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神よ憐れみたまえ の商品レビュー

3.8

60件のお客様レビュー

  1. 5つ

    12

  2. 4つ

    26

  3. 3つ

    16

  4. 2つ

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2021/12/22

評判を聞いて読みたくて読んだ本! 570ページと言う量を全く感じさせない話の展開と情感が胸を打ち、一気に読みました! 殺人によって両親を亡くした12才の少女、その彼女を支え続けた家政婦のたずと夫の多吉、息子の紘一と娘の美佐、そして恐ろしい罪を犯した叔父の左千夫、、これらの人を軸に...

評判を聞いて読みたくて読んだ本! 570ページと言う量を全く感じさせない話の展開と情感が胸を打ち、一気に読みました! 殺人によって両親を亡くした12才の少女、その彼女を支え続けた家政婦のたずと夫の多吉、息子の紘一と娘の美佐、そして恐ろしい罪を犯した叔父の左千夫、、これらの人を軸に百々子の人生が描かれている。百々子は美佐の忘れ形見の一人息子、律を育てていく人生の後半、彼女は過酷な過去を認め自分の人生を生きていた。小池真理子さんが10年の歳月をかけて描き、死へ向かうご主人の側で書いたと思うと最後に、この言葉が救いとなったのかと思いました。神よ 憐れみたまえ   解説がなかったのも良かったと思います

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2021/12/18

 芳醇なワインを飲んだ後のような余韻に包まれている。ものすごく豊潤な物語。   こんなにも心揺さぶられたのはいつ以来だろう?  百々子は裕福な家庭に育ったお嬢様。そして誰もが振り向くような美貌を持っていて、何不自由なく暮らしていた。  百々子が12歳の時、合宿に行っている時...

 芳醇なワインを飲んだ後のような余韻に包まれている。ものすごく豊潤な物語。   こんなにも心揺さぶられたのはいつ以来だろう?  百々子は裕福な家庭に育ったお嬢様。そして誰もが振り向くような美貌を持っていて、何不自由なく暮らしていた。  百々子が12歳の時、合宿に行っている時に両親が揃って殺されるという事件が起こった。  まだ12歳の百々子は、家政婦のたづの家で暮らすことになる。石川家のみんなはたづをはじめ、本当にいい人ばかりで、1つ歳上の美佐とは姉妹のように仲良く、美佐の兄の紘一も優しく、百々子は密かに恋をしていた。  事件が解決しないまま百々子は大学生になり、北海道へ叔父の左千夫と両親の墓参りに向かうのだが、東京に戻った百々子は衝撃の事実を突き付けられる。  富豪の夫婦が殺害されるという事件を軸にストーリーが展開されるのだが、むしろ注目すべきは、百々子を取り巻く人物たち。特にたづとの関係性は素晴らしかった。  数奇な運命に翻弄されながらも逞しく生きる百々子をいつまでも見守っていたい想いに駆られた。  これから読む人たちは百々子の人生をじっくりと味わってください。

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2021/12/18

570頁の長編だが最後まで文章を噛み締めて読まざるを得ないような骨太でありながら繊細な一女性の大河ドラマ小説。恥ずかしながら小池氏の小説を初めて読ませて頂いたが、情景がすぐに浮かぶような確かな表現力と緻密な人物描写力、移ろう人間の気持ち・情緒を余すところなく巧みに書き切る文章力、...

570頁の長編だが最後まで文章を噛み締めて読まざるを得ないような骨太でありながら繊細な一女性の大河ドラマ小説。恥ずかしながら小池氏の小説を初めて読ませて頂いたが、情景がすぐに浮かぶような確かな表現力と緻密な人物描写力、移ろう人間の気持ち・情緒を余すところなく巧みに書き切る文章力、どれも名人芸の域だと感じた。タイトルも文句無しに良い。これこそ大河ドラマのような1年の連続ドラマで観たいものだ。素晴らしい作品だった。今までの上梓作を読んでみようと思った。

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2021/11/30

たづさんの存在がすごく地味に素敵であった。 ラストの百々子が左千代を許す?みたいなくだりは予想というか納得であった。恐竜云々の最初とラストのリンクも感慨深い。

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2021/11/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

 小池真理子「神よ憐れみたまえ」、2021.6発行、全570頁。2010年代に着想し、10年の歳月をかけて紡いだ長編小説とのこと。これは心して読まなければと、姿勢を正しました。アドレナリンが噴出する出だし。小学校6年生、12歳の黒沢百々子が合宿中に、両親が惨殺されるという出来事。その百々子の成長、百々子の周辺の人間の動きが、時の流れとともに精緻に描かれていきます。でも、なんだかテンポが悪く、徐々に読み辛くなって・・・。小池真理子さんの作ということもあって、頑張りましたが、読書6日目、約半分、284頁で失速

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2021/11/19

介護した母を看取り、続いて小説家だった夫の藤田宜永さんを亡くすという小池さんが10年の歳月をかけて執筆したという大作。書き終えて自分の原稿を読み不覚にも落涙したと語っている。 主人公の百々子が辿(たど)った12歳から62歳までの激動の人生に敬服する。最終章になっても彼女に与えられ...

