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どちらの登場人物にも強い嫌悪感。ずーっとなんだか気持ち悪いし、嫌な感情しか湧かないけど、どても引き込まれて面白かった。
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現代社会の深い深い闇を見事に恐ろしく描いた2作が収められている。 『推子のデフォルト』 体にICチップを埋め込み、隅から隅までデジタル化、みんな一緒がいちばん、自分で考えるなんて異質、という世界にて、"オフライン依存症"と呼ばれ、公園で遊び回るなんて「子ども...
現代社会の深い深い闇を見事に恐ろしく描いた2作が収められている。 『推子のデフォルト』 体にICチップを埋め込み、隅から隅までデジタル化、みんな一緒がいちばん、自分で考えるなんて異質、という世界にて、"オフライン依存症"と呼ばれ、公園で遊び回るなんて「子どもらしくない」と言われちゃう子ども。そこで右往左往しながら異なるタイプのママふたりがじわりじわりと本音を覗かせながら話は進む。 これ、20年くらい前に読んでいたら、こわーって思っただけだったかもしれないが、随所に、え、これ、今のコト言ってる…?と背筋がぞぞっとする会話や場面が現れる。 『マイイベント』 映画『パラサイト』を彷彿とさせるんだが、とんでもないクソ主人公のクソっぷりがこれでもかと描かれている点で、パラサイトよりも直球。読んでて気分が本気で悪くなるのだけど、おそらくこういう人が、こういう人の片鱗をうかがわせるような人が(そしてその本人自身が一番哀れな)、少しずつ世界を狂わせている気もする。 次はほっこりするのを読みたい。でも本谷有希子さん、すき。 どう生きたいかを問う本だったな。
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2作ともとても面白かった。 1作目は近未来的なSFであるが、今の生活の延長線上にあり得るようなことばかりで将来このようになるのを危惧せずにはいられなかった。 現代はスマホやWi-Fiなどネット環境のない時代からある時代へ移り変わり、それが今後どのように変化していくのか楽しみになる...
2作ともとても面白かった。 1作目は近未来的なSFであるが、今の生活の延長線上にあり得るようなことばかりで将来このようになるのを危惧せずにはいられなかった。 現代はスマホやWi-Fiなどネット環境のない時代からある時代へ移り変わり、それが今後どのように変化していくのか楽しみになる。 2作目はなかなかホラーだった。 どこの家庭においても他の家庭との間に抱える齟齬や胸のモヤモヤなどが巧みに表現されていて、その気持ち悪さを共感しながら読み進められた。 途中途中でハラハラする描写がいくつもあり、ラストまで緊張感がずっと続いた。
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身体に埋め込んだデジタル機器で、情報を大量に取り入れる近未来。AIを「ええ愛」と呼んだり、子供には生まれた瞬間からデジタル機器を与え、ネット付けにするのが親の務めとされていたり、最初はその滑稽さに笑ってしまったが、等質を良しとする教育でロボットのように育つ子どもたちや、ネット漬け...
身体に埋め込んだデジタル機器で、情報を大量に取り入れる近未来。AIを「ええ愛」と呼んだり、子供には生まれた瞬間からデジタル機器を与え、ネット付けにするのが親の務めとされていたり、最初はその滑稽さに笑ってしまったが、等質を良しとする教育でロボットのように育つ子どもたちや、ネット漬けの環境を拒否する人を、オフライン依存症とよび否定する圧力などがリアルで、笑い事ではないかもしれないと感じた。最後は背筋がヒヤリ。
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2つの物語の内の1つ(推子のデフォルト):自分の中の強すぎる正義が砕け散って強烈に闇堕ちしていくという様を見せられたような物語。〝ええ愛(AI)〟あらゆる物がネットと繋がる世界(IoTやDX?)といった現代にもありそうな、また近い将来起こりえそうな題材と絡められてた。この手のSF...
