かがみの孤城(上) の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
読み始めて、本屋大賞に選ばれるのは当然だなぁと思った。 理由のわからないイジメで学校に行かれなくなったこころ。 フリースクールへ行ってみようと思うが、身体が動かない。 母は苛立ち、家庭内にいることも辛くなった時に、鏡が光り、かがみの孤城に招かれて、一定の期間内に鍵をみつけ、願いの間を開くことができれば、なんでも願いが叶うと言われる。 そこには、こころ以外に同世代の男子と女子が合わせて7人。 こころは秘密の場所で冒険をすることになってしまった。 この冒頭に心惹かれない読書家はいないだろうな。 そして、こころがうけている理不尽な仕打ち。理解力のない教師。クラスの中心人物に擦り寄る同級生。 嫌になる程、されました。 私は幸い、学校の外に自分の世界を既に持っていましたので、頑張れましたが、今も当時のクラスメイトも先生も許してはいません、というか別世界の人ですね。 声かけられても、この人誰? 状態ですし。 (私はそれなりの年齢ですが、当時とあまり変わりがない童顔なので、こちらは覚えていないの声かけられて誰? となる) だから、この社会にいるイジメを受けている子供達に読んで欲しいと切実に思いました。 そういう気持ちが賞に繋がったのだと思います。
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恐怖、悔しさ、恥、後悔……、小・中学生の時、何度か学校で大泣きしたことはあったけど、そのときの感情というものは今の自分の語彙力を持ったまま、そのときに戻ったとしてもたぶん言語化できなくて、泣きじゃくるだけなんだろうな、と思う。 この『かがみの孤城』の上巻の場面をいくつか読んでいる...
恐怖、悔しさ、恥、後悔……、小・中学生の時、何度か学校で大泣きしたことはあったけど、そのときの感情というものは今の自分の語彙力を持ったまま、そのときに戻ったとしてもたぶん言語化できなくて、泣きじゃくるだけなんだろうな、と思う。 この『かがみの孤城』の上巻の場面をいくつか読んでいると、その時の言葉にできない感情が、少しだけ思い出された気がします。 不登校となってしまった中学一年生のこころ。ある日こころの部屋の鏡が光はじめ、その鏡を潜り抜けると城のような建物が建っており、狼の面をかぶった少女がこころと似た境遇の少年少女を集めていた。 狼の面をかぶった少女は、城に隠された鍵を見つけ、ある一室を開けることができればどんな願いも叶えられると話すが…… 辻村さんの心理描写はいつも一級品だと思うけど、今回も心にぐさりと突き刺さる場面が上巻からありました。こころが受けたある仕打ち、割かれたページは決して多くないけど、わずかなページ数でもこころが受けた“殺される”までの恐怖感は伝わってくる。 またそうした恐怖だけでなく、不登校でいることの罪悪感や、これからのことといったやり場のない不安、両親への反発などといった感情も余すことなく描かれていると思います。読んでいる年代が年代だったら、もう一杯一杯になっていたかもしれない。 そして鏡のなかの世界。こころを含めた7人はすぐに打ち解けられるわけでもなく、和を乱す子や、仲良くしていても本人がいない場でのふとした一言など、緊張感はふとした瞬間に現れる。 ただそうした子に対する視点が一瞬で覆され、自分の心の狭量さに気づかされるのもまた辻村さんらしいのかもしれない。心の暗い部分はどんな人間も持ち得るのだと、また気づかされる。 序盤では完全に居場所を失っていたこころが、城であったり大人たちであったりに徐々に居場所を見つけていく。その過程がいい。 城での七人の亀裂、両親への反抗、その風向きが少しずつ変わっていく。フリースクールの先生であったり、お母さんであったり、そして城の子どもたちであったり。 それが決して急な展開でなく、あくまでこころをはじめ、子供たちに寄り添いながら一歩一歩、着実に居場所が現れてくる印象を受けるので、自分も彼女たちを見守りながら、少しずつ歩いて行っているような感覚を覚えます。 そして城の世界で7人の共通点が明らかになり、彼女たちのある決意が描かれるところで、上巻は終了。 この引きはかなりのいいというか、もうずるい。ここまで読んだなら彼女たちの「闘い」が次にどのような展開を迎えるか、そして彼女たちはどうなるか、気になって仕方ないはず。 第15回本屋大賞1位
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スロウハイツ、名前探しの放課後の雰囲気が好きな人は好きだと思います。 上巻はサクサク進めます。でもその裏に丁寧に伏線が貼られています。上下巻一気読みして欲しい!
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