小萩のかんざし の商品レビュー
北村薫氏の父親、 まさに高等遊民じゃないか。 もう現代じゃ絶対有り得ん。 舞台見たいのにお金がない、 じゃあ、本を売ればいいじゃないってわけには、 いきませんよ、マジで。 周りの人達が、本当にすごい。 でも、ここ父にして、北村薫氏誕生。 なら、感謝しかないな。
Posted by
40手前にして人生迷子状態なせいか主人公演彦に妙に共感して「お前、呑気に歌舞伎観て天麩羅食っとる場合じゃないぞ。」と声援?を送りながら読む。 二・二六事件はじめ、昭和史の重大事件があっても、普通の人の日常は流れていくという感覚も面白い。 しかし、それ以上に、やっぱり折口信夫のキャ...
40手前にして人生迷子状態なせいか主人公演彦に妙に共感して「お前、呑気に歌舞伎観て天麩羅食っとる場合じゃないぞ。」と声援?を送りながら読む。 二・二六事件はじめ、昭和史の重大事件があっても、普通の人の日常は流れていくという感覚も面白い。 しかし、それ以上に、やっぱり折口信夫のキャラが強い。ちょっと勉強してみたくなった。
Posted by
「いとま申して」シリーズの完結編。圧巻の大団円である。著者の父上が遺した膨大な日記を基にストーリーが構成されると聞くと、極めて私的な物語で、北村薫のファン以外には響かない作品であると思ってしまう。ところがさにあらず、父 演彦氏は物語の舞台に上がったり上がらなかったりする。少なくと...
「いとま申して」シリーズの完結編。圧巻の大団円である。著者の父上が遺した膨大な日記を基にストーリーが構成されると聞くと、極めて私的な物語で、北村薫のファン以外には響かない作品であると思ってしまう。ところがさにあらず、父 演彦氏は物語の舞台に上がったり上がらなかったりする。少なくとも、唯一無二の主人公ではない。これは彼と、彼の周辺で生きた人々の暮らしの再現である。かつて確かに生きていた人々の記録である。 前作に引き続き、今回も折口信夫が物語を牽引する。この比類なき民俗学者の人間的な一面や凄みは読者に強い印象を与える。そしてもう一人、折口に負けず印象的なのが、横山重である。私は本書でこの人のことを初めて知った。この人の校正した岩波文庫にお世話になった人もいるだろう。すごい人がいたものである。私たちは、こういう巨人たちの背に乗っている。 歴史小説と読むこともできるが、やはりそこは北村薫、僅かな手がかりや齟齬から謎解きを展開していくのはミステリ作家ならでは。当然、古典や本に関する該博な知識や愛は本編に満ちている。本を読み、深く愛することの果てしなさを思う。
Posted by
言葉にして考える父と子。お互いに認め合っていてお互いが大切だったのだろうと感じる。 日記の中の父と父の世界を書き起こした子。奇跡のような親子だと思う。そして昭和の男たちの姿がほんのり見える。
Posted by
【日記から復元された昭和の青春】作家の父は折口信夫のもと慶應の国文学徒として図書館に日々足を運び古典を次々と読破、しかし就職難に悩む。ある昭和の青春の記録。
Posted by
- 1