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亜ノ国ヘ 水と竜の娘たち の商品レビュー

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11件のお客様レビュー

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2021/07/28

不妊治療したにも関わらず、夫が浮気相手と子供を作ったことにより、離婚した塔子。故郷に帰って、母の従姉が遺した家を訪ねる。遺言書により、塔子に引き継ぐということで、中を見ていると、何かをきっかけに異世界へ飛ばされた。そこは「亜ノ国」というところだった。どうすれば元の世界に戻れるのか...

不妊治療したにも関わらず、夫が浮気相手と子供を作ったことにより、離婚した塔子。故郷に帰って、母の従姉が遺した家を訪ねる。遺言書により、塔子に引き継ぐということで、中を見ていると、何かをきっかけに異世界へ飛ばされた。そこは「亜ノ国」というところだった。どうすれば元の世界に戻れるのか?その鍵となるものはあるのか?塔子の物語が始まる。 元々柏葉さんは児童文学を中心に活躍されている作家で、今作が初の一般向け小説だそうです。 異世界ファンタジーですが、どこか児童文学で読んだようなワクワク感や優しさの雰囲気を保ちつつ、不倫や愛憎劇といった大人な要素もあるので、その中間をいっているいんしょうでした。 軸となるのは、どうすれば元の世界へ戻れるのか?という要素なのですが、翻弄されるまま、その国でのやり方に従順していくので、出口のない暗いトンネルを歩いているかのような間延び感があった印象でした。 途中から、鍵を握る人物は登場するのですが、なかなか物語が進まない印象だったので、気持ちを持続するのにちょっと苦労しました。 後半から、亜ノ国だけでなく、塔子の家族にも注目されます。段々と明らかになっていく2つの関係にほぉーと驚いてしまいました。 ただ、いかんせんと登場人物表はあるのですが、亜ノ国だけなので、塔子の家族構成も書いていただきたかったなと思いました。頭の中で整理しなければならない事が登場するので、ちょっと一苦労ありました。 結果的に複雑な人間関係で紡いでいく物語でしたが、様々な「愛」の形が描かれていました。「親」と「子」、「男」と「女」。それぞれの背景は違えども、人を愛することには真剣なのが垣間見れました。 後半にいくにつれて、児童文学にはないような残酷な展開や愛憎劇が繰り広げられていきますが、そこには感動の要素もあって、良かったです。 どんでん返しかわかりませんが、意外な事実や人物が現れたりと意表をつく異世界ファンタジーでした。

Posted byブクログ