旅する練習 の商品レビュー
☆4.5 全てがこのラストに繋がっていた。 随分と抑えた文調だと思いながら読んでいたが、 過去形の文が多くなり始めたあたりから薄々・・ まさかの結末に茫然として声も出なかった。 叔父さん(筆者)が、旅の途中で書きとめる風景描写がとても繊細で、表現力の豊かさを感じた。 名所や旧跡...
☆4.5 全てがこのラストに繋がっていた。 随分と抑えた文調だと思いながら読んでいたが、 過去形の文が多くなり始めたあたりから薄々・・ まさかの結末に茫然として声も出なかった。 叔父さん(筆者)が、旅の途中で書きとめる風景描写がとても繊細で、表現力の豊かさを感じた。 名所や旧跡からその土地の文化、文人を知ることができるし、筆者がいかに植生や鳥の生態に詳しいかがわかった。 紀行文として一冊にまとめた本を読んで、同じ道をいつか巡ってみたい。 亜美のリフティングの数が後ろに記録してあり、 練習を繰り返す度に成長する姿が見受けられる。 気に入ったカワウを見習って、毎日自分のシューズを磨くことに決めたことも旅の成果だろう。 旅には発見と気づき、出会いがある。 偶然出会った大学生みどりさんから聞いたジーコの話は、亜美に「本当に大切なことを見つけて、それに自分を合わせて生きるのって、すっごく楽しい」と気づかせた。 みどりさんにとっても、2人との出会いが、 一人で歩く、橋を渡る、自信をつける練習の旅だったから、「鹿島に引っ越して仕事を探す」決断を 自ら選択することが出来たのだと思う。 何を練習するかは人それぞれ、練習の旅をどこまで続けるかもやってみないとわからない。 "人生"という旅のしかたを学ぶヒントをこの本から貰った気がした。
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芥川賞候補、第34回三島由紀夫賞、第37回坪田譲治文学賞、ダブル受賞作。 叔父と姪のロードムービー。 なかなか良かったが、ラストは評価が分かれるところ。
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鳥のことも、真言のことも、ジーコのことも、ほとんど知識がなかった。人生に希望を持てた!と感動したのに。。。何この寂しすぎる後日談。練習のまんま終わってしまう旅もあるということか。。
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え、え、え。 が読み終わっての最初の感想。 後半までずっと、主人公の"練習"箇所が読みにくくテンポを掴めずにいた。 ずっと変わらないストーリーの進み方に、こういう内容なんだなぁと思っていた、が。 最後の最後で。 旅の終わり頃からだんだんと姪っ子に対する感傷的...
え、え、え。 が読み終わっての最初の感想。 後半までずっと、主人公の"練習"箇所が読みにくくテンポを掴めずにいた。 ずっと変わらないストーリーの進み方に、こういう内容なんだなぁと思っていた、が。 最後の最後で。 旅の終わり頃からだんだんと姪っ子に対する感傷的な気持ちが書かれていたけれど、それは旅の終わりに思う気持ちなのだと思ったけれど、違った。 最後まで読んで良かった。 綺麗なロードムービーとラストの呆気なさ。
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中学生の時に出会いたかったと思ったほど綺麗な描写と素敵な成長が感じられた叔父と姪のロードムービー。賛否両論あるラスト1ページを読んで、あ、大人になってから出会ってよかったと思いました。中学生の時だったらその衝撃だけがこの本の感想になってしまったと思う。ラスト1ページでいきなり書くことでそのあっけなさのリアルさが胸を苦しくさせたけど、道中の綺麗さ、キラキラさはより際立ったかな。ただすぐ読み返す元気はないです笑
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おいおいおいおい、映画ならエンドロールが流れる段になってそれはないでしょ。なんのための練習だったのよ。ただでさえ読み物としては退屈な旅につき合ったのも、未だ幼い亜美が旅を通して成長するさまを見届けようと思ったわけ。なにか事件に巻き込まれるわけでなく、出来事としちゃあ、みどりさんと...
おいおいおいおい、映画ならエンドロールが流れる段になってそれはないでしょ。なんのための練習だったのよ。ただでさえ読み物としては退屈な旅につき合ったのも、未だ幼い亜美が旅を通して成長するさまを見届けようと思ったわけ。なにか事件に巻き込まれるわけでなく、出来事としちゃあ、みどりさんとの出会いがあり、彼女の心を救う。博学にして理解者の叔父さんのおかげではあるけれど、やはり天性の明るさとくじけない強さを備え、好きなサッカーに情熱を注ぎ未来を見据える亜美であればこそ。これやっぱり彼女に普通の幸せを授けりゃよくない?
