1,800円以上の注文で送料無料

神よ憐れみたまえ の商品レビュー

3.8

60件のお客様レビュー

  1. 5つ

    12

  2. 4つ

    26

  3. 3つ

    16

  4. 2つ

    3

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/09/09
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

*昭和38年11月、三井三池炭鉱の爆発と国鉄の事故が同じ日に発生し、「魔の土曜日」と言われた夜、12歳の黒沢百々子は何者かに両親を惨殺された。母ゆずりの美貌で、音楽家をめざしていたが、事件が行く手に重く立ちはだかる。黒く歪んだ悪夢、移ろいゆく歳月のなかで運命の歯車が交錯し、動き出す……* あまりの分厚さに一瞬怯みましたが、レビューが高そうだったので手に取ることに。 文学的で丁寧な筆致はさすがです。 が、失礼ながら、次の展開に特に繋がらないこのシーン必要?と感じる部分も多く、無駄に話が長く感じてしまいました。 その反面、最初は「男」と書かれていた犯人が誰なのか突然判明させたり、決定打もないのに左千夫が最終章へ急に舵を切ったり、と大事な所での描写不足と唐突感が目に付きます。 特に、遺書!何もバレておらず証拠もない状態なのに、なぜ全てを記して自殺したのか…? 大切な百々子のことを思えば、文字通り死んでも事実を隠し通すものなのでは…? その辺りの心理描写が全くないので、消化不良は否めません。もちろん共感も憐憫もなし。 そして最後まで波乱万丈な百々子の人生…救いが見えないのは私の読解力のなさなのか?なんだか釈然とせず、寂しくなってしまった読後感でした。

Posted byブクログ

2024/07/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

ここ何ヶ月か 小説にのめり込めない 集中できない日が続いていて 何冊も挑戦しては挫折してたのだが、 こんな大作を1週間かけて読めてしまった。 --- たづさんがいなければ百々子は長く生きられなかったのではないかと思った。 左千夫は性的指向は自分でどうすることもできないものだとしても、姉夫婦を殺害したあとに百々子に接触しているのはちょっと私にはわからなかった。 多分フィクションとはいえ、現代 殺人事件が毎日のように起こる世の中で1人の女の人生でこんなのあり得なくはないのだ、と思った。

Posted byブクログ

2024/06/17

昭和38年11月、三井三池炭鉱の爆発と国鉄の事故が重なった「魔の土曜日」に、12歳だった黒沢百々子は何者かに両親を殺された。移ろいゆく歳月のなかで運命の歯車が交錯する数奇な運命を生き抜く。面白かった。

Posted byブクログ

2024/05/10

最初の方からずっと百々子のことが心配だった。周りからの視点で描かれる百々子が起きてしまったことの惨さに比して落ち着き過ぎているように思えたし、百々子自身の気持ちの抑え方も、このままでは壊れてしまうのではないかと思ってしまったし。 しかし、百々子は最後まで百々子らしくて、杞憂だった...

最初の方からずっと百々子のことが心配だった。周りからの視点で描かれる百々子が起きてしまったことの惨さに比して落ち着き過ぎているように思えたし、百々子自身の気持ちの抑え方も、このままでは壊れてしまうのではないかと思ってしまったし。 しかし、百々子は最後まで百々子らしくて、杞憂だった。 ところでタイトルの『神よ憐れみたまえ』は、誰のことを指すのだろう。百々子の壮絶な人生のことなのか、両親のことなのか、はたまた左千夫のことなのか。 570ページの長編だったが、飽きることなく、すっかり百々子の人生を一緒に歩んだかのような満足感。

Posted byブクログ

2024/05/06

 朝日新聞の土曜日版で著者のエッセイを読み、著書を読んでみたくなった。タイトルにも惹かれ借りて読んだ。  570頁近くあるけれど、2日で読み終えたほど引き込まれた。  『神よ 憐れみたまえ』とのタイトル。そう神に訴えたいと思うようなタイプではなかった主人公百々子。  12歳の時...

