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室町は今日もハードボイルド の商品レビュー

4.2

39件のお客様レビュー

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2022/08/09

世界史で中世といえば協会が全てを牛耳る「暗黒 時代」とも呼ばれています。 日本で言いますと鎌倉時代から室町時代です。 日本史では、なんとなく鎌倉時代で武家社会が確 立され、征夷大将軍という独裁者ではあるものの 秩序立った統一が図られていたと想像してしまい ます。 しかしそう...

世界史で中世といえば協会が全てを牛耳る「暗黒 時代」とも呼ばれています。 日本で言いますと鎌倉時代から室町時代です。 日本史では、なんとなく鎌倉時代で武家社会が確 立され、征夷大将軍という独裁者ではあるものの 秩序立った統一が図られていたと想像してしまい ます。 しかしそうでもなく、たとえ鎌倉で源氏が征夷大 将軍になろうとも、京都では公家達が復権しよう と虎視眈々であって、常に小競り合いが絶えなか ったらしいです。 「鎌倉殿の13人」でも描かれていますが、まだま だ京都が世の中心であって、なんとかそこに食い 込もうという構図が見て取れます。 つまり〇〇の変、〇〇の乱というような戦乱が絶 えなかったわけです。 さらに江戸時代にはおとなしくなっていた百姓や 僧侶も、この時代には武装して近隣と諍いをえお 起こしてばかりとか。 おまけに地方によっては枡一杯の単位や、貨幣の 単位まで異なっているのです。そりゃあ争いが起 こらない方が不思議です。 要はアナーキー、無政府状態に近い時代だったの です。 そんな日本の暗黒時代を軽妙な文章で、おもしろ おかしく伝えるのが本書です。 この本を読むと「鎌倉殿の13人」も納得できる部 分が増えて、楽しみが増す一冊です。

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2022/08/06

お前の母ちゃんでべそってたしかに…そうだよなあ… なんであんなにああいう内容の罵倒って全世界にあるんだろうね…

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2022/08/06

鎌倉・室町時代の庶民史を綴る。同じ日本人でありながら全く発想・常識の異なる人達のビビットに生き様が描かれていて面白い。 ムラの間での死力を尽くした150年戦争、桝の大きさが異なる理由、改元のリセット機能、旦那の不倫相手を攻撃するうわなり打ちの文化、ケガレの除去に血道をあげる荘園...

鎌倉・室町時代の庶民史を綴る。同じ日本人でありながら全く発想・常識の異なる人達のビビットに生き様が描かれていて面白い。 ムラの間での死力を尽くした150年戦争、桝の大きさが異なる理由、改元のリセット機能、旦那の不倫相手を攻撃するうわなり打ちの文化、ケガレの除去に血道をあげる荘園領主など。まさに、日本だけどアナザーワールドの世界が展開されていてとても面白い。

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2022/07/05

室町時代はアナーキー。 荒ぶる人々の社会での、ハードボイルドな常識や道徳等を 中世史料の中から詳細に紹介する、エッセイ。 第1部 僧侶も農民も!荒ぶる中世人           ・・・悪口、山賊・海賊、職業意識、ムラ 第2部 細かくて大らかな中世人           ・・・枡、...

