九十歳のラブレター の商品レビュー
人生を愛する妻と歩み、寄り添い、共に楽しみ、苦労して主に80代の晩年を書かれた本。 その人生は輝いている。若い頃の二人はキラキラしていて、大変なこともユーモアや知性で楽しみ、まさに謳歌されている。 晩年もチェスをしたり、ワインをのんだり、旅をしたり羨ましい暮らしをされている。 な...
人生を愛する妻と歩み、寄り添い、共に楽しみ、苦労して主に80代の晩年を書かれた本。 その人生は輝いている。若い頃の二人はキラキラしていて、大変なこともユーモアや知性で楽しみ、まさに謳歌されている。 晩年もチェスをしたり、ワインをのんだり、旅をしたり羨ましい暮らしをされている。 なにより一番素晴らしいのはやはり互いを尊敬し、愛し、労り、信頼していること。 そして人生には若い時があり、歳を取れば衰え、必ず終わりが来る。 奥様を亡くしたあと、作者も数年後に亡くなっている。 これほど充実した人生を全うされたことはうらやましく、見習わなければならない面も多々ある。 ついつい不平不満を言いがちな生き方を反省しつつ、、、。 また、家族の在り方について、主婦が夫を支えるという生き方も現代では古いものになっているけど、それはそれでなんか素晴らしいなぁと。 女性の社会進出も、食べるためだけの仕事をすることによる弊害、子育てや介護、男女平等をどんなに謳っても平等ではない体の作りや社会の仕組みを思い、正解はないけど、家族の幸せのカタチがもっと公的に考えられて行けばよいなぁ
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著者、加藤秀俊さん(1930~2023)の作品、ブクログ登録は2冊目。 本作の内容は、次のとおり。 ---引用開始 あなたのいない毎日に、ぼくは慣れることができない。ある朝、あなたは突然逝った――。小学校の同級生であったあなたと結婚して六十余年、戦争体験、戦後間もなくのアメ...
著者、加藤秀俊さん(1930~2023)の作品、ブクログ登録は2冊目。 本作の内容は、次のとおり。 ---引用開始 あなたのいない毎日に、ぼくは慣れることができない。ある朝、あなたは突然逝った――。小学校の同級生であったあなたと結婚して六十余年、戦争体験、戦後間もなくのアメリカでの新婚生活、京都での家作り、世界中への旅、お互いの老化……たくさんの〈人生の物語〉を共有してきたあなたの死で、ぼくの人生は根底から変わってしまった。老碩学が慟哭を抑えて綴る愛惜の賦。 ---引用終了 気になった箇所を一つあげると、p14から書かれている、1952年(昭和27年)5月1日の「血のメーデー事件」。 当時の著者の年齢は22歳で、この時のデモ隊に参加。 若かりし頃、著者は、何となく共産党員?という感じの共産党員。 当時の共産党の勢いが感じられることが書かれているのが、興味深い。 なお、血のメーデー事件は、ウィキペディアに、次のように書かれています。 ---引用開始 血のメーデー事件(ちのメーデーじけん)は、1952年(昭和27年)5月1日(木曜日)に東京の皇居外苑で発生した、デモ隊と警察部隊とが衝突した騒乱事件である。事件は一部の左翼団体が暴力革命準備の実践の一環として行ったものと見られている。戦後の学生運動で初の死者を出した。 ---引用終了
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加藤秀俊著『九十歳のラブレター』(新潮社) 2021.6発行 2023.10.22読了 筆者は著名な社会学者で、リースマンの『孤独な群衆』の翻訳者として知られる。 筆者の著書はこれまで何冊か読んだことがあるが、ひらがなを多用した平易な記述が特徴的である。2023年9月20日...
