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室町は今日もハードボイルド の商品レビュー

4.2

39件のお客様レビュー

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2021/11/22

日本の中世(平安末期から鎌倉、室町、戦国時代)は荘園、武士、僧兵などが乱立し、国全体がバラバラになり「自力救済」が原則のアナーキーに世界だった。 という話を人質、不倫、呪詛、僧兵、荘園、朝鮮外交などのテーマでわかりやすく面白く語った一冊。 NHKドラマや歴史小説で、中世日本の...

日本の中世(平安末期から鎌倉、室町、戦国時代)は荘園、武士、僧兵などが乱立し、国全体がバラバラになり「自力救済」が原則のアナーキーに世界だった。 という話を人質、不倫、呪詛、僧兵、荘園、朝鮮外交などのテーマでわかりやすく面白く語った一冊。 NHKドラマや歴史小説で、中世日本の人たちを現代の常識に合うように書いているのは、実際とは違うらしい。 男が不倫の上、離婚して、別の女性と結婚した場合、元妻は友達の女性を集めて、新しい妻を集団で襲う「うわなり打ち」という「制度」があった。最初は本当に殺してしまうこともある過激なものだったのが、徐々に儀礼化して予告の上、台所道具だけ壊して、仲裁人がでてくるところまで決まった儀式になった、とか。 というようなエピソード満載で楽しい一冊。

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2021/10/31

歴史好きな人には刺さりそうなキャッチーなタイトル。 本書における中世は、平安後期から、鎌倉、南北朝、室町、戦国時代の約300年間を指す。 当時を語る資料から、現代人からみるとアナーキーでハードボイルドと思える事例を、助け合い、多元性。人間関係の絆、信仰といったテーマに分けて紹介し...

歴史好きな人には刺さりそうなキャッチーなタイトル。 本書における中世は、平安後期から、鎌倉、南北朝、室町、戦国時代の約300年間を指す。 当時を語る資料から、現代人からみるとアナーキーでハードボイルドと思える事例を、助け合い、多元性。人間関係の絆、信仰といったテーマに分けて紹介している。 それらは、現代の常識感覚や人道的価値観が全く通じない。そんなのありえないと思えることばかり。まるで無秩序で混沌とした時代なのかと。 しかし当時の人々にとってはそれが至極合理的であったということを教えてくれる。また多様性って大切なんだなあとも気付かせてくれる。 授業で学んだ日本史での中世は、めまくるしく変わる国家の主権、それに伴う政変、事件、文化、宗教と覚えるべき項目がとにかく盛り沢山だった。結局はそれは項目のみの上辺だけの記憶でしかない。背景を知り納得することではじめて知識になる。なるほど~。

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2021/10/24

今までの日本人のイメージが覆される。中世の日本人の破天荒な生活。題名と装丁からは想像つかない硬派な内容。 筆者は著作も多い日本史の学者。真面目な著作も多いようだ。本書については軽い内容を想像して手に取ったのだが、柔らかな語り口調の中にもスジの通った硬派な内容であった。歴史の中の...

今までの日本人のイメージが覆される。中世の日本人の破天荒な生活。題名と装丁からは想像つかない硬派な内容。 筆者は著作も多い日本史の学者。真面目な著作も多いようだ。本書については軽い内容を想像して手に取ったのだが、柔らかな語り口調の中にもスジの通った硬派な内容であった。歴史の中のゲテモノを面白可笑しく紹介する類書とは一線を画している。 現代の価値観から考えるとあまりに破天荒な中世社会。しかし筆者は中世の日本人の行動規範、根拠についてもしっかりと考察している。 日本人は農耕民族、戦闘の嫌いな大人しい集団というイメージを勝手に持っていた。それはあくまで表面上のこと、内面は実はドロドロしているところもあるだろう。中世は合理的な精神が発展し、人々がそれぞれ欲望のままに、それ以前とも以後とも異なる価値観で動いていた時代のようだ。 多くの文書からの豊富な例示、中世社会をビビッドに語る楽しくまた中身の濃い作品でした。

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2021/10/19

江戸時代にがっちりと武士の支配体制が固まる前の、群雄割拠し地方がばらばらで、公家や寺社がまだ力を残し、農民たちのエネルギーが存分に発揮されていた室町時代。本来の日本人の姿が現れていたのかもしれない。清水克行さんの語り口は楽しく、大変興味深く面白く読める。 第1部 僧侶も農民も!荒...