室町時代はアナーキー。 荒ぶる人々の社会での、ハードボイルドな常識や道徳等を 中世史料の中から詳細に紹介する、エッセイ。 第1部 僧侶も農民も!荒ぶる中世人           ・・・悪口、山賊・海賊、職業意識、ムラ 第2部 細かくて大らかな中世人           ・・・枡、年号、人身売買、国家 第3部 中世人、その愛のかたち           ・・・婚姻、人質、切腹、落書き 第4部 過激に信じる中世人           ・・・呪い、所有、荘園、合理主義 参考文献有り。 あちこちで不穏な状況が起こる時代。 鎌倉時代での元寇と御家人への徳政令、貨幣経済の浸透、 鎌倉幕府が崩壊し、建武の新政のゴタゴタと瓦解。 室町時代は始まりに観応の擾乱。南北朝の争いに、応仁の乱。 地震に飢饉、乱やら変やらの勃発。 世の中が無常と不条理に満ちた時代。 戦っていたのは武士、天皇や公家だけではなかった。 農民、商人、職人、僧侶、女たちまでも。 守るのは自分の命と属する場所の、自力救済社会。 武装しての「ムラ」の合戦や代官暗殺計画の凄まじさ。 武装だけでなく、呪詛で名を籠める僧侶たち。 一方で、山賊や海賊もいるし、京の都には半グレ集団の姿が。 枡、さし銭や一里の距離が地域で違う、多元的・多層的な社会。 生き延びるための人身売買の必要悪。 「神の意志」湯起請と荘園や宗教のある種の衰退の様子・・・等々。 サクッと読むはずが、あまりにも面白くて読み込んでしまいました。 当時の人々の姿は、混沌とした情勢の中で、 生き延びるための逞しさに大らかさを兼ね揃えていた、 強さが凄まじいほどに感じられるものでした。 というか、これらの出来事が史料で残っているとは!

Posted byブクログ

2022/07/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

タイトル通り、室町時代を中心に中世を扱った本。 いくつかシリーズが出ている通り、ドラマや小説や世間のイメージとは違う切り口というか、実は、こうだった(んじゃないか、というのも含めて)というネタは新鮮。 ハードボイルドというよりは、カオスなイメージを持ちました。で、そのカオスというのは、きっと現代の感覚から振り返ってみるとそうだ、というだけで、当時の人たちの常識等を想像するのはとても面白い。 冒頭にある、中世の人たちは”道徳的な”人はおらず、私たちの考えの埒外にあるからこそ魅力的、というのは、本当にそうで、一億総中流とか、空気を読むとか(中世なりの空気はあったかもしれんが)、なんかそういうのではなく、突き抜けてちゃってるところが爽快でした。 気になった点は沢山ありましたが、やはり「ムラ」というのが、今は裏さびれた過疎化した地域を連想させる言葉ですが、当時はどうしてどうして、立派な戦闘組織で激烈な行動を血気にはやった若者が支えていた、という点ですね。室町時代の小説に「弩」がありますけど、あぁあれ、ほんまやったんや、となんか腑に落ちました。

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2022/05/26

ちょっと気になっていた本。 わかりやすくて面白かった。 この先生の講義を聞ける学生は幸せだなと思います。 改めて価値観の違いを認め合えなければいけないと思いました。

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2022/05/22

以前、本書と間違えて「世界の辺境とハードボイルド室町時代 (集英社文庫)」を読んだのですが、あわせて読むと面白いと思います。 現代の閉塞感漂う日本とは似ても似つかない中世の社会は、かなりはっちゃけていて力強く、無責任な感想ですがちょっぴりうらやましい気もしました。 現在の大河...

以前、本書と間違えて「世界の辺境とハードボイルド室町時代 (集英社文庫)」を読んだのですが、あわせて読むと面白いと思います。 現代の閉塞感漂う日本とは似ても似つかない中世の社会は、かなりはっちゃけていて力強く、無責任な感想ですがちょっぴりうらやましい気もしました。 現在の大河ドラマとかで認識されている当時のイメージが、実際は全く違っていたりするのが面白い。 一見理解不能な行動だったり、今の価値観に置き換えないとドラマに出来ないような出来事も、当時の価値観を知ることによって等身大の人間として共感することもできる気がしました。そのための材料を与えてくれる一冊。

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2022/05/16

著者と高野秀行さんとの対談本が面白かったので紐解く。期待以上に語り口がエンタメで、かつ興味深いエピソードが満載だった。 前対談で清水克行さんは言っていた。室町時代はもはや現存する古文書はほとんど本になっている。あとは研究(解釈)されるのを待っているだけなので、やりやすいのだと。...

