によってその力を変容させてきたか。そうした大きな物語になっているのが分かります。 個人の物語から、国家という大きな物語を成立させる。その語りの技術、構成の技術に、そして壮大な物語のビジョンが自分にもおぼろげながら見えてきたとき、この作品がSFの名作たるゆえんがよく分かりました。 まだ三部作の一巻。この物語が完結したとき、どのような帝国の歴史が自分の中に刻み込まれているのか。それが楽しみになっています。
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巨匠アイザック・アシモフの代表作『ファウンデーションシリーズ』第一作の新訳版。2021年9月スタートのApple TV+によるドラマ版の配信にあわせての新訳らしく、2と3の発売も予定されている。 とにかく途方もない銀河宇宙のスケールに圧倒された。横に空間へ、縦に時間へと、人間の想...
巨匠アイザック・アシモフの代表作『ファウンデーションシリーズ』第一作の新訳版。2021年9月スタートのApple TV+によるドラマ版の配信にあわせての新訳らしく、2と3の発売も予定されている。 とにかく途方もない銀河宇宙のスケールに圧倒された。横に空間へ、縦に時間へと、人間の想像力というものがここまで広げられるのか、というSFの可能性をみた思いだ。後年のスターウォーズや銀河英雄伝説とは違う方向性。アシモフの他作品にもあるミステリ要素が本作でもみられ、歴史絵巻と謎解きを絡めているのが面白い。
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