 朝日新聞の土曜日版で著者のエッセイを読み、著書を読んでみたくなった。タイトルにも惹かれ借りて読んだ。  570頁近くあるけれど、2日で読み終えたほど引き込まれた。  『神よ 憐れみたまえ』とのタイトル。そう神に訴えたいと思うようなタイプではなかった主人公百々子。  12歳の時に両親を殺された。でも、「私は自分が特別に不幸な運命を背負って生まれた人間だったとは思っていない。思ったこともない。」と言う。  一人っ子だったけれど、裕福な家庭に生まれ育ち、両親亡き後も、経済的に何ら困ることとはなく、彼女を暖かく見守ってくれる人々がいたから、そう断言できるのだろうと思う。  そして、「今になっても、私の中にはあの12年間を好きなだけ眺めることのできるプリズムがある。そのプリズムを通しさえすれば、いつだってあの頃を取り戻すことができる。巻き戻した時間の先に見えてくるのは、私の人生の中に、揺るぎなく確かに実在した小さな王国なのだ」と言える、あたたかな光に包まれた記憶と。  そんな百々子が、還暦を過ぎ、若年性認知症と診断される。直ぐに記憶がなくなってしまうわけではないけれど、いつかその日はやって来る。それでも、「終始、幸福そうに笑っているのだろう」と思う。 「生き抜く、というのはたぶん、そういうことのような気がする」と語る百々子は、同時に「神よ、こんな私を憐れみたまえ」と静かに訴えているのではないだろうか。  そして、百々子だけではなく、彼女を取り巻く一人一人に対しても、そう祈りをこめているのではないだろうか。読み終わってそんなことを感じた。

Posted byブクログ

2024/04/28

 厚みのある小説だった。  苦悩は伝わってくる。不幸も。  ただ、そこに読むことの楽しさはある。割合としては、五分の三くらいだけども。

Posted byブクログ

2023/06/28

ひとりの人生をじっくりと、そんな感じのはなしだった。 波瀾ありでもまっすぐ生きた、百々子。 なかなか多吉は好きになれなかった。

Posted byブクログ

2023/05/06
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

終章の穏やかな秋の日が人生の秋と重なって心にしっくりと収まった。激しい波瀾があっても最期に想い巡るのが、大切な人と過ごした暖かな日々なのが救いになる。途中冗長に感じられたけど、このラストに満足。

Posted byブクログ

2023/04/27
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

久しぶりの小池さん作品。 本の分厚さに証書圧倒されながらも、読み始めるとあっという間に読んでしまった。 この本を読んで再確認したこと。私は小池さんの描く女性が好きだ。 可愛くて、色っぽくて、茶目っ気があって。 計算高くて、男に媚びたりもする。 でも、ただひたすらに「強い」のだ。 可愛いだけではない。「賢い」のだ。 終盤、恩師に「強い人だ」と言われ、「いいえ。ただ、生きてきただけです」と答えた百々子。 しびれた。かっこよすぎる。 桃子の両親を殺害した犯人は早々に明らかになるしおまけに自殺してしまうし、ミステリー要素は薄い。この本はあくまでも百々子の歴史であり、読み進めるうちに百々子を応援し、最期を見届けたいと願っている自分がいた。 若年性認知症を患ってしまった百々子が、一つ一つの行動を口に出して確認しながら家を出るシーンがある。最初はバカらしく思っていたけど、できるだけ自分の事は自分でしたいから、と。 そんな状況になっても尚、地に足をつけ、「ただ生きている」百々子が、あまりにも百々子らしく、涙が出そうになった。 神よ、憐れみたまえ。どうか百々子を守ってください。そう願いながらページを閉じました。 やっぱり小池さんの作品が好き!!

Posted byブクログ

2023/02/20

恵まれた環境から一転して犯罪被害者家族となる、(実は加害者家族でもあったわけだが)主人公少女の波乱の一生。愛した人には愛されず、片思いのまま、報われない恋をあきらめて選んだ伴侶との結婚生活も、幸福とは遠い。老境に入った主人公の最後の独白で救われた気持ちにはなるものの、、なんとも悲...

恵まれた環境から一転して犯罪被害者家族となる、(実は加害者家族でもあったわけだが)主人公少女の波乱の一生。愛した人には愛されず、片思いのまま、報われない恋をあきらめて選んだ伴侶との結婚生活も、幸福とは遠い。老境に入った主人公の最後の独白で救われた気持ちにはなるものの、、なんとも悲惨な物語だ。

Posted byブクログ