2つの物語の内の1つ(推子のデフォルト):自分の中の強すぎる正義が砕け散って強烈に闇堕ちしていくという様を見せられたような物語。〝ええ愛(AI)〟あらゆる物がネットと繋がる世界(IoTやDX?)といった現代にもありそうな、また近い将来起こりえそうな題材と絡められてた。この手のSF題材は野崎まどさんの方が好み。あくまで、個人的嗜好。当て字が、この世のものと思えないぐらい読みにくさを発揮。読後感も良い印象なく。
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二作目、このコロナ禍での自分の意地の悪い部分をまざまざと見せつけられているようでよるべない気持ちになる
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
『推子のデフォルト』 いわゆる〝シンギュラリティ”が起こった後の人々の暮らし、次世代の教育に焦点を当てた物語。 AI(ええ愛)が主な働き手となり、働く必要のなくなった人々は人工的なコンテンツを体内に流し込むことで仮想空間へ身を置くことが「普通」に。そんな世の中を担う次世代の子どもたちは、生まれた瞬間から(早くは胎児のうちから!)デジタル機器を与えられ、思考を奪われます。そして、均質化することが親・社会の務めとされています。5歳にもなれば大人の言うことに何の疑問を持たなくなる…恐ろしいことにそれが子育ての正解。 この物語の視点人物は、タイトルにもある「推子」。彼女はこの世の中の在り方をそのまま受け入れ、デジタル機器を体に埋め込みまくり、「模範的な」親として子育てをしています。一方彼女には密かな楽しみがあります。それは、この世の中に疑問を抱き葛藤するママ友をおちょくること。彼女の悩みを弄び、心の中で「やっぱ生のコンテンツって最高のエンタメだわー」とか言っちゃう。悪趣味です。 こんなろくでもない世の中になったとき、自分なら推子とこぴくんママ、どちらのスタンスを取るのかなと想像しながら読みました。推子の生き方はきっと生きやすいけど、悪趣味な娯楽を求めなければならないほどに退屈すること必至。こぴくんママの「子どもの幸せ」を追求する思いには共感できるけど、その生き方はあまりにも多難すぎる。藁にも縋る思いで行ったお麩来ン(オフライン)学園の説明会で、子どもが幸せになる道なんてどこにもないと絶望する姿には胸が痛みます。 こぴくんママの決断はやむを得ないのかなと思うけど結末がつら過ぎる…こんなろくでもない世ではそもそも子どもを持つという判断をしたくないかな。 デジタルデバイスが当たり前に子どもの目の前にある今は、このディストピアへ向かう途中なのだろうか、なんて考えると鬱々するお話でした。でも細かな設定が面白くて、笑える部分もあり割と好きな作品でした。 『マイイベント』 50年に一度の台風を前にウキウキで防災グッズを揃える渇幸は、安全な自分の家から下界を眺めて、自分が「上」にいる確認に余念がありません。そんな彼(夫妻)とマンション住民の間のトラブル、否、泥仕合を描いた物語。 この渇幸がほんっとにいやーーーーな奴、選民思想丸出しの小市民なんですわ。こねくり回す理屈、弱者に対する行動に心底ムカムカしますが、後半にマンション1階住民が最上階にある渇幸の自宅に避難してくるあたりから、少し自分の気持ちに変化が生じていることに気付きます。なぜなら、その1階住民(バンバ一家)にもまじでイライラするから。バンバの行動・住まいに嫌悪感を持っている私って、もしかしたら渇幸と同類…?と居心地が悪くなってきます。 ウサギを盗む・捨てるといった感情に支配された人間のわけのわからない行動、そして追い詰められた人間が吐くわけのわからない言葉に本谷有希子らしさが詰まっていました。後味は最悪。
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うう…。この薄ら寒い、ざわざわする、いや〜な感じ。過剰に甘い添加物でコーティングされた気色の悪いものを口に入れちゃったみたいな。でもこのざわざわの正体、リアルにもあること、分かってるでしょ?見ないふりしてるだけでしょ?って、冷ややかに本谷さんが口の片端で笑ってる…気がする。
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大量の情報を四六時中浴びて、自分の声が聞こえなければ、等質化するより他がないって感じで怖い。 お麩来ン学園卒業生がどうなってるのか気になる。 っ」で言葉終わる人トラウマになりそうで怖い。 早い段階で気付いてたんだろうなバンバ家側は。 もしかして、バンバ家父は生コン工場に勤...
大量の情報を四六時中浴びて、自分の声が聞こえなければ、等質化するより他がないって感じで怖い。 お麩来ン学園卒業生がどうなってるのか気になる。 っ」で言葉終わる人トラウマになりそうで怖い。 早い段階で気付いてたんだろうなバンバ家側は。 もしかして、バンバ家父は生コン工場に勤めてたりするのかな? ところどころ、ママとしての機能になるママチャリとか、何が入ってるか分からないタレとかインパクトがあって好きです。
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面白かったー。二編ともドラマ化してほしいくらい。 「推子のデフォルト」の「オフライン依存症」というフレーズは、将来的に出てくるかもしれないと思いました。今でいうところの徹底したビーガンとか、無農薬へのこだわり…みたいな感じで。推子の考えと同じように、世の中の人々が常にオンラインで...
面白かったー。二編ともドラマ化してほしいくらい。 「推子のデフォルト」の「オフライン依存症」というフレーズは、将来的に出てくるかもしれないと思いました。今でいうところの徹底したビーガンとか、無農薬へのこだわり…みたいな感じで。推子の考えと同じように、世の中の人々が常にオンラインであるのが当たり前になれば、それと共存するほうがラクという考え方もされるようになるのかもしれない。人間のように簡単に順応できる生き物に「らしさ」なんてあるのか、という問題提起になる物語でした。 「マイイベント」に出てくる、こういうダンナ居そう!笑えるけど、ホラー。本谷有希子さんはきっとよくわからない手作りの焼き肉のタレとか嫌いなんだろうなぁと思いました(笑)。
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