江戸時代にがっちりと武士の支配体制が固まる前の、群雄割拠し地方がばらばらで、公家や寺社がまだ力を残し、農民たちのエネルギーが存分に発揮されていた室町時代。本来の日本人の姿が現れていたのかもしれない。清水克行さんの語り口は楽しく、大変興味深く面白く読める。 第1部 僧侶も農民も!荒ぶる中世人 ①「母開」(ははつぴ)という悪口のえげつなさ。室町は悪口花盛り。 ②通行税を取る山賊・海賊が山盛り。いったんたがが外れると相手を皆ごろにしたりするが、報復も厳しい。 ③サムライも顔負けの胆力の商工業者も存在した。 ④村落間の争いもこじれると激しい。 第2部 細かくて大らかな中世人 ①荘園ごとに桝の大きさが違う。十進法じゃない場合もある。 ②何かあると改元でリセットしまくり ③人身売買が盛んだったが、それは悪という意識も生まれてきた。 ④100文は96枚?紐を切るとだめ。返礼品目当ての偽の朝鮮への使節が頻発。 第3部 中世人、その愛のかたち ①浮気をした男を懲らしめるのではなく、正妻は女性を何十人も募って浮気相手の女性を襲撃し殺してしまうこともあった。「うわなり打ち」 ②直江兼続の兜の愛は愛染明王  徳川家康の「厭離穢土 欣求浄土」は、「生を軽んじて、死を幸いにする」という意味 人質が未成年なのは「神に近い人ならぬ存在を誓約の証として贈呈する供儀(いけにえ)の意味があった。人質が殺されるのは、裏切ったものが悪い。 ③中世は自力救済社会だが、弱者は切腹で不当な扱いを訴えて、その意思を尊重する慣習があった。 ④寺社への落書きやり放題で、西行もやっていた。 第4部 過激に信じる中世人 ①最終兵器は呪詛(リアル・デスノート) 悪逆なの武士も「名を籠め」られるのを恐れた。寺社の権威が落ちてきたということでもある。権威があったときは、呪詛など必要なかったから。 ②わずかな盗みでも極刑、それは所有物を自分の魂の延長と考えることから。 虹が立ったところですぐに市を開くのは、聖なる地では他人のものも手に入れることができるから お月見泥棒もそう ③荘園の刑罰の本質は「お清め」にあり、犯罪者の更生など考えもしなかった。 ④補陀落渡海や鉄火湯起請も流行は神仏への不信が広がった中で、それでも神仏を信じたいと願う人々が過激な行動に走った結果 神仏への不信を生じさせたのは激化する戦乱のためで、ヨーロッパのペストの流行がキリスト教への不信を広めたのと同じ。非情な疫病に教会も聖書も役に立たないのだから。 いやはや、室町はとんでもない時代だったなあ。人間の欲や心情がむき出しだったのだ。

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2021/09/25
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

他所の旦那を奪ったら、元妻の集団に家財もろとも破壊され集団の中の一人に手打ちにする契約をされる。 集団は100人にも及ぶというのは恐怖しかない。 しかしながらホントにそれで許せたのか?

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2021/08/11

<目次> はじめに 第1章  僧侶も農民も!荒ぶる中世人 第2章  細かくて大らかな中世人 第3章  中世人、その愛のかたち 第4章  過激に信じる中世人 <内容> 「小説新潮」に連載の記事をまとめたもの。著者は、藤木久志さんの弟子として、中世(主に室町時代)の歴史を研究する明...

<目次> はじめに 第1章  僧侶も農民も!荒ぶる中世人 第2章  細かくて大らかな中世人 第3章  中世人、その愛のかたち 第4章  過激に信じる中世人 <内容> 「小説新潮」に連載の記事をまとめたもの。著者は、藤木久志さんの弟子として、中世(主に室町時代)の歴史を研究する明治大学教授。一方で、高野秀行さんとの共著『世界の辺境とハードボイルド室町時代』で、ワイルドな冒険家と意気投合するとともに、麻薬地帯とか戦乱の舞台と日本の室町・戦国時代の様相が似ている(同じ気がした)ことを解き明かした。そんな著者が、日本中世の一般人の生きざまを割と淡々と描いてくれた。面白いことこの上ない。教科書では、「××の乱があって…」となるところ、”中世人”が何を考え、どう行動したのかを、史料の裏付けの元で証明していく。それをわかりやすい語り口で書いてくれた。

Posted byブクログ

2021/08/08

高野氏の対談本からソマリア社会はかつての室町時代に似ているとのことだったが、なるほどと思うこと多い。1つ言えるのは現代とは価値観が異なることがいっぱいで新鮮だわ。

Posted byブクログ

2021/08/08

外国人から見た日本人に対する印象や、様々なメディアを通して伝えられ、知らず知らずのうちに植え付けられた日本人観を根底から覆す、驚愕の中世日本人を分かりやすく紹介してくれます。 中世のあの戦闘的だった一向宗の理由が、まさになるほどと腹落ちしました。

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2021/07/18

小説新潮連載時から読んでいたけれども、何回読んでも面白い。清水先生があとがきで書かれていたとおり、自分と異なる社会を理解することで、自らの生きている社会が絶対ではないと認識し、多様性が叫ばれるのに現代社会の不寛容さを和らげることになると思う。 日本史嫌いの方々にも是非読んでほし...

小説新潮連載時から読んでいたけれども、何回読んでも面白い。清水先生があとがきで書かれていたとおり、自分と異なる社会を理解することで、自らの生きている社会が絶対ではないと認識し、多様性が叫ばれるのに現代社会の不寛容さを和らげることになると思う。 日本史嫌いの方々にも是非読んでほしいし、大学受験にも役立ちます、マジで。

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