加藤秀俊著『九十歳のラブレター』(新潮社) 2021.6発行 2023.10.22読了 筆者は著名な社会学者で、リースマンの『孤独な群衆』の翻訳者として知られる。 筆者の著書はこれまで何冊か読んだことがあるが、ひらがなを多用した平易な記述が特徴的である。2023年9月20日に病気のため死去したことを知り、筆者最後の著作である本書を読む気になった。 本書は、2019年9月16日に享年89歳で亡くなった妻・隆江さんとの思い出を綴ったものである。出会いから別れまでの思い出を綴った作品なのだが、筆者には申し訳ないが、あまり共感をもって読むことができなかった。 妻・隆江さんは、植物園で観賞用として育てられている木の枝を勝手に折って家に持ち帰ったりするなど、規範意識の薄い人だったようだ。好き嫌いが激しく、あれこれと文句を並び立てては自分を正当化しようとするので、読んでいて不愉快な気分になってくる。 筆者も88歳のときにブレーキとアクセルを踏み間違えて人身事故を起こしているのに、悪びれずその後も車を運転し続けるという老害ぶりで思わず閉口してしまった。 二人とも若い頃は左翼運動に従事していたというから、さもありなんと妙に納得した。 歳をとれば頑固になると言うし、怖いもの知らずにもなるとも言うが、お花畑な老後が送れて当人たちは幸せだったのだろう。羨ましいなと思う反面、こんな老害にはなりたくないなとも思ってしまった。 URL:https://id.ndl.go.jp/bib/031505545
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筆者はパートナーとの思い出を題材に自分の生きた証を記しているのだろうと思う。貧しい時代を生き抜いてきた世代ということもあり、その時代特有の苦労エピソードはたくさん書かれているが、もともと育ちが良い家庭の出の人の話なので、読者側からするとちょっと鼻につくところも多々あった。ただ老後...
筆者はパートナーとの思い出を題材に自分の生きた証を記しているのだろうと思う。貧しい時代を生き抜いてきた世代ということもあり、その時代特有の苦労エピソードはたくさん書かれているが、もともと育ちが良い家庭の出の人の話なので、読者側からするとちょっと鼻につくところも多々あった。ただ老後の話になると、育ちの良さに関わらず誰もが直面する現実に対処しなければならず、結局のところ、育ちに恵まれていようがいまいが、時が来ればこの世を去らなくてはいけないのだなぁ、とちょっと感傷的になった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
1930年生まれ、加藤秀俊さん、同年生まれの妻、隆江さんの突然死(2019.9.16、虚血性心不全)を受け、65年間共に過ごした愛妻との思い出(同じ小学校に通った頃からの話を含め)を細やかに綴った作品。まさに「九十歳のラブレター」(2021.6)。仲睦まじさのストレートな記述もいいですが、私は(今並行して読んでる)津村節子さんの吉村昭さんへの抑制の効いた思いがより好きです。
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将来相方にそう思われるような穏やかな生き方をする人になりたいと思った。泣けて、ほっこりした。心が動いた。
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ある朝、あなたは突然逝った…。 著名な社会学者である著者が、小学校の同級生で70年近く連れ添った妻に、共に過ごした来し方の思い出を訥々と語りかける。叫び出したい思いを必死に堪えて。その一文一文が心に沁み込むようで、筆者が妻に向けた純粋なまでの愛と、先立たれた者の哀しみが胸に押し寄...
ある朝、あなたは突然逝った…。 著名な社会学者である著者が、小学校の同級生で70年近く連れ添った妻に、共に過ごした来し方の思い出を訥々と語りかける。叫び出したい思いを必死に堪えて。その一文一文が心に沁み込むようで、筆者が妻に向けた純粋なまでの愛と、先立たれた者の哀しみが胸に押し寄せてくる。これは本当に亡き「あなた」に向けた、狂おしいほどのラブレターなのだ。絶望の中からまた歩き出すために、著者は書かずにはいられなかったのだろう。 この手記は二人の別れから始まる哀しい物語だ。さりとて、お二人のあり方は多くの夫婦にとって理想であろうし、私のような独身者にも憧れに似た感情を抱かせる。語弊はあるが、誠に羨ましい。 よい本です。愛とは何か、連れ添うとはどういうことか、互いをケアするとはどういうことなのか、色々と思いを馳せるきっかけを与えてくれる。
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