旅する練習 の商品レビュー
読んだのは昨年。 『本物の読書家』が面白かったので読もうかなと思ってたら古本屋で見つけて即買い。 良い小説で、読んだ段階では国内小説ベストワンかもと思った。 ただ、ストーリーの感想が書きにくかった。 乗代雄介、ここ数年で芥川賞を取らないとおかしいと思うのだが、もしかしたら小...
読んだのは昨年。 『本物の読書家』が面白かったので読もうかなと思ってたら古本屋で見つけて即買い。 良い小説で、読んだ段階では国内小説ベストワンかもと思った。 ただ、ストーリーの感想が書きにくかった。 乗代雄介、ここ数年で芥川賞を取らないとおかしいと思うのだが、もしかしたら小説が面白すぎるのであろうか。
Posted by
描写が綺麗で、自分も一緒に旅してるような気分になる本でした! そして、本読んで久しぶりに涙出そうになりました。 途中までの清々しい雰囲気だったのに、ラスト直前から不安になるように描写が出てきて、お願いだからやめてくれと思ってしまった。
Posted by
旅する描写がある種平坦に(みずみずしさはもちろんあるけど)描かれているけど、途中から話がドライブし始めて、ぐいぐい読みすすめていったら泣きそうな展開が続き、ラストで呆然とさせられた。 この話は旅を回想するていで描かれていて、さらに日記内の風景描写が引用される(その中にはさらに柳田...
旅する描写がある種平坦に(みずみずしさはもちろんあるけど)描かれているけど、途中から話がドライブし始めて、ぐいぐい読みすすめていったら泣きそうな展開が続き、ラストで呆然とさせられた。 この話は旅を回想するていで描かれていて、さらに日記内の風景描写が引用される(その中にはさらに柳田國男などの引用が含まれることが多い)。 語ること、今回の場合は書き起こす(のこす)ことの尊さを否応なく感じさせらせた。
Posted by
風景描写がとても細かすぎて、却って私には難しかった。鳥はもちろん、植物にも詳しく描かれていたので、画像検索しながら読んだ。 多分、綺麗な文章なんだろうな。 私も、みどりさん同様で好きな事があり、目標がある亜美ちゃんが、羨ましい。 みどりさんも旅の途中でやる事が見つかった様なので...
風景描写がとても細かすぎて、却って私には難しかった。鳥はもちろん、植物にも詳しく描かれていたので、画像検索しながら読んだ。 多分、綺麗な文章なんだろうな。 私も、みどりさん同様で好きな事があり、目標がある亜美ちゃんが、羨ましい。 みどりさんも旅の途中でやる事が見つかった様なので、応援したい。 そして最後は必要だったのか、私も疑問に思う。
Posted by
令和2年。サッカー少女と小説家の叔父が、我孫子から鹿島アントラーズ本拠地まで徒歩で旅をする物語。風景描写もきれいで文学的。途中から旅を伴にする女性も素敵だった。自分が大切にしたいことに気づけてよかったと心から思った。今まで以上に身近な風景をも愛おしく感じられるようになる。…結末も...
令和2年。サッカー少女と小説家の叔父が、我孫子から鹿島アントラーズ本拠地まで徒歩で旅をする物語。風景描写もきれいで文学的。途中から旅を伴にする女性も素敵だった。自分が大切にしたいことに気づけてよかったと心から思った。今まで以上に身近な風景をも愛おしく感じられるようになる。…結末も含め、すべてを受け止めよう。
Posted by
多くの書評でコメントされているように、最後の1ページはこれでなければいけないのか、考えさせられる。再読が必要になるのも振り返ると後半いくつかのシーンで布石があったことに気付くから。 何にしても高評価に充分に値する読んで損のない一冊。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
新中学一年生の姪っ子亜美と小説家の私が、我孫子から鹿島まで、サッカーと文章の練習の旅に出る話。 途中で出会う女子大生みどりさんと亜美の性格が対照的だ。優しくて自信がなくいつも人に合わせて生きてきたみどりさんは、自分が何がしたいとかはなく、自分がいると迷惑じゃないかと思い込む。うっかり眼鏡を壊してしまってコンタクトデビューすると急に世界がよく見えて明るく生きられそうな気分になるシーンが印象的。ネガティブなみどりさんが、明るいサッカー少女で、大切なことに合わせて生きるのがすごく楽しいと話す亜美の影響で自己を選択し獲得していく姿が良かった。共感できた。 小説家である私は鳥が好きで、柳田國男をたくさん引用し、すごく教養に溢れている。 本文でところどころ回想の文体や伝聞形が出てくるのが不穏ではあったが、やっぱりそういうオチか。 私が書く文章を「紙碑」と称しているところがあったが、柳田國男も私も、その時の生を文章に刻んで残している。 亜美ーアビー我孫子?AB=1からの人生の練習?
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
ロードノベルが好きで気になっていた本。 姪の亜美の、眩しいほど生き生きした様子と、叔父で小説家「私」の淡々とした感じ、でも楽しげな会話とか楽しかった。みどりさんと仲良くなる感じも良かった。 ところどころ随分勿体ぶるな、と薄々不安に思っていたらあのラスト…書きたいことはわかったと思うけど良い本だった、と終わらせる訳にもいかず困惑してしまった。 個人的には取り返しのつかないもの、に子供の死を使うのは創作として反則だと思うー
Posted by
【感想】 ・終わり方はまあ、最初の方のどこかの記述で想像はしてた。たからこそ、この話はキラキラしてる。 ・新型コロナは作品化しにくいようでこれまであまり小説では見かけてないがこれはその影響下にあると明記されている。 【一行目】 亜美の中学受験は無事に終わった。 【内容】 ・...
