無理ゲー社会 の商品レビュー
なぜ政治家のアンケートに安楽死を希望する意見が殺到するのか。著者はそれを人々が社会に生きることをを攻略不可能なゲームをプレイする事(無理ゲー)と考えているからだとする。そして現代社会の無理ゲー要素を本書で解剖していくことを目的とする。 階級による差別がなくなった現代日本において...
なぜ政治家のアンケートに安楽死を希望する意見が殺到するのか。著者はそれを人々が社会に生きることをを攻略不可能なゲームをプレイする事(無理ゲー)と考えているからだとする。そして現代社会の無理ゲー要素を本書で解剖していくことを目的とする。 階級による差別がなくなった現代日本において人々は原理的には自由に望む生き方ができる様になった。一見するとリベラル化が進んで性別、階級、人種あらゆる属性的際から生じる差別がなくなり、私達は「適切な努力」さえすれば学歴、経験、実績を勝ち取り好きな仕事、生き方が出来るようになったように思える。 だけれどもどうしてそんな社会で生きづらさを感じ死を選ぶ人間が増えているのか?そんな暗くて重いけれども取り組まなければいけないテーマを選んだ著者には敬服する。 個人的にもっとも衝撃だったのは、人間の努力心や忍耐力、コミ力と言った個性は遺伝による影響が極めて大きいと言う話だ。これは行動遺伝学的知見に基づくファクトであり受け入れないければならないよう。けれども現在行われている教育の殆どは意味がないことになると思う。何故なら努力できるやつはできるし、出来ない奴は出来ないからだ。 私達はグローバル化、リベラル化、知能専制化、貧富の格差、大規模な技術革新、長寿化、高齢化、数を挙げればきりがないほどの混沌、複雑化した社会を生きねばならない。 本書の内容に基づけば、例えばこの本の知識を活かして考え方を変えて少しでもより良く生きようとする事も、そして仮に生きれたとしても、それは自分自身、読者自身のおかげではないという事になる。たんに前向きに考えること、本を買い読むこと、知識を取り入れて活かすこと、これらの恵まれた能力、環境がそこにあっただけに過ぎない。そして自分らしく喜びに満ちた生活を送る者の下には何万、何億もの絶望的な生活を送る人間がいることを認識しなければいけないと思った。
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橘玲『無理ゲー社会』、読了。 この世で生きることの辛さを再確認できた。 自分、家族がいつ病気になって働けなくなったら、人生が詰んでしまう。 そんな薄氷を踏む思いで日々生きている。 そんな人生が嫌でも100年あるのだ、 自分らしく生きることを求める世界で。 ほんとどうかし...
橘玲『無理ゲー社会』、読了。 この世で生きることの辛さを再確認できた。 自分、家族がいつ病気になって働けなくなったら、人生が詰んでしまう。 そんな薄氷を踏む思いで日々生きている。 そんな人生が嫌でも100年あるのだ、 自分らしく生きることを求める世界で。 ほんとどうかしてしてるぜ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
タイトルに合わないヘビーな内容だった。 結局無理ゲー社会を生き抜くにはこうしていかなければいけないというような筆者の際立った主張はなく、将来に対して不安感が残るような締めだった。 人生100年時代と言われる中でどう生き抜いていくべきかを考えさせられる内容だった。
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よく何を読まされているのか見失うことがあったが、安定的な社会が続けば続くほど、一定の指標に基づいて社会が不公平な方向に進んで固まっていくということがよく分かった。 今は、それがメリトクラシーで拡大再生産されていると。そして、平等な世界をもたらす四騎士は、戦争、革命、統治の崩壊、...
よく何を読まされているのか見失うことがあったが、安定的な社会が続けば続くほど、一定の指標に基づいて社会が不公平な方向に進んで固まっていくということがよく分かった。 今は、それがメリトクラシーで拡大再生産されていると。そして、平等な世界をもたらす四騎士は、戦争、革命、統治の崩壊、疫病であり、気候変動による砂漠化も第五の騎士となり得る(戦後の三丁目の夕日的な平等で明るく楽しい社会は、格差社会だった戦前社会が敗戦で崩壊したから)。他にも、色々ポイントはあるだろうが、一番刺さったのはここ。結局、マグマのように溜まった澱をどこかで発散しないとダメということのようだ。
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引用が多くて筆者が本当に伝えたいことが見えてこなかった。 が、日本の行く末や各国の政治、なぜ無理ゲーなのかをマクロ視点から解説していてなるほど?となった。
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倫理観から離れて物事を考えてみることができた。自分らしさや、心理コストによる友だちの消滅など今を生きる人達の悩みへの手がかりとなる1冊だった。
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"難易度が高すぎてクリアをするのが不可能なゲーム"のことを「無理ゲー」と言うそうです。 本書では、キーワードである「自分らしさ化」のルーツと変遷から始まり、「能力主義(メリトクラシー)」がもたらす格差とその解消策について、「ベーシックインカム」などの実例を交...
"難易度が高すぎてクリアをするのが不可能なゲーム"のことを「無理ゲー」と言うそうです。 本書では、キーワードである「自分らしさ化」のルーツと変遷から始まり、「能力主義(メリトクラシー)」がもたらす格差とその解消策について、「ベーシックインカム」などの実例を交えて論じられています。 しかし、いくら有効な施策を打ち出して経済的な格差を解消しても、また次の格差にシフトするのではないか...というような展開になっていきます。 富の再分配で、誰もが「自分らしく生きる」権利を得ても、結局次から次へと格差が生まれるというのは身も蓋もない、まさに「無理ゲー」と言えますね。
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リベラルを追求すると金銭的、性愛的弱者が生まれ、手の施しようのない競争社会になってしまうというジレンマ。かと言ってどこまで管理するか決めるのも困難で行き着くとこまで行くしかなくて後は個人でなんとかしろという結論。
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『残酷な世界で生き延びるたった一つの方法』をより現在の状況に即して更新したアップグレード版という形かな。この無理ゲー社会をなんとか生き抜くには、レッドオーシャンではなく、自分なりのブルーオーシャンを見つけて、そこで勝負せよ という主張と理解。
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自分らしく生きるという異様な思想。同性愛が包摂されたマジョリティとなる世界。テストの点で序列が決まる世界か性格を否定される世界か。貨幣分配の不均衡が是正され評判社会が訪れる。オスの競走とメスの選択。全編通して面白かった。
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