著者と高野秀行さんとの対談本が面白かったので紐解く。期待以上に語り口がエンタメで、かつ興味深いエピソードが満載だった。 前対談で清水克行さんは言っていた。室町時代はもはや現存する古文書はほとんど本になっている。あとは研究(解釈)されるのを待っているだけなので、やりやすいのだと。だから、まるで世間話のように語っているハードボイルドな話の多くは、清水克行さんによって初めて明らかになっていることも多くあると思う。 因みに、わが故郷岡山県の話題として、総社市上原(かんばら)のハレンチ代官のことを書いた「九条家文書」というものがある。岡山県立図書館で読もうとして検索したらヒットしなかった。揃えていなかった図書館司書を責めるのは筋違いとしても、それを調べようとした地域の篤志家は居なかったということだ。上原は確かに古代より開けた場所である。ちょっとあの辺りを歩きたくなった。 因みに、現代こそ日本語の語彙に「罵倒語」は少ないけれども、「邦訳日葡辞書」というポルトガル宣教師が著した辞書を読むと「バカ」に該当する罵倒語だけで少なくとも12あるという。面白いのは、「アンコウ」。これは鮟鱇と書き、実は深海魚のことではなくて山椒魚のことだという。口をポカンと開けている様が愚鈍な人物を思わせるかららしい。そうだったのか!‥‥というのも清水さんは、これは岡山では今でも「アンコウ」が方言として使われていると書いている。これには私は訂正をお願いしたい。岡山県人はアンコウとは言わない。「このアンゴウが!」と言って、クソガキを叱るのである。「このタワケが!」という台詞は、よく時代劇で使われる。これは「田分け」、つまり大事な不動産を他人に分配してしまうような愚か者のことらしい。その他、「おまえのカアちゃん、でべそ」の深淵なる意味も書いている。 琵琶湖の北の奥に「菅浦」という、日本遺産になった中世の雰囲気を残した村があるらしい。そこが、かなり激しい「戦争」をしたところだったというのも興味深い。 室町時代には、ムラごとに枡の容積は違っていた。でもそういうものだと思えば、なんとかやっていけたらしい。確かに、現代の衣料品のS・M・Lも、着てみないと全くわからないのに、ふだん細かいことをあげつらうネット市民は、そのことを問題にした形跡はない。 落書きのことも幾つか。内容まで見ると、時々感動する。 彼氏を取られた女は、男ではなく女のところへ行って暴力を振るうことが黙認されていた。現代でも若者の中に、それを追認(暴力は振るわないが)する層が必ずあるらしい。 自殺は、日本は国際的に多い。何故か?解明はされていないが、中世では明確に、自殺によって相手にダメージを与える習慣があった。私が思い出したのは、大学時代の私と方向の違うことをやっていた教官(助手)が「近世の腹切りは、罪を償うというネガティブな意味ではなく、ポジティブな意味もあったのだ」と力説していたことである。40年前である。あの教官、江戸時代の文献ばかり読んでいたけど、中世の古文書を読んだことあったのかな。 こういう語り口で、中味はアカデミック。学生は楽しいだろうな。

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2022/04/25

産経新聞202174掲載 毎日新聞2021724掲載 東京新聞202187掲載 評者: 内澤旬子(文筆家・イラストレーター) 朝日新聞2021814掲載 東京新聞20211225掲載 評者: 麻木久仁子(タレント) 読売新聞2022424掲載 評者: 梅田明日佳

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2022/04/15

なかなか教科書では知らなかった事実ですが、現代に息づいている考え方なども考察しつつで、とても面白く読めました。 あまりにも人の命が軽んじられていたことは言わずもがなですが、復讐等含めてみんなが逞しい時代でした。 現代の感覚と異なるのに上手くマッチしていくことが、やはり地続きの...

なかなか教科書では知らなかった事実ですが、現代に息づいている考え方なども考察しつつで、とても面白く読めました。 あまりにも人の命が軽んじられていたことは言わずもがなですが、復讐等含めてみんなが逞しい時代でした。 現代の感覚と異なるのに上手くマッチしていくことが、やはり地続きの日本の歴史なんだなぁと思います。

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