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風景や鳥に関する描写が丁寧に描かれている。自分の想像力が追いつかず、まだ見ぬ景色や生きものの多彩さに世界の広さと儚さを想う。
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生まれて、生きて、死んでいくこと。 ひとりの人間がそうやっていくことに何の意味があるのか。 輝くような未来を夢見た亜美ちゃんの明日は、最後にいとも簡単に断ち切られてしまう。 それならば、この旅は無意味だったのか? そうではないことを、物語を読み終えた私は知っている。 たとえジーコのような功績を残さなくたって、その人が発した言葉や、関わっていた仕事に。 残した数字に、その人は、思いは残る。 そして、その上で、「残すこと」自体を人生の目的にしなくてもよいのだ。 愛するもの、好きでたまらないものに、「自分を合わせて生きる」こと。 それを「すっごく楽しい」と思って生きれば、それだけでいい。 私は救われた。救いを感じる人は多いのではないか。 ちっぽけに思える自分。 死んでも何も残らないようなささいな仕事をして、日々を無意味に過ごしていくように思う自分でも、いいのだ。 そんなささいな仕事が、それに伴う生活が楽しいのであれば。 死は、必ず訪れる。それは明日かもしれないし、なんなら数秒後かもしれない。 だから、カワウみたいに「バカらしい気負いでなく自然に受け入れ」て生きていきたい。 すごく辛い結末だけど、私はこの本を絶望の書だとは思わない。 亜美ちゃんはずっとずっと、最後の瞬間まで「すっごく楽し」く、生きていたと思うから。
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Amazonの紹介より 第34回三島由紀夫賞、第37回坪田譲治文学賞、ダブル受賞! 中学入学を前にしたサッカー少女と、小説家の叔父。 2020年、コロナ禍で予定がなくなった春休み、 ふたりは利根川沿いに、徒歩で千葉の我孫子から鹿島アントラーズの本拠地を目指す旅に出る。 ロード・ノ...
Amazonの紹介より 第34回三島由紀夫賞、第37回坪田譲治文学賞、ダブル受賞! 中学入学を前にしたサッカー少女と、小説家の叔父。 2020年、コロナ禍で予定がなくなった春休み、 ふたりは利根川沿いに、徒歩で千葉の我孫子から鹿島アントラーズの本拠地を目指す旅に出る。 ロード・ノベルの傑作! 第164回芥川賞候補作。 終始、穏やかな雰囲気でしたが、その裏ではコロナ禍での苦悩も描かれていて、その中で幸せを見つけようとする姿にほっこりしました。 最初、これ芥川賞候補作?と思ったくらい、文章があまり堅苦しくなく、比較的読みやすかったです。 ただ、叔父の旅日記での文章では文学的で堅苦しい部分があったり、妙に詳細に書かれている部分があったりとなんとなく不穏な雰囲気もあるように感じました。それが段々と不穏な「点」となって滴っていく感覚が何とも言えなかったです。段落の使い方も工夫されていて、一味違っている印象がありました。 読了後に気づいたことなのですが、その答えが、最後の展開に繋がっているようにも感じられました。 まさか衝撃の展開になろうとは・・・。今までの雰囲気からズドーンと叩きつけるかのように落差があって、言葉を失いました。 今回の作品では、コロナ禍、特に緊急事態宣言下での様子が描かれています。今まで気づかなかったことが、コロナ禍を通して、普通に暮らしていたことのありがたみを感じるようになりました。 コロナ禍での不自由な生活。全員が経験したからこそ、登場人物達の心情には痛いほど心に響くものがありました。 辛い状況でも、前向きに進もうとする気持ちが、軽やかな文章も相まって、そんな暗い気持ちにはならずに穏やかな気持ちで読めました。 徒歩の旅というと、「夜のピクニック」という作品が頭に思い浮かびます。個人的にウォーキングが好きですが、歩いていると、なんだか心が開放させていくような気持ちにもさせてくれます。 流石に小説のように長ーく歩きたくはないのですが、誰かと一緒に歩いてみるのも良いかなと思いました。
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土地勘のある地名がたくさん出てきて入りやすかったけれど、徐々に淡々と旅を綴る日記帳の進みに飽きてきてしまい。やっとこさ読み切った最後のページに衝撃を受けた! コロナ禍当初のアビとみどりさんそれぞれの成長の物語
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