【感想】 ・終わり方はまあ、最初の方のどこかの記述で想像はしてた。たからこそ、この話はキラキラしてる。 ・新型コロナは作品化しにくいようでこれまであまり小説では見かけてないがこれはその影響下にあると明記されている。 【一行目】 亜美の中学受験は無事に終わった。 【内容】 ・サッカー少女と小説家らしい叔父が鹿島アントラーズの本拠がある地を目指すロードノベル。途中で生き方に悩む女子大生も参加。 ▼簡単なメモ 【我孫子駅】旅の出発点。 【亜美/あび】中学受験に合格したばかりのサッカー少女。所属するチームでいちばん上手い。みどりさんに自己紹介するまでは「あみ」だと思ってた。《亜美はきっと、もっと上手くなりたいと願っていた。自分自身で求めたもの。求めること。それだけを考えて生きること。生きたこと。》p.81 【亜美の母】「私」の姉。《もめない相手しか信頼できないんだよ》p.14 【いる】《「なんかちょっとわかってきたみたい」と亜美は笑った。「ほんとにいるんだって感じがさー」》p.82 【おジャ魔女どれみ】亜美の母がぼろぼろ泣く。ぼくもリアルタイムで観てたなあ。 【おにぎり】コンビニでよくある海苔とご飯が別々になっている包装を亜美はうまく開けられずいつも海苔がボロボロになってしまう。ちゃんと開けられるようになることもこの旅の課題となった。 【オムライス】亜美の好物。一日三食オムライスにしたいみたいだ。 【書く】《「書いたことはなくならない。」》p.113。 【鹿島アントラーズ】旅の目的地みたいなもの。 【鹿島神宮】旅の終わりが始まりになった。 【がっかり】《「がっかりはするに決まってるじゃん」》p.118 【カワウ】亜美はカワウにシンパシーを感じたようだ。「魚を獲るために生まれたみたいでかっこいいじゃん」p.42。潜って水中を高速で泳ぐ必要から羽に油分を塗らないので陸に上がると広げて乾かす必要がある。 【キジ】「書くの? キジを」/「書きたいだろ、キジは」p.26 【言葉】《そのために必要とするのはあらゆる意味で無垢で迷信深いお喋りな人間たちだという事実が、また私をあせらせる。》p.97 【再会】《あたしたち、同じことを考えてたから、また会えたんだよ》p.136 【ジーコ】サッカー史上でも有数の名選手。鹿島アントラーズの街が目的地なので名前くらい出るかとは思っていたがこれほど重要な役回りだとは。 【新型コロナ】新型コロナのせいでさまざまな予定がつぶれた亜美を「私」旅に連れ出した。 【真言】石碑に書かれていた。《のうまくさんまんだ ばざらだん せんだ まかろしやだ さはたや うんたらたこんまん》p.25。特に意味は重要ではないらしい。亜美がみどりさんに書いてあげたのは《おん あみりと どはんば うんはった そわか》p.114。馬頭観音の真言だそうだ。 【真言宗】「うち」の宗教。なのでお不動さんに行く。 【旅のスケッチ】「私」が文章で場所のスケッチをする。 【田山花袋】えらい上手いと思われた描写があると思ったら田山花袋の作だったらしい。 【鳥】「私」は鳥好きなようだ。声だけでも出てきたのは、ヒヨドリ、キジ、コブハクチョウ、コガモ、オオバン、カワウ、ユリカモメ、ツグミ、シジュウカラ、マガモ、コガモ、ハクセキレイ、カラス、アビ、ヒドリガモ。 【鳥の博物館】「私」が生きたかったのに休みだった。 【文庫本】鹿島で合宿したとき合宿所からこっそり持ってきた。旅の目的はとりあえずそれを返すこと。 【発願】まあ、動機とコンセプトみたいな感じ。 【万葉公園】昭和天皇発案で春日大社で始まり各地に広がったんだとか。万葉集に出てくる植物と歌の看板。 【みどり】那須高みどり。木下貝層で出会ったメガネのお姉さん。大学四年で就職も決まり来年からは一人暮らし。どこか自信なげ。《そう思わないために必要なこと、何もしてこなかったから。》p.134 【無限抱擁】瀧井孝作著。古井由吉いわく「日本近代文学史上の屈指の作品」。そういや、読んだことない。読もうとは思っていたけど。 【メッシ】本を読んだことがないらしい。 【柳田國男】引用多し。 【リフティング】亜美はサッカーボールのリフティング五百回に挑戦している。「私」の文章によるスケッチなは文末に亜美のリフティング回数がメモされている。 【練習の旅】目的は「歩く、書く、蹴る」。 【私】書き手。亜美の叔父、母の弟。小説家のようだ。サッカー経験者。亜美の旅のお供。
Posted by
時系列がよくわからなくて混乱してたんだけど理解したときはびっくりした。作者の実体験なのかな。 ここで言う旅は文字通りの意味ではなく"生きる"練習かな。 亜美のキラキラした笑顔が道しるべになってくれてるようだった。
Posted by