介護した母を看取り、続いて小説家だった夫の藤田宜永さんを亡くすという小池さんが10年の歳月をかけて執筆したという大作。書き終えて自分の原稿を読み不覚にも落涙したと語っている。 主人公の百々子が辿(たど)った12歳から62歳までの激動の人生に敬服する。最終章になっても彼女に与えられた試練にむごさを感じずにはいられないが、きっと百々子は「私はただ、自分で自分に負けたくないだけ」と立ち向かっていくのだろう。小池さんご本人が凄まじい牽引力を持つ百々子に投影されていると思わずにいられない。 百々子が生まれた黒沢家で家政婦だった石川たづの存在は大きい。たづは家政婦を辞めてからも百々子に寄り添ってくれている母親のような女性。輝く主人公の後ろにはたいてい支える人が居る(このような存在を母親のようなステレオタイプで描かれるのは抵抗がかなりある。必ずしも女性でなくてもいいのに・・・)。『後列のひと』というノンフィクション作品のタイトルが浮かんだ。

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2021/11/14

タイトルに惹きつけられて読んだ。読了後にしみじみと、これ以上のタイトルはないなあとため息が出る。登場人物に注がれるまなざしは、まるで祈りのようだ。数奇な運命を生きることになる主人公、その父母、担任の教師、夫となる男、歪んだ情熱にとらえられた男、主人公を支える根っからの善人である女...

タイトルに惹きつけられて読んだ。読了後にしみじみと、これ以上のタイトルはないなあとため息が出る。登場人物に注がれるまなざしは、まるで祈りのようだ。数奇な運命を生きることになる主人公、その父母、担任の教師、夫となる男、歪んだ情熱にとらえられた男、主人公を支える根っからの善人である女性とその家族…、みんな、そのように生きるしかない宿命を負っているように描かれる。 主人公の百々子が慨嘆する通り、私たちは、長い長い命の連なりの中に、ほんのつかの間人として存在して、また大きな流れに還っていくものなのだろう。本書の執筆中に自らの半身とも言える夫をなくされた著者の、生死を見つめる眼の深さが胸に迫ってきた。

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2021/11/08

両親を殺された百々子の人生。恐竜の化石の本から始まり恐竜の母子の夢想で終わるのは何かの隠喩だろうか? 起こったことは取返せない悲劇だが、彼女の周り、特にたづと石川家の存在が彼女の支えになる。この無償のたづのお嬢さまへの愛は、それこそ神の愛に通じるものがある。タイトルの「神を憐みた...

両親を殺された百々子の人生。恐竜の化石の本から始まり恐竜の母子の夢想で終わるのは何かの隠喩だろうか? 起こったことは取返せない悲劇だが、彼女の周り、特にたづと石川家の存在が彼女の支えになる。この無償のたづのお嬢さまへの愛は、それこそ神の愛に通じるものがある。タイトルの「神を憐みたまえ」が通奏低音で流れるこの物語。特に叔父左千夫の登場する場面で鳴り響いていた。 長い物語だが長さを感じさせないで、一気読み。面白かったです。

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2021/11/05

小池真理子さんの作品を久しぶりに読みました。 図書館で見た時の本の厚さにちょっと戸惑いました。 570ページの長編です。 しかし、読み始めたら止まらなくなりました。 最近評判になった本を借りてきても、以前ほどのめり込むことがなく、途中で止めてしまう本もあるのですが今回は時間を見つ...

小池真理子さんの作品を久しぶりに読みました。 図書館で見た時の本の厚さにちょっと戸惑いました。 570ページの長編です。 しかし、読み始めたら止まらなくなりました。 最近評判になった本を借りてきても、以前ほどのめり込むことがなく、途中で止めてしまう本もあるのですが今回は時間を見つけては読みました。

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2021/10/27

何不自由なく育った黒澤家の令嬢百々子。幸せの中にいた12歳の彼女を襲った両親殺害事件の悲劇。「血塗られた土曜日の令嬢」と好奇と憐れみの目で見られながら日々を過ごした幼少期。周りの愛情に守られ辛い過去を乗り越えた青年期。結婚をし、やっと落ち着いた人生を歩み始めたと思った時に彼女を襲...

何不自由なく育った黒澤家の令嬢百々子。幸せの中にいた12歳の彼女を襲った両親殺害事件の悲劇。「血塗られた土曜日の令嬢」と好奇と憐れみの目で見られながら日々を過ごした幼少期。周りの愛情に守られ辛い過去を乗り越えた青年期。結婚をし、やっと落ち着いた人生を歩み始めたと思った時に彼女を襲った辛すぎる現実。 波乱万丈という言葉では軽すぎるほど凄絶な人生を、それでも強く、気高く生き抜いた百々子の強さ。 殺人事件で始まるけれどこれはミステリではなく、昭和の時代を生き抜いた一人の女性と彼女に関わる多くの人々の姿を描く大河小説である。 一人の人間の人生には、多くの人の人生の糸が絡み合い、タペストリーのように織り込まれていく。 それが美しいものになるのか、無残なものになるのかは誰にもわからない。 それぞれの人にそれぞれのドラマがあり、百々子も、家政婦のたづも、叔父の左千夫もそれぞれの人生を織り上げたのだろう。 百々子が自分の人生を振り返るラスト、美村先生との再会のシーンで百々子が言った言葉、 「ただ、生きてきただけです」 のくだりでは思わず涙が。。 夫を亡くされた小池さんが、生きること、死ぬことの意義を書き上げた作品は、人生も後半を生きる私には十分すぎるほど響きました。

Posted byブクログ