宗教と日本人 の商品レビュー
「日本人は信仰心が薄い」逆に「日本では八百万の神が浸透していて特別に礼拝したりしないから信仰心がないように見える」などと、日本人の宗教観を語る上ではよく言われる。 この本では、まず宗教を「信仰」と「実践」と「所属」に要素分解し、それによって日本人の宗教との向き合い方を分析しよう...
「日本人は信仰心が薄い」逆に「日本では八百万の神が浸透していて特別に礼拝したりしないから信仰心がないように見える」などと、日本人の宗教観を語る上ではよく言われる。 この本では、まず宗教を「信仰」と「実践」と「所属」に要素分解し、それによって日本人の宗教との向き合い方を分析しようとしている。 葬式仏教では「信仰」なき「実践」、神社では「信仰」なき「所属」、スピリチュアル文化は「信仰」と「実践」が消費される。また、結婚式のキリスト教も「信仰」なき「実践」の一つで、学校のキリスト教がブランドとして存在しているのも日本の特徴である。 また、かつて「病貧争」からの救済を謳って発達した新宗教も、豊かになった1980年代以降は、「健富和」の人々の心にできた倦怠と虚しさの隙間を埋めることができなかった。そのニーズをうまくとらえたのがオウム真理教などである。 このように論を進められるとやはり納得させられてしまう。また、その上で今後の日本の宗教は人々から必要とされるにはどうあるべきなのかということを考えるヒントにもなるだろう。
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宗教的なものの流行に興味があり、読み始めた。大きな活力にもなるし、極端にいえば人を殺す動機にもなるもの。「これさえ信じておけば私は生きていける」という思考の危うさを、説明できるようになるかもしれないと思った。 この本のオリジナルな点は、宗教を信仰・実践・所属の三要素に分解し、個人を中心とする現象として注目するところ。 印象的なフレーズ 「消費者優位のスピリチュアル・マーケットで主題になるのは、魂の救済ではなく、心身の癒しや気分転換だ。」 「問題のある世界を作り変えるのではなく、そうした世界を少しでも快適に生きるための道具として宗教が利用されるのだ。」 人は変えられないから自分が変わるしかないと自己啓発本では言うけど、人を変えなければいけない立場もある。特に出世すればするほどそうなるはず。捨てればいい、任せればいいと簡単に言うけど、実際捨てたら困るもの、任せられない状況もある。 そんな時に、自己啓発本やスピリチュアル・マーケットの商品を消費することで、自分を高めたり、一時的に逃げ道で癒されて、気分転換にはなるかもしれない。が、根本的な解決にはならない。チームで解決するのが1番だと思うけど、今は個人主義の時代だし、難しいのかな。
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面白かった。信仰が中心の宗教という見方では捉えきれない部分を、信仰、所属、実践という3つの要素に分解して仏教、神道、スピリチュアルを分析している。
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実に面白く読んだ。 著者は宗教という言葉をスポーツと同じく、大まかなカテゴリーを指すものという。そして野球とサッカーを比べてどちらが本物のスポーツかと問うのが無意味であるように、各地域、各時代の宗教を比較してどれが本物の宗教かと決めるのも不毛であると。 信仰を軸とする宗教組...
実に面白く読んだ。 著者は宗教という言葉をスポーツと同じく、大まかなカテゴリーを指すものという。そして野球とサッカーを比べてどちらが本物のスポーツかと問うのが無意味であるように、各地域、各時代の宗教を比較してどれが本物の宗教かと決めるのも不毛であると。 信仰を軸とする宗教組織という、欧米のキリスト教をモデルにするから、日本人は無宗教だと思い込んでしまう。だが、信仰を中心とせず、実践と所属という要素に注目することで、日本人と宗教の関係がよく見えてくる。日本人は決して無宗教ではない。 本書の結論は、「世俗社会に合わせて、宗教は、人間集団を規範的に統制するものから、個々人の働きかけによって消費される商品へと変わりつつある」というもの。 人によっては、日本人の宗教への関わりは実に不真面目で、腹の立つものと映るかもしれない。だが個人的には、宗教との付き合い方としてはとても成熟しており、社会に平和をもたらすあり方だと思う。時折りそれに満足できず、カルトや新宗教にハマる人もいるけれど。 また、改めて信仰や宗教という現象は、人間の営みの一つであることを認識した。超越者や超自然的な何かを感じたり信じたりすることも含めて、全て人間の心がもたらすもの。言い換えると、神も宗教も広い意味で「自然現象」だということ。ガチの信仰者には受け入れられないかもしれないけれど。
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自分は無宗教だ、と漠然としていた考え方を見直させられた。 キリスト教を始めとする古来からある宗教がどのような立ち位置をしていて、振る舞いを行っているのか。 明治以降に現れる新宗教はどのような性質を持っているのか。古来から存在する宗教との違い、在り方とは何なのか。 歴史としての宗教に対する考え方と、身近に存在する宗教の考え方にアプローチしてくれる本。
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日本人の宗教を、信仰、実践、所属の観点から分析されたもの。とくに、スピリチュアルや、パワースポット、縄文時代ブームなどまで言及されているのが面白い。宗教組織離れから、個人が宗教的なものを選び取り、消費していく傾向が広がっているようです。
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おもんなかった。 他人の著書を不規則に引用して無理やりホッチキスで留めたような駄本。 著者の無能さが滲み出てた。 序盤の信仰、実践、所属の話とエリアーデ(偉人)のくだりだけちょいおもろかった。
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新宗教が退潮する一方、スピリチュアル文化の情報は氾濫する日本。宗教が消費される現代の状況